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「池上彰」が連載引き上げを決めた「朝日新聞」の言論封殺的「掲載拒絶」――おごる「朝日」は久しからず(1).
〈偽善の裡(うち)に住みさえすれば、人が美徳と呼ぶものに対して、心の渇きを覚えたりすることはなくなるのである〉(三島由紀夫著『美徳のよろめき』)。この一節に、言論封殺的な朝日の顔かたちが凝縮されている。すなわち、自社を論難するコラムを拒絶し、読者に好い顔をせんとする白々しさ。結果、執筆者のジャーナリスト・池上彰氏(64)は、連載引き上げを決めたのだ。

 2007年4月にスタートし、200回に垂(なんな)んとしていた池上氏による「新聞ななめ読み」。朝日の紙面にあって、ときに朝日への異議申し立てが舌鋒鋭いと評判だった連載である。

〈大好きな新聞紙面を借りて、ニュースを解説することになりました。朝日の記事をやり玉に挙げることもあります〉

 と、初回に彼が宣言した通り、歯に衣着せぬ物言いが真骨頂だった。

「池上さんは次回に掲載予定のコラムとして、一連の慰安婦検証報道を取り上げました。内容は、“一部記事の取り消しだけでなく、読者に対して真摯な態度で謝罪すべきだ”というものです」

 と、さる朝日幹部が次のように続ける。

「受け取った担当者は、“いい原稿だ”と掲載に向けて作業を進めていた。それが果せるかな、上役によって、“罷(まか)りならん”と退けられたのです」

 むろん、池上氏の正鵠を射た指摘が、耳に痛かったのだ。

■信頼関係が崩れた

「“朝日は謝罪すべきだった”と書いたのは間違いありません。とにかくこのコラムに関しては、何を書いてもいいと言われてきました。実際、朝日の批判をしても、そのまま紙面に反映されていたのです。ただ今回は、掲載を見合わせたいと伝えられました」

 そのように、深い失望の調子をもって語るのは、池上氏ご本人である。

「編集権は向こうにありますから、とやかく言いません。もっともこちらとしては、朝日との信頼関係が崩れたと考え、連載を打ち切りたいと申し入れました。“朝日さんとの関係はここまでですね”と。批判を受け入れる度量の広さが、それまではあったのですが」

 良心たる自社批評コラムすら、掣肘(せいちゅう)する暴挙に出た朝日上層部。彼らが棲む“偽善の館”には、排外主義が疫病のように猖獗(しょうけつ)しているのだ。

「特集 おごる『朝日』は久しからず」より
週刊新潮 2014年9月11日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです。
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