【正論】「兵力逐次投入」で失敗した朝日 防衛大学校名誉教授・佐瀬昌盛 (1/3ページ)

2014.09.17


 佐瀬昌盛・防衛大学校名誉教授【拡大】

 朝日新聞が傷口をますます深めている。8月5、6日付で慰安婦問題で大記事を掲げ、吉田清治関連で過去の報道を「取り消し」、9月11日には木村伊量(ただかず)社長が福島第1原発事故の吉田昌郎所長「聴取結果書」(調書)をめぐる誤報を認め、またもや記事を取り消したうえ謝罪する事態となった。何の謝罪もなかった8月から9月には態度が変わった。もっとも謝罪には2種類あり、1つは吉田調書問題、もう1つは吉田清治問題に関わる。後者は8月には謝罪なしの記事撤回だけだったから今回、遅ればせのゴメンナサイが加わったわけだ。何ともややこしい。

 ≪慰安婦虚報謝罪が先のはず≫

 2種の謝罪をもう一度整理しよう。今回の社長記者会見は吉田調書問題での謝罪が主目的であり、慰安婦問題でのゴメンナサイは従、つまり、付け足しである。前者だけでは済みそうになく、後者もほじくられるだろう。ならばこの際、虚報の「撤回遅れ」も序(つい)でに謝ってしまえ、と計算されたようだ。しかし、性質のまるで違う重大な2問題を単一の記者会見で扱うのは、本来は無理だ。どうしても1回でと望むのなら、時間順に従ってまず、吉田清治虚言問題で謝り、次に原発事故調査問題で謝罪すべきだったろう。朝日社長はその逆をやってしまった。

 2つの謝罪の持つ意味の違いも問題である。朝日新聞にとっては両方ともに不名誉なことだろう。だが、国際的見地からすれば、吉田調書問題と慰安婦問題とでは意味合いが大きく違う。前者では誤報の謝罪によるマイナス影響を被るのは朝日ブランドだけである。ところが後者ではそうではない。朝日ブランドも日本の評価もともに深刻に揺さ振られる。朝日の長年のキャンペーンで性奴隷許容国家説が国際的にかなり行き渡ってしまったからだ。国連のクマラスワミ報告一つをとってみても、それは明瞭だ。だから吉田調書誤報よりも慰安婦虚報の謝罪にこそ、朝日はより真剣になるべきだった。が、この点でも逆だった。

 

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