9月2週目の主な出来事
・男に「あめ」もらい、一時意識もうろう 東京で9歳女児(9月8日)
・準Vの錦織「自分のテニスできなかった。でも次がある」(9月9日)
・「あさりちゃん」ギネス認定 2月に100巻で完結(9月10日)
・吉田調書「命令違反」報道、記事取り消し謝罪 朝日新聞(9月12日)
・なでしこリーグの千葉、セクハラで総監督を解任(9月12日)
宮﨑駿の後継者レースが本格化
おぐら 宮崎駿が昨年の7月に公開された映画『風立ちぬ』を最後に引退を発表してから1年が経ちましたが、スタジオジブリがリストラをしているなんて話が出てますね*1。
*1 押井監督、スタジオジブリのリストラ暴露
速水 今年はジブリを巡るニュースがずっと続くね。映画制作から撤退するとか、どっかに吸収される説とかいろんな話題があった。根本的な問題として宮崎駿と高畑勲が関わっていない『思い出のマーニー』がヒットしなかったことで、懸念されていた宮崎駿去りしあとの演出家をどうするか問題が如実に露呈してしまった。ところで『思い出のマーニー』は観た?
おぐら 観ました。内容の話をする前に、公式ホームページでも「高畑・宮崎両監督が関わらない初のジブリ映画」と謳っていますが、原作となった児童文学作品『思い出のマーニー』は宮崎駿のお気に入りで、映画化のきっかけは米林宏昌監督が鈴木敏夫プロデューサーから「これを映画にしてみないか?」と言われたこと。つまり、監督自ら原作を選んだわけではないんですよ。
速水 駿も「これまでは手も口も出してきたけど、これからは口だけ出して作っていきたい」と言っているらしい(笑)。
おぐら で、マーニーですが、映画のキャッチフレーズは「あなたのことが大好き。」で、これが男女の物語ではなく、女性同士の物語。さらに12歳の主人公・杏奈は対人関係が苦手な少女で、予告編でも流れますが「この世には目に見えない魔法の輪がある。輪には内側と外側があって、私は外側の人間。でもそんなのはどうでもいいの。私は、私が嫌い。」という。この百合感とナイーブな感性は、今の時代にすごく合ってると思いました。ちょうど『アナと雪の女王』の大ヒットともリンクしていて。
速水 でも興行収入はアナ雪のほぼ10分の1なんだけどね。ちなみに、米林監督は1973年生まれ。俺と同い年だ。でもどうもジブリの若い作家たちは、ナイーブ過ぎるんだよね。1993年にジブリがテレビアニメとして作った、氷室冴子原作の『海がきこえる』のときもそうで、駿も「ナイーブ過ぎる」って指摘している。駿自身がつくるものは、実はかなり暴力的で差別的でしょ。
おぐら マーニーも細かい心理描写の演出は素晴らしかったのですが、その主人公・杏奈があまりにメンヘラっぽいというか。夢の世界から現実に戻って来ると、草むらでハッと目が覚めたりして。あんなに何度も夢と現実を行き来していたら、現実との折り合いがつかなすぎるし、まわりの人が心配するし、近くにいたら「この子ヤバいな」って思いますよ。
速水 ポスターを観るだけでも、あの杏奈ではないマーニーのほうは、絶対に実在しないキャラだって思うよね。
おぐら 古めかしい西洋人の金髪にネグリジェですからね。明らかに異次元の人っぽい。出会ったら最初は誰でも「え、幽霊……?」って思うはず。でも映画では普通に人として接しているんですよね。
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