1954年に米国がマーシャル諸島ビキニ環礁で実施した水爆実験を巡り、厚生労働省は19日、周辺海域で操業していた漁船の乗組員の被曝(ひばく)線量検査などに関する資料を、情報公開請求していた高知県の市民団体に開示した。
ビキニ水爆実験は54年3~5月に行われ、静岡県焼津市のマグロ漁船、第五福竜丸の乗組員23人が被曝し、1人が死亡した。同省はこれまで第五福竜丸以外の被曝について「記録を保有していない」としていた。
厚労省が今回公開した資料によると、水爆実験当時に周辺海域で操業していたのは延べ556隻。このうち1分あたりの放射線計測回数「cpm」が魚の廃棄基準だった100以上の乗組員がいた船は12隻だった。
最も被曝した乗組員は988cpmで、2週間被曝し続けた場合の放射線量は1.68ミリシーベルトに相当するという。同省担当者は「健康被害が生じるとされる値を大幅に下回る」と説明している。
一方、市民団体側は「第五福竜丸以外の漁船の乗組員がどれだけ被曝していたのか検証したい」としている。
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