安倍改造内閣:「消費税率10%」決断 難しい経済運営
毎日新聞 2014年09月03日 20時49分(最終更新 09月03日 23時59分)
3日の内閣改造では安倍政権の経済政策「アベノミクス」を支えてきた麻生太郎財務相と甘利明経済再生担当相が留任し、政策の継続性を重視した布陣となった。市場では「アベノミクスが加速される」と好意的な受け止めが多い。ただ、今年末に控える消費税率10%への引き上げ(実施は来年10月)の判断や財政再建、人口減少やエネルギー問題など課題は山積しており、経済閣僚の政策実現力が注目されている。【朝日弘行、土屋渓、鈴木一也】
麻生、甘利両氏の続投に対し、市場では「アベノミクス路線を堅実に実行してきた2人の留任は安心材料」(第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミスト)と評価する声が大勢だ。
自民党環太平洋パートナーシップ協定(TPP)対策委員長を務めた西川公也農林水産相の起用にも「実務経験があり、交渉が進展しそう」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)と期待が高い。党政調会長からの起用となった高市早苗総務相にも「党内で成長戦略を練ってきた実績があり、多くの規制を所管する総務相には適任」(SMBC日興証券の渡辺浩志シニアエコノミスト)との声が聞かれた。
市場が特に注目したのは塩崎恭久厚生労働相。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革に積極的な塩崎氏の就任が報道された2日には、GPIFが株式運用比率を高めるとの思惑から株価が上昇した。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「資産運用を見直すだけでなく、合議制に移行するなどガバナンス(統治)改革が必要。塩崎氏は以前からガバナンスの重要性を指摘しており、期待できる」と話す。
塩崎氏には、財政再建に向けた社会保障改革の観点からも市場の注文が相次いでいる。熊野氏は「年金や医療の改革はもはや避けて通れない。放置すれば国民負担が膨らむばかりだ。首相と近い塩崎氏の起用で、政権が改革に本腰を入れると期待できる」とみる。
閣僚以外で市場の関心を集めたのは谷垣禎一自民党幹事長。政府は7〜9月期の国内総生産(GDP)速報(11月17日発表)などを基に景気動向を点検したうえで、12月上旬に消費再増税の是非を最終判断する見通し。2012年に消費増税法案の自民、民主、公明の3党合意にかかわった谷垣氏の就任に、市場では「消費税率の再引き上げを実施するという政権の意思表示」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)との受け止めが広がった。