三森書店

電子書籍(ビジネス書・小説)中心のブックレビュー。本屋のPOP書きに憧れる日々。

【実用書レビュー】私は誰かを「ほめる」ことで、権力争いを仕掛けてたようです。

嫌われる勇気

嫌われる勇気

 

「本屋さんで売れてる本」ベスト5常連で、何となく敬遠してたアドラー心理学の本。対話形式でアドラー心理学のエッセンスを解いてく内容で、噛み砕いた説明、要所要所でのおさらいなど、導入本的な仕上がり。「何があったか」ではなく「どう解釈するか」のパラダイムシフト(認識の転換)は、結構衝撃です。

すごく耳に痛いなと思ったのが「ほめるという行為には『能力のある人が、能力のない人に下す評価』という側面が含まれています」。ほめるのもぶん殴るのと一緒で、相手にマウンティングする、縦の関係を強いる行為です、というアドラー心理学的解釈。

承認欲求を使った動機付けって当然有効で、私も部下や直属の上司に対して意図的にやります。が、確かにこれは権力争いをソフトに仕掛けてるってことで。対人関係のカードを相手に握らせない、アドラー心理学的考え方からはネガティブな行為であるという"気づき"が、本書一番の自分的ハイライトでした。

ただこの「ほめる」の手法、善意悪意に関わらずやってる人は結構いますよね。そういった意味で、他者に悪用されて、気づかぬうちに縦の関係を強いられないための、自己防衛的心理学本でもあります