September 19, 2014
「ただより高いものはない」という言葉があるが、最新の研究によると、“カロリーゼロ”食品に使われる人工甘味料にも当てはまるようだ。イスラエルの研究チームは17日、サッカリンなどの人工甘味料は腸内細菌を変化させて血糖値レベルを引き上げる可能性があると発表した。砂糖の代用品である人工甘味料が、避けるべき状況を逆に招いていることになる。
人工甘味料は砂糖の安い代用品として1世紀以上前に発明され、“ノンシュガー”の炭酸飲料やダイエット食品に豊富に使われている。肥満症が蔓延する中、アメリカ食品医薬品局(FDA)は6種類を承認済みで、広く普及している中には砂糖の500倍の甘味料もある。食品や飲料のカロリーを削減し、血糖値レベルの上昇や、「糖尿病予備軍」とも言える耐糖能異常(たいとうのういじょう)を防ぐと考えられている。
しかし、糖尿病のリスクという点では、ダイエット炭酸飲料と同種のほかのドリンクに大した違いはないようだ。この分野では初めての研究がその理由を示唆している。答えは私たちの体内、中でも人工甘味料に・・・
人工甘味料は砂糖の安い代用品として1世紀以上前に発明され、“ノンシュガー”の炭酸飲料やダイエット食品に豊富に使われている。肥満症が蔓延する中、アメリカ食品医薬品局(FDA)は6種類を承認済みで、広く普及している中には砂糖の500倍の甘味料もある。食品や飲料のカロリーを削減し、血糖値レベルの上昇や、「糖尿病予備軍」とも言える耐糖能異常(たいとうのういじょう)を防ぐと考えられている。
しかし、糖尿病のリスクという点では、ダイエット炭酸飲料と同種のほかのドリンクに大した違いはないようだ。この分野では初めての研究がその理由を示唆している。答えは私たちの体内、中でも人工甘味料にさらされる腸内細菌にあるという。イスラエルのレホボトにあるワイツマン科学研究所のエラン・シーガル(Eran Segal)氏とエラン・エリナブ(Eran Elinav)氏が率いる共同研究チームが発表した。
「生まれたときから体内には、巨大でほとんど未解明の微生物の世界が存在し、私たちの生理に大きな影響を与えている」とエリナブ氏は語る。「予備的な研究だが、人工甘味料の摂取は腸内細菌に影響を与え、一部の人に耐糖能異常を引き起こす可能性があるようだ」。
◆マウスと人間の腸内細菌に変化
研究チームはまず、FDAが承認済みの3種類の人工甘味料、サッカリン、スクラロース、アスパルテームのうち1種類をマウスの飲用水に添加し、水だけを飲んだマウスのグループと比較。人工甘味料を摂取したマウスは11週間以内に耐糖能異常が発現し、特にサッカリンを添加した場合に顕著だった。
次に、マウスの腸内細菌への影響を確認するため、抗生物質を投与して腸内細菌を消滅させたところ、マウスの血糖値レベルは正常に戻ったという。
最後に、耐糖能異常のマウスから採取した糞便試料を正常なマウスにエサとして与えたところ、正常だったマウスは6日以内に耐糖能異常を発現した。
実験後に腸内細菌を分析すると、耐糖能異常のマウスで炭水化物(糖質)の消化に関わる細菌が増殖している事実が判明した。
「これには驚いたよ。直感に反する結果だったからね。人工甘味料は消化管では吸収されないと考えられているが、明らかにその能力が変化している」。
この異常が人間にも当てはまるか確かめるため、シーガル氏率いる研究チームは、381人を対象に栄養調査を実施。すると、人工甘味料の摂取、肥満の兆候、血糖値の上昇と、マウスで影響を受けた同種類の腸内細菌との間に関連性が見つかった。
特に、腸内の炎症に関わる細菌「バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)」の数が20倍に増えていたという。
「過去1世紀の間に加工食品が普及する中、人工甘味料への移行と同時に、肥満や糖尿病も劇的に増加している。本来は抑制するはずだった生活習慣病を、逆に助長する方向に直接貢献している可能性が否定できない」と研究チームは結論付けている。
今回の研究結果は、「Nature」誌オンライン版に9月17日付けで発表された。
Photograph by Sam Hodgson / Reuters