認知症 保護された身元不明者300人余9月19日 18時52分
認知症による、はいかいなどで自治体に保護されたものの、身元が分からないまま介護施設などで暮らしている人は全国で35人いて、認知症以外の知的障害などで身元が分からない人を含めると300人余りに上ることが、厚生労働省が初めて行った調査で分かりました。
認知症やその疑いがあり、はいかいなどで行方不明になる人は年間1万人を超え、ことし5月には、群馬県内の介護施設に保護されていた女性の身元がNHKの報道をきっかけに7年ぶりに確認されるなど、長期間身元が分からないままになっている人の存在が相次いで明らかになっています。
厚生労働省は、こうした身元不明者の実態を把握するため全国の自治体を対象に初めて調査を行ったところ、認知症による、はいかいなどで保護され、身元が分からないまま介護施設などで暮らしている人は少なくとも10の都府県の26の市区村で35人いることが分かりました。
性別は男性が24人、女性が11人で、保護されてから10年以上たっている人も6人いるということです。
また認知症以外に知的障害などがあって身元が分からない人を含めると、139の市区町村で合わせて346人に上るということです。
行方不明になった認知症の高齢者を捜す家族からは、保護した時期や場所、身に着けていた衣服などの情報を明らかにしてほしいという声が上がっていますが、ほとんどの自治体は、個人情報の保護を理由に公開をためらっているのが現状です。
厚生労働省は、情報を公開して身元の特定につながったケースもあることから、自治体に対し積極的に情報を公開するよう求めることにしています。
多くの自治体は情報公開に消極的
認知症による、はいかいなどで身元が分からないまま自治体に保護されている人について、厚生労働省は身元の特定を進めるため、先月・8月、自治体が公開している情報を一括して閲覧できるインターネットのサイトを開設しました。
しかし、現在、掲載されているのは5つの自治体の僅か6人にとどまっていて、多くの自治体では個人情報の保護を理由に情報公開に消極的なのが現状です。
厚生労働省は、保護された場所や日時、性別や身体的な特徴などの情報は身元を特定する有力な手がかりになるとして自治体に対し積極的に公開するよう呼びかけています。
専門家「国は指針づくりを」
個人情報の問題に詳しい清水勉弁護士は「個人情報の中でも個人の特定に直接つながらない範囲であれば公開が可能で、自治体は本人や家族のためにも、保護した日時や場所、性別や身体的特徴など身元の特定につながる情報を早急に公開すべきだ。自治体がトラブルをおそれてちゅうちょするなか、国はガイドラインをつくるなどして自治体の情報公開を後押しすることが必要だ」と話しています。
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