タナカこそ新人王にふさわしい? あっと驚く予想まで出てきた!

 地区優勝のチームが相次いで決まり、ポストシーズン出場権をかけた最後の戦いと同時に、全米の関心を集めるのがタイトル争い。

 打率、勝ち星などとは別に、MVP、サイ・ヤング賞、新人王の行方は、特に注目の的。各メディアでは独自のデータ、視点を元に、さまざま予想を編みだし、その熱き話題をよりホットにしている。

 ESPNでは記者、解説陣を総動員して、「誰がタイトルを勝ち取るか」を予測。ア・リーグ新人王では、キューバ出身の27歳、ホワイトソックス一塁手、ホセ・アブレイユが賞レースのトップを独走としている。打率3割2分を超え、本塁打は40本に達しそう。打点は早くも100の大台をクリアした。受賞は「文句なし」としている。

 だが、「タナカは新人王以上だ」。こんな主張を根強く繰り広げるメディアが存在するのも確かだ。MLBのITサイト「スポーツオンアース」では、「新人王は今季の働きだが、もっと長期的に見るべき」と、将来性を加味したルーキーたちの分析を行っている。

 そのトップに輝いたのが田中将。「彼のスプリッターは世界で最もえげつない球。速球もスライダーも悪くない。7月までの成績を見ても、記録に残る選手になる」

 新人王レースのトップを走るアブレイユに対しては7番目の判定で、「メジャーで通用することは知らしめたが、ちょっと年を取りすぎている。全盛期はすでに来ている」とした。

 ここには、田中将への高い評価が見え隠れする。というのも、投手ではDL入りしていても抜群の数字を残しているから。7月に戦列を離れるまでの成績は18試合に先発して12勝4敗、防御率は2.57。129回1/3を投げて奪った三振は135を数える。アブレイユに劣らず好成績で、DL入りする時点では、気の早い新人王予想でトップを走っていた。

 田中将の挽回は可能なのか。復帰まで1年半は時間が必要な腱の再建手術「トミー・ジョン手術」を受けることを回避して懸命に調整。短い距離のキャッチボールから初めて、マイナーの練習試合に先発登板し、5回を無失点に抑えるまでに回復。21日のブルージェイズ戦でメジャー復帰が決まった。

 ジラルディ監督は「今季のレギュラーしズンでは1、2試合投げてもらう」としており、順調に勝ち星を伸ばせれば14勝にまで達する。

 「14勝4敗」で1年目を終えれば「ひょっとしたら」とも思えてくるから、最後の最後まで賞レースは分からない。野球人生で1度しか手にするチャンスがないこの賞には日本選手では野茂英雄、佐々木主浩、イチローが受賞している。田中将もその仲間に入ったらうれしい。