「とんがり屋根」の町・アルベロベッロの歴史
日本人にもとても人気があるアルベロベッロ。
1996年に世界遺産に認定され、南イタリアの観光地として地位は揺るぎないものになていますが、その歴史は生易しいものではなかったようです。
アルベロベッロに人が住み始めたのは、比較的新しく16世紀。開拓のための農民がこの地位に移住させられて定住したのが始まりです。
アルベロベッロ近辺は、石灰岩の土壌が広がるあまり豊かではないところ。
度重なる戦役に領主からの重税。住民は身近にある石灰岩を使用した横穴式住居のシンプルな簡易住宅を建てました。石灰岩の切り石を重ねて、漆喰で塗り固めただけのものです。
このように簡易的な家が建てられたのには理由があったそうです。
領主が王様に町の建設税を納めなくていいように、わざと取り壊しをしやすいような家屋を建てさせ、王の監督官が視察に来る際に領民に命じて取り壊させて税金を逃れていた、というのが一つ。
またもう一つは、「漆喰の屋根の家」が課税対象とされていたのので、徴税人が来ると住民は屋根を壊し、「これは家では無い」と言って税金を免れた、という話。
いずれにしても、豊かではない土地でいかにしてたくまく暮らしてくかの知恵が詰まった住宅の形状と言えると思います。
アルベロベッロの行き方
バーリで私鉄スド・エスト線に乗車。
切符は売店で買います。お姉さんは全く英語通じませんでした。片道4.9ユーロ。
1時間半に1本くらいしかないので、時刻は予め調べていった方がいいと思います。
僕が行った時はたまたま、9:40発のに乗ることができました。
鉄道自体は非常に快適です。
アルベロベッロ駅到着
1時間半ほどで到着。駅前は閑散としています。
駅前から旧市街までは15分ほど歩きます。
ぼくが行った時は2月でしたが、日本の4月上旬くらいの気候で、アーモンドの花が咲いていて、桜みたいで気分的に高揚します。
アルベロベッロ・旧市街
アルベロベッロ新市街を抜けると、独特の形状をしたトゥルッリの町並みが見えてきました。
お尻にささったら痛そう、とか邪険な考えが頭をよぎります。
これはアレだ、サザエさんのエンディングでサザエさん一家が入っていく家に似てますね。
サンタントニオ教会
世界で唯一の、トゥルッリの教会。
天井を見上げた写真。中はとっても明るいが、ひんやりとしています。
本当に貧しいアルベロベッロ
アルベロベッロがあるプーリア地方は山岳地帯。
岩だらけの養分に乏しい土壌と乾燥した気候で、畑を耕そうにも家畜を放牧しようにも貧しすぎてどーしようもない土地です。
今は観光地化したので、トゥルッリでの生活も少しはマシになったのでしょうが、少し歩くと廃墟となって朽ち果てたトゥルッリがたくさんありました。
たしかにものすごく可愛くて魅力的な建物なんですが、「カワイイ」だけではどーしようもない。
非常に独特で美しい風景なのですが、こういう住居に最近まで住まざるを得なかった、イタリアの農民たちの生活はよほど大変だったんだろうと思います。
奇怪な風景にテンションが上がると同時に、少しもの悲しい気分になりました。