「手に汗握る」というと普通、
熱戦が繰り広げられているスポーツの試合だったり、ハラハラドキドキするようなスリル満点の映画だったり、あるいは、レベルが拮抗している相手との対戦ゲームだったり。そういう場面で主に使われる表現だと思うんだけど、私の場合、毎日手に汗握っている。職場で。
ひとたび電話が鳴れば全身の毛穴から汗が吹き出し、筋肉は硬直し、心臓が飛び出る。
1コールごとに、確実に10秒は寿命が縮まってると思う。
なんというスリリングな毎日。
そんな私ですが、もしかして自分は吃音(きつおん)症なんじゃないか、と疑っている。
吃音っていうのは「どもり」のことで、どもりっていうと「お、お、おにぎりが食べたいんだなぁ・・・」の、山下清さんがモデルになっていることでお馴染み、裸の大将が思い浮かぶ。
そういう、「こ、こ、こん、こんにちは・・・」みたいに、同じ言葉を「連発」してしまうものだけが吃音だと思っていたけど、分類があるみたいで、どうやら私は「難発性」の吃音があるようだ。主に電話対応の時。
以前、「疲れがたまるとろれつが回らなくなる」っていう記事を書いた。
疲れが溜まると全然舌が回らなくなって、言葉がつっかえたり噛んだりしてたんだけど、最近、疲れがたまってなくてもそうなってることに気づいた。
特に、電話を取った時の第一声がつっかえてうまく喋れない。急に頭の中が空っぽになって言葉が出てこなかったり。あと、濁点とタ行がいいにくいから避けてしまったり。
どもると恥ずかしくて消えてしまいたくなるから、できれば電話なんて取りたくない。でも、鳴るから取る。怖い。
みんなは普通に走っているのに、私だけハードルがいっぱい置かれたグラウンドを走っているようなもん。しかもよく転んで、ヒザから血を流しながら走っている。つらい。
そういえば私は職業柄よく謝るんだけど、仕事じゃなくてもよく謝ってるんだけどね、「すいません」って。
すいませんって言い易い。
「すいません」より「ありがとうございます」って言った方が気持ちがいいんだろうけど、「すいません」ってさらっと出てくるから好き。
どうしてもお礼が言いたい場合は、「すいません、ありがとうございます」と言う。すいません、を踏み台にして勢いをつけないと言い辛いから困る。
公園の遊具で言うとすいませんは滑り台で、ありがとうございますは丸太ステップとか、そんなかんじ。
…
つまり、いままでの話を要約すると、「この仕事合ってないから早くやめたい」。