逸ノ城(右)が寄り切りで旭秀鵬を破る=両国国技館で
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◇大相撲秋場所<6日目>
白鵬(29)=宮城野=と鶴竜の両横綱、新入幕の逸ノ城がそろって勝ち、6連勝とした。3場所連続31度目の優勝を狙う白鵬は嘉風を一方的に寄り切り、鶴竜は宝富士を突き落とし、逸ノ城は旭秀鵬を寄り切りで破った。その逸ノ城を、白鵬は「白鵬以上」と大絶賛。大関陣は稀勢の里が遠藤を上手出し投げで退け、1敗を堅持。全勝の3人を1敗で稀勢の里、旭天鵬と隠岐の海の平幕2人が追う。
ジリジリとペースを上げてくるのが白鵬のいつものパターン。初日、2日目と引き技のはたきで勝負を決めてきたが、この日は好調の嘉風をつかまえて寄り切り。
相手の素早い動きにもしっかり対応。前に攻めての白星に「まっ、ついていけたんじゃない」と涼しい顔で結びの一番を締めくくった。
これで6連勝。白鵬にとっては、これもいつものことだが、気になる存在がひとり。新入幕の逸ノ城だ。全勝力士の中で最初に登場する逸ノ城のことを「最年少か。ついていきたいね」と持ち上げた。
5日目の取組後も逸ノ城のことを聞かれていたが、そのときは「稽古場とは見違えた」。場所前の稽古場ではそうでもなかった? 「そうなんだけどねえ」と言うにとどめたが、この日は大絶賛だ。「力強さとか、柔らかさとか言ったらきりがない」。土俵上で落ち着いている姿には「気持ちの強さ」も認め、「心は大関級」と続けた。
白鵬が新入幕したのは2004年夏場所。そのとき衝撃的なデビューを飾っている。東前頭16枚目ながら11勝3敗できていた白鵬は、千秋楽に朝青龍と優勝を争っていた北勝力との対戦が組まれた。その一番に引き落としで勝って12勝3敗。朝青龍の優勝を援護し、敢闘賞も受賞した。
当時の自分を思い出す? そう聞かれると「自分はもっとすきがあったかな」。今場所で千代の富士と並び史上2位タイとなる31回目の優勝を目指す白鵬。そんな白鵬が自分を超える存在だと認めた。
となれば、すでに「横綱級」の器。いつか実現する対戦を、楽しみに待つ。 (岸本隆)
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