堀川勝元
2014年9月20日17時09分
公共の施設に企業や商品の名前をつける「命名権」(ネーミングライツ)。施設をもつ自治体は新たな財源を確保でき、買い手の企業にとってはPRになる一石二鳥の手法として広がっているが、最近は地元企業が地域貢献目的に名乗りを上げる例も目立っている。
プロ野球巨人のキャンプなどで親しまれている宮崎市の「サンマリンスタジアム宮崎」は10月1日から、「KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎」という愛称になる。
21文字ある長い愛称をつけたのは、焼酎メーカーの「霧島酒造」(宮崎県都城市)。県総合運動公園と同公園内にある同スタジアムなど5施設の命名権を取得。年4千万円で5年契約を結び、全ての施設名の頭に「KIRISHIMA」を加えることにした。が、この愛称が定着するか、関係者は気をもんでいる。
「サンマリンの前に漢字で『霧島』とするべきだった。ローマ字ではわかりにくい」。同社の江夏順行社長は7月、知事から決定通知書を受け取った後、そう漏らした。ただ、担当者が「ロゴマークにしたときのデザイン性も考慮した」とフォローした。知名度が高い「黒キリ」「赤キリ」といった商品名の略称をつける案もあったが、地域貢献を第一の目的にしているため、PR色が濃くなりすぎるとして見送ったという。実際、同社は陸上競技場や武道館などの3施設について、「KIRISHIMA○○○陸上競技場」の○の部分を、県を代表する花・樹木の名前を一般公募し、県と協議して決める方針。
そもそもサンマリンという愛称は2000年に、巨人の長嶋茂雄・終身名誉監督を含む複数からの応募で決まり、地元で親しまれていた。今回も県は、「サンマリン」を残すことを命名の条件にしている。
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朝日新聞社会部
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