◇大相撲秋場所<5日目>
稀勢の里(左)が寄り切りで常幸龍を下す=両国国技館で(大泉謙也撮影)
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(18日・両国国技館)
稀勢の里が小結常幸龍を寄り切って4勝目を挙げ、大関陣では唯一1敗を守った。新大関豪栄道は小結千代大龍をはたき込み、2連勝で白星を先行させた。琴奨菊は嘉風に引き落とされ、2敗目を喫した。白鵬と鶴竜の両横綱は全勝を守った。白鵬は碧山をあっさりと引き落とし、鶴竜は高安をはたき込んだ。5連勝は新入幕逸ノ城を加えた3人になった。横綱日馬富士は右目周辺の骨折で休場となった。
これが大関たる相撲。そんな内容だった。稀勢の里が得意の左四つに組む。初顔合わせの常幸龍に土俵際で少し粘られたものの、難なく寄り切った。「勢いがありますから。油断できない。慌てず」。2日連続となる初顔。それだけにゆっくり、慎重に攻めた。
平幕に2敗目を喫した琴奨菊。はたいて勝った新大関の豪栄道。そんな2人を尻目に1敗の稀勢の里が大関陣を引っ張る。2009年九州場所以来となる日本出身3大関で幕を開けた秋場所。だが、豪栄道は既に2敗。前日の朝稽古後、「関脇とは違うし、負けちゃいけない立場になる。(豪栄道は)大変だと思う」と新大関だった12年初場所の自身を重ね合わせた。名古屋場所で優勝争いを展開した琴奨菊も2敗。だが、2度の綱とりを経験していることもあってか、今場所の稀勢の里は余裕を感じさせる。
朗報もある。「新・田子ノ浦部屋」が完成間近だ。東京・江戸川区に建設中で11月に完成し、12月の冬巡業後に部屋開きを行う。昨年末に師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が年寄名跡を変更したため、鳴戸部屋が消滅。田子ノ浦部屋になってから、東京・墨田区の旧三保ケ関部屋を借りて汗を流してきた。上がり座敷は約20畳で“間借り”する今の部屋より広くなるという。
田子ノ浦親方は「稀勢の里には頑張ってほしいね。部屋ができるまでに優勝できたらいいよね」と師弟にとって悲願の初賜杯に期待を込める。序盤戦を終えて「(動きは)悪くないですよ」と稀勢の里。新しい部屋の完成までに、06年初場所の栃東以来となる日本出身力士Vという最高の結果で華を添えたいところ。今場所の稀勢の里なら、そのチャンスを生かせるはずだ。 (永井響太)
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