【社説】安倍首相の親書を韓日関係正常化につなげるには

 日本の森喜朗元首相が19日、韓国大統領府で朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に会い、安倍首相の親書を朴大統領に手渡した。親書の中で安倍首相は、秋に開催される国際会議の場で会うことを提案したという。これに対して朴大統領は日本側に、事前に誠意ある対応を取るよう求めた。朴大統領は19カ月前、安倍首相は21カ月前にそれぞれ就任したが、二人は今年3月に米国を含む3カ国首脳会談で同席したことはあるものの、単独の首脳会談は今なお行われていない。

 現在の韓日関係は「複雑骨折」「1965年の国交正常化以来最悪」などと言われるほど、これまでになく悪化した状態が続いている。その責任は全て日本側にある。安倍首相は就任直後から戦争責任を否定するかのような発言を続け、昨年12月にはA級戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社への参拝を強行した。さらに昨年2月には独島(日本名:竹島)を日本領土と主張する島根県の行事に政府の高官を初めて派遣。極めつけは今年6月、従軍慰安婦動員の強制性を認めて謝罪した河野談話の検証を行い、これを政治的・外交的な交渉の産物などと決めつけてしまった。

 日本による挑発的な動きが続く中、韓国政府は歴史問題に関しては今まで通り原則に基づいて対処しながらも、安全保障や経済などの問題については柔軟に対応する方向で動き出した。19日には日本で慰安婦問題について話し合う局長級の協議が行われ、次官級の戦略対話も近く行われる見通しだ。一つの問題で全てが行き詰まるようでは、国際社会の複雑な現実に対応することはできない。双方が共に関係修復に向けて積極的に動くことは、現実的な選択と見てしかるべきだろう。韓日間の対話は、北朝鮮の核問題解決や北東アジア秩序の再編成といった問題に、より積極的に対応するためにも必要なことだ。

 問題は日本側の態度だ。韓日関係の特殊性から考えると「歴史問題」と「安全保障・経済」は分けて考えようと思ってもそれは決してできない。もし安倍政権がこれまでやって来たことを今後もそのまま続けるのであれば、両国関係はいつ破綻するか分からない。首脳会談の後に安倍首相が靖国神社を参拝し、侵略戦争を否定する発言を繰り返せばどうなるだろうか。日本の態度に変化が見られない状態で、韓国だけが方向性を見直したとすれば、日本は「韓国は日本の言いなりになった」だとか「歴史問題で行動の自由を得た」などと誤って認識する恐れもあるだろう。

 今月23日に国連で開催される気候サミットと24日の国連総会に朴大統領と安倍首相はいずれも出席する。11月に中国で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議にも2人はそろって出席する。今必要なことは首脳会談を可能にするための日本の誠意ある対応と、これを通じた友好的な環境の造成だ。それによって光復(日本の支配からの解放)から70年、国交正常化50年という節目となる来年を、今とは異なった雰囲気の中で迎えられるようにしたいものだ。

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