そもそも、ビジネスにおける資料は、なぜ見やすい必要があるのだろうか。また、見やすい資料とはどんなものだろうか。
「資料は内容が重要だ。見た目は二の次でよい」という人は、今も少なくない。こうした人は、練りに練った内容の資料さえ作れば、それで問題がないと考えているようだ。
■「見た目は二の次」は誤り
私は、こういった考え方には賛成できない。資料の内容が重要なのは当然のことだ。しかし、その内容の見せ方も同様に重要であると私は考えている。
なぜなのか。それは、資料を目にしたときに、その内容がすぐに頭の中に入ってくるような資料でなくては、言いたいことが伝わらないためだ。いくらすばらしい内容を記した文章であっても、読むことさえ難しい汚い文字で書かれていたら台無しである。それと同様に、ひどく見にくい資料は紙切れ同然となってしまうこともある。せっかく内容を吟味したのに、あまりにもったいないことだ。
また見やすい資料は、それを読み解くのに必要な時間を大幅に削減することができる。前述したように、理想は、一読しただけでその内容がしっかり理解できる資料を作成することだ。
例えば20人が参加する会議において、内容が一目で理解できる資料を提示したとしよう。本来必要だった口頭での説明の時間を15分短縮したとすると、それはその企業にとって従業員の就業時間の300分、すなわち5時間を削減できた、と考えることができる。
企業にとって、時間は最も大切な資源。それを有効に活用するためにも、資料の作成者が少しの手間をかけて資料を見やすくすることには、大きな意味がある。そういったこともあり、多くの外資系企業では、作成する資料がある程度テンプレート化されている。テンプレートの作成を有名なデザイナーに依頼することも少なくない。
■ミニマリズムが基本
では、見やすい資料とはどういうものなのか。私は今までの仕事やNPO(非営利組織)における活動を通じて、多くの人に見やすい資料の作り方を伝えてきた。その経験から、原則は結局のところ、次の二つに集約されると考えている(図3)。
第1に、見やすい資料はシンプルであるということ。より詳しくいうと、見やすい資料には、その資料に記載されている全ての情報に意味があり、無駄な情報は一切ない。必要な情報だけを残し、それ以外は削ぎ落としていくという「ミニマリズム」が、見やすい資料の基本といってよいだろう。
第2の原則は、見やすい資料は人間の認知のメカニズムに沿っているということだ。人間は左右に一つずつ目があり、それがどのようにモノを見て認識するかが、ある程度まで解明されている。こうした人間の性質に配慮し、資料を作成することが大切だ。
つまり、「記載する情報を最大限に絞り、読む人に配慮すること」が見やすい資料を作るための原則、ということだ。Excel表について、図1と図2にある作例を使いながら、見やすい表を実際に作っていくことにしよう。
Excel、表、フォント、コンサルタント
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