六回、荒木の打球が直撃したが、根性で投げ続けた【拡大】
聖地に勝利のジェット風船が舞う。藤浪は松田から渡された10個目のウイニングボールをそっと左ポケットにしまった。セ・リーグ46年ぶりの高卒新人から2年連続2桁勝利。20歳の若者がまた1つ歴史の扉を開いた。
「初回からいきなり四球を出して、いきなり先制点を与えてしまって…。ここに立っていていいのかな、という気持ちですが、たくさん点を取っていただいた野手の方に感謝したいです」
お立ち台で申し訳なさそうに話した。内容に満足できないのは、ローテ投手のプライドだ。一回に先頭打者の四球をきっかけに、上本の悪送球で2失点。二回にも1点を失うなどバタついたが、ここから崩れなかった。
フォームを微修正し、闘志むき出しに剛腕を振るった。六回二死一、二塁では荒木の打球が左ふともも付近を直撃。治療後に再びマウンドへ。満塁で大島を空振り三振に斬り「よっしゃ!!」と咆えた。7回9安打3失点(自責1)で10勝目。高卒1年目から2年連続2桁星は2000年の松坂、セ・リーグでは1968年の江夏以来だ。
「タイガースで高卒で何かをするたびに、江夏さんという大先輩の名前が付いてまわる。少しでも近づけるように、がんばりたい」