子供の貧困:世代間連鎖を断ち切りへ…対策大綱を閣議決定
毎日新聞 2014年08月29日 21時40分(最終更新 08月29日 21時59分)
政府は29日、「子供の貧困対策大綱」を閣議決定した。貧困の世代間連鎖を断ち切るため、学校で子供の生活相談にのるスクールソーシャルワーカーの増員や、ひとり親家庭の親に対する就労支援、保護者の学び直しへの支援など(1)教育(2)生活(3)保護者の就労−−など4分野計約40項目にわたる重点施策を示した。
大綱は1月施行の「子どもの貧困対策法」に基づくもの。「子供の将来が生まれ育った環境で左右されることのないよう、貧困対策は極めて重要」としている。文部科学省や厚生労働省は2015年度予算に対策事業の拡充を要求する方針。
今後、改善されたかどうかは、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合を示す「子供の貧困率」や、生活保護世帯の子の大学進学率など25の指標を使って検証する。
子供の貧困率は12年に16.3%と過去最悪を更新したが、今回は25指標に関する数値目標は掲げていない。「給付型奨学金」創設など現金給付拡充に関する要望もあったが見送られた。【遠藤拓】
◇「子供の貧困対策大綱」の主な施策
【教育の支援】
・スクールソーシャルワーカーの増員
・高校生に対する奨学給付金の増額
・所得連動返還型奨学金の導入準備
・生活困窮世帯への学習支援
【生活の支援】
・児童養護施設の退所者支援
・ひとり親家庭の子供の居場所作り
【保護者に対する就労支援】
・保護者が高卒資格を取得できるよう支援
・ひとり親家庭の親への就労支援
【経済的支援】
・ひとり親家庭の支援策に関する調査、研究
・母子家庭向けの貸付金を父子家庭にも拡大
・養育費の確保支援