【阿比留瑠比の極言御免】朝日新聞、菅元首相擁護の不可解…   (1/2ページ)

2014.09.18

 政府が11日に公開した東京電力福島第1原発事故にかかわる政府事故調のヒアリング記録の中で、現地対策本部長を務めた池田元久元経済産業副大臣の証言が注目を集めている。事故発生翌日の平成23年3月12日早朝、現地を訪れた菅直人首相(当時)が、誰彼かまわず怒鳴り散らす様子が活写されているからだ。

 ◆「数少ない場面」?

 「イラ菅にしても今日はひどすぎる」「大荒れでした」「大変な激高」…。

 これに対して菅氏自身は今月17日付の自身のブログで「怒鳴ったという意識はない」「全くの誤解だ」などと否定している。だが、池田氏が政府事故調に対してこう指摘している部分については触れていない。

 「非常に遺憾なのは、(菅氏が)打ち消しにかかって、あの日以外はほとんど冷静だったと朝日(新聞)の記事で言わせたり」

 これを読み、かつて朝日の長期連載企画「プロメテウスの罠(わな)」に覚えた強烈な違和感を思い出した。24年度新聞協会賞も受賞したこの名物連載記事は、菅氏の原発視察の場面(24年1月27日付)で次のように記していたからである。

 「このときの菅は憤りを隠さなかった。本人も否定しない」

 「3月11日以来、菅が感情をむき出しにした数少ない場面だった。しかしこのときのイメージが『怒鳴り散らす菅』の印象を増幅させた」

 朝日は24年1月4日付の同連載記事でも「(事故発生3日後の)菅の口調は落ち着いていた」と描写していたが、震災発生後の菅氏が周囲に当たり散らし、怒鳴りまくっていたことは当時、首相周辺を取材していた記者には当たり前の常識だった。首相秘書官からは直接、こんな話も聞いた。

 「菅さんがあまりに感情的に怒鳴りつけてくるので、秘書官同士で『きょうは何ミリ菅シーベルト被曝(ひばく)した』とか言い合っている」

 また、首相周辺の一人は夜回りの記者団に「いま菅さんから電話がかかってきたけど、『あうあうあう』と言うばかりで何だか分からないから適当に切ったよ」と言い放った。

 こうした実態を日々うんざりするほど見聞していた身にとって、朝日の記事は不可解そのものだった。

 

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