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被ばく船員の検査記録存在=第五福竜丸以外も、556隻―ビキニ水爆実験で・厚労省

時事通信 9月19日(金)20時43分配信

 1954年に米国が太平洋ビキニ環礁などで行った水爆実験で、静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」だけでなく、周辺海域で操業していた漁船延べ556隻について、乗組員の被ばく量を検査した記録が存在していたことが19日、分かった。市民団体の情報公開請求に対し、厚生労働省が開示した。
 厚労省はこれまで、第五福竜丸以外の被ばくについて、「実態を把握しておらず、記録も保有していない」としていた。今回の開示について、「改めて探したら見つかった」と説明している。
 記録によると、旧厚生省は第五福竜丸の被ばく直後から、周辺海域で操業していた漁船の検査を開始。54年3〜6月に指定された5港へ入港した延べ556隻の船体と乗組員、捕獲した魚の放射線量を調べた。
 乗組員の被ばく量は最大で毎分988カウントで、2週間同じ量を浴び続けても約1.68ミリシーベルト。第五福竜丸の乗組員(1.6〜7.1シーベルト)より大幅に低く、国際放射線防護委員会が緊急時の被ばく限度と定めた100ミリシーベルトも下回った。
 実態調査を進める市民団体「太平洋核被災支援センター」(高知県)の山下正寿事務局長は、「記録があったことははっきりしたが、被ばく量は元船員や遺族の話から考えると低すぎる。持ち帰って専門家と検討したい」と話した。
 ビキニ水爆実験で国は、第五福竜丸の乗組員以外に放射線障害は認められないとして、継続的な健康調査をしていない。 

最終更新:9月19日(金)21時47分

時事通信

 

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