デング熱:69年ぶり国内感染を確認 埼玉の10代女性

毎日新聞 2014年08月27日 10時30分(最終更新 08月27日 13時30分)

 厚生労働省は27日、埼玉県在住の日本人の10代女性がデング熱に感染したと発表した。今月下旬に発症し現在も入院中だが、容体は安定しているという。女性に海外への渡航歴はなく、国内での感染例は69年ぶり。デング熱は蚊が媒介して感染するため、同省は女性の住む自治体と協力し他にも患者がいないか調査を実施。全国の医療機関に対し、渡航歴がなくてもデング熱と疑われる症例があれば検査するよう求めた。

 厚労省によると、女性は東京都内の学校に在学中。8月20日に突然高熱が出て、さいたま市内の医療機関に入院した。同25日に医療機関から同市を通じて厚労省に連絡があり、翌26日に国立感染症研究所で血液を調べたところ、抗体検査などで陽性反応が出た。

 デング熱は通常、感染の3〜7日後に突然発熱し、激しい頭痛や筋肉痛、発疹などを起こす。日本に一般的に生息するヒトスジシマカもウイルスを媒介する。海外で感染して国内で発症する例が年200例ほどあり、厚労省は海外で感染した人のウイルスが、蚊を介して女性に感染したとみている。ウイルスを持つ蚊は通常、越冬できないという。

 厚労省は今年1月、日本を旅行し帰国したドイツ人女性がデング熱に感染していたため、日本国内で感染した疑いがあると発表していた。【桐野耕一】

 ◇デング熱

 デングウイルスに感染した蚊(海外では主にネッタイシマカ)が媒介する感染症。ヒトからヒトへは感染しない。高熱や激しい頭痛、関節痛などを発症し、多くは回復するが、一部は重症化して死亡する。対症療法以外の治療法や抗ウイルス薬、ワクチンはない。世界保健機関(WHO)は、アジア、中南米、アフリカなど熱帯・亜熱帯地域で毎年5000万〜1億人の患者が発生していると推計している。

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