ドルが6年ぶり高値、FOMC金利予測引き上げで-108円後半
9月18日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、ドルが対円で6年ぶり高値を更新。米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの金利予測が引き上げられたことを受け、ドル高が加速した海外市場の流れが続いた。
前日の海外時間に1ドル=108円台に乗せたドル・円相場は、東京市場に入ってからもじりじりと値を切り上げ、午後には一時2008年9月8日以来の水準となる108円87銭を付けた。ユーロ・ドル相場も朝方に昨年7月以来の水準となる1ユーロ=1.2835ドルまでドル高が進行。その後は1.28ドル台後半でもみ合う展開となった。
IGマーケッツのスタン・シャムマーケットストラテジストは、「米金融当局のタカ派への転換がドルを押し上げている」とし、「ドルは恐らく非常に好調な状態が続くだろう」と語った。
一方、日本株の上昇を背景に、リスク選好に伴う円売り圧力が強まり、円は対主要通貨でほぼ全面安となっている。ユーロ・円相場は1ユーロ=139円台前半から一時140円07銭まで値を切り上げ、6月9日以来の円安値を付けた。
FOMCFOMCが17日発表した参加者の予測(中央値)によると、15年末のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標は1.375%と、6月時点の1.125%から上方修正された。今回初めて発表した17年末時点の政策金利予測は3.75%。これは長期的に到達すると見込まれる緩和でも引き締めでもない政策金利の中立水準とみなされる。
FOMCは債券購入額を月150億ドルにする方針を発表し、10月で資産購入プログラムが終了するペースを維持した。声明では、資産購入が終了した後も事実上のゼロ金利政策を「相当な期間」維持する方針をあらためて示した。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は「相当な期間」について、カレンダーに基づく目安ではないと説明。「それはかなりの条件を伴うものであり、FOMCの景気判断と関連する」と述べた。
三菱東京UFJ銀行の野本尚宏調査役(ニューヨーク在勤)は、政策金利予測が上方修正され、特に17年の見通しが市場予想よりも高めだったとした上で、今後については「完全に指標次第になってきた」と指摘。特に雇用関連で強い指標が出てくると、金利が当局の見通しに追いついて、「下手するとマーケットは先を織り込みに行くので、そのときに金利はちょっとオーバーシュートするかもしれない」と言い、「そうするとドル・円はもう少し上がるかもしれない」と話した。
FOMC声明は「労働市場の状況はやや一層改善した」としながらも、労働市場のさまざまな指標は「労働力の活用がなお極端に低い状態にあることを示唆している」と指摘した。インフレについては「委員会の中長期的な目標を下回る状況が続いている」との見解を示した。7月の声明では「委員会の中長期的な目標にやや近づいた」としていた。
ドルロング17日の米国債市場ではFOMCの金利予測引き上げを受け、5年債利回り が1年ぶりの水準まで上昇。10年債利回りは7月以来の高水準を付けた。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数 は10年6月以来の水準まで上昇。野本氏は、ドル・円について、米国株が下落していない上に、「日本が貿易赤字なので、東京時間に下がる要素がない」と指摘。もっとも、FOMCの結果を受けて、「みんなドル・円のロングを一気に作り始めている」ため、「今後は何かあると調整がちょっと深くなるかもしれない」と語った。
財務省が18日発表した8月の貿易統計(速報値)によると、貿易赤字額は前年比2.4%減の9485億円だった。ブルームバーグ・ニュースの調査による貿易赤字の予想中央値は1兆289億円だった。
この日の東京株式相場は上昇。日経平均株価 は1月以来の1万6000円台に乗せ、午後の取引では一時217円高まで上昇幅を拡大した。
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更新日時: 2014/09/18 15:17 JST