あの子のことも嫌いです

元サークラ、サブカルメンヘラクソビッチ女、現在しょぼいOLの備忘録。

誰でもカンタン☆ サークラ的「会話テク」

 

わたしの経験上、サークラに引っかかるような男性は、多くの場合異性と出かけた経験がない。

「ふたりで丸一日出かける」ためには、飛び越えるべきハードルがたくさんある。まず、誘った時にOKを出す異性の友人がいなければならない。そのうえで、ひとりで(あるいは相手とふたりで)出かける場所や食事の流れを考え、当日は待ち合わせから解散までの間、会話を続ける必要がある。

裏を返せば、彼らには「信頼関係を築けている異性」の友人は基本的に存在しないのだ。

つまり、彼らは異性とのコミュニケーションを手段を持たない。学校での強制的なイベントでもないかぎり、コンビニやレンタルショップの店員さんや家族以外の異性となんて、ほとんど話さないなんて人もざらだ。サークラ時代には、「女の子とふたりで歩くのなんて、幼稚園の遠足以来かもしれない」と言われたこともある。

そのため、彼らと話すときに一般的な会話のつもりで臨むと、巧くいかない。男の子に好きになられたい!と意気込んで男性ばかりの集団に乗り込んだわたしの、まず打ち当たった壁はそこだった。

 

サークラ黎明期に知り合った、内野(仮)くんという青年がいた。内野(仮)くんは中学・高校と男子校、大学も理系、9割が男性の学部にいたため女の子と話した経験がほとんどなかった。

彼との会話は困難を窮めた。大学のことは触れてほしくなさそうで(どうやら留年しそうらしかった)、友達もいない、サークルにも属していない、彼の好きなゲームを、わたしは知らない。お天気の話ばかりするわけにもいかなければ、共通の知り合いも2人しかいなかった。そのうえ、2人とも内野(仮)くんは、さして仲良くなかった。

必死に考えて話を振っても、戻ってくるのは「はあ」「ううん」程度。ついにわたしは疲れ、彼と話す事を放棄してしまった。

 

内野(仮)くんは、レアケースではない。わたしは少なくとも30人近くは、同様の人を見てきている。

基本的に、投げた球は返ってこない。わたしの投げた球をそのまま受け取り、地面にそっと置くのが彼らだ。会話をどのように続けて良いのかが解らないからだ。

 

では、どのようにコミュニケーションを取るべきか。手っ取り早いのは対象となった相手と「共通の深い趣味」で語り合うことだが、複数人にモーションを掛けようと思った場合は(つまりサークラしようと思った場合は)共通の趣味がある人だけを選択していられないので、別の方法を取る。

結論は「一も二もなく褒めちぎる」ことである。

褒められると誰しも気分が良いので、相手も話してくれるようになり、打ち解けるのも早い。

さきほど紹介したような会話のトライ&エラーを繰り返し、わたしはやがて5つの鉄則を得た。これさえ守れば全く会話が続かなかった相手からも、笑顔と言葉が引き出せる…かも、知れない。

 

1、基本の流れは「投げる→話させる→アウトプットする/褒める」

まず、会話はキャッチボールだ!という固定概念は捨てる。相手が自分に対して関心を持ってくれるだろう、という期待も捨てる。とにかく、聞き役に徹することだ。途中で口を挟みたくなった場合は、ぐっと言葉を飲み込んでほしい。

うっかりこちらが話してしまうと、向こうは「話を聞く」という行為に慣れていないのでその時点で、会話が成立しない人だ、と認識されてしまう可能性が非常に高い。

話題を相手に「投げ」相手に気持よく「話させ」そして話の内容を拾い上げて「アウトプットする/褒める」。この一連の動きを頭に入れておく。

 

2、事前のリサーチから「投げる」

はじめに、振る話題を間違えてはならない。彼らの多くは繊細なため、一般的な話のネタとなる仕事や学校、友達、恋愛などの話は地雷を踏む可能性もある。

以前、高校時代の修学旅行の話でサークルが盛り上がっていた時に「修学旅行の時、班に入れてもらえなかった俺を馬鹿にしているのか!」と泣きながら出て行ったひとがいたのを覚えている。

それぞれに合わせた最適な話題を振るため欠かせないのは、事前のリサーチだ。鉄道好きにアニメの話を振っても仕方ないので、友人の話、本人の自己紹介、Twitterのツイート内容、どこからでも良いので好きなジャンルや趣味を抑えておく。

 

3、無知を明確にして「話させる」

話を振ったところで、相手の好きなジャンルについては多くの場合知らないだろう。しかし、知らない方がむしろ好都合だ。中途半端に知っていて、相手と意見が合わなかったら最悪である。決して見栄を張らず、そのジャンルについて関心があると明確に示したうえで、素直に尋ねることが大切だ。

尋ねる内容は、必ず具体的でなければならない。その際に、事前にwiki程度で構わないので調べておいた内容や、自分が実際に経験した内容を混ぜ込むと、漠然とした質問内容よりも返答がし易くなる。

 

NGフレーズ)音ゲーって何ですか?

OKフレーズ)わたしもときどきjubeatとかやるんです。ゲーセンだったら、普段どのゲームやられてるんですか?

 

4、必ず自分で「アウトプット」する

 話を聞いてる際には、ただ頷いているだけでは「聞いてないな」「俺の話なんて関心ないよな」と思わせてしまう。

絶対に自分の話を聞いてくれている、と思ってもらえるコツは、相手の話を咀嚼し、それってこういうことですよね、と自分なりに説明することだ。また、表情を豊かにして相づちを打つことも欠かせない。笑顔や、驚いた顔、辛い顔、相手の言葉に反応してくるくると表情を変える。

 

5、「褒める」際のNGワードは、“すごい!”

そして、褒める。褒めるとなると「すごい!」に終始してしまいがちなのだが、すごい!を連呼すると、これまたそう言っておけば良いと思っているんだろう、と思われてしまう。

そのため、「なにが」「どうして」「どのように」すごいのか、を、これまで聞いてきた話のなかから補完することで、本当にすごいと思っているのだ、と意思表示をする。

またその際、他を貶めて相手を褒める、は避ける。猜疑心を煽る理由にしかならないからだ。

 

NGフレーズ)「へー、すごいですねー!」

OKフレーズ)「えっ、てことは、始めてからたった2年で、そんな点数出せるようになったってことですか?!すごいですね!わたしリズム音痴で全然できなくて…コツとか、あるんですか?」

 

以上、5つである。

彼らの多くは、異性に夢を抱きながらも、同時に強い猜疑心を抱いている。なので、あなたを理解していますよ、ということをかなり解りやすく提示しながら近づく必要がある。

また、受け身なのも特徴だ。決して自分から相手に話を振ることはなく、こちらの話も聞く気がない、というより聞き方が解らない。ふたりで出かけたくても、誘い方が解らない。だから、聞きまくる、こちらから誘う、が外せないのである。

 

いま思えば内野(仮)くんも、わたしと話すことはきっとストレスだったのではないだろうか。コミュニケーションは互いにストレスがないことがいちばんなので、もっと気を使えれば良かったなあ、と思わなくもない。(しかしその結果がサークルクラッシュだと、これもまた良くないので、難しい)