ドイツで21日まで開催中の
フォトキナ2014より。パナソニックが15日に発表したLUMIX DMC-CM1は、通話可能なAndroid端末でもあるコンパクトデジタルカメラです。
仕様は有効2010万画素の1型MOSセンサー、35mm判換算で28mm開放F2.8の単焦点レンズ、画像処理用ヴィーナスエンジン。SoCにはSnapdragon 801を採用。Androidのバージョンは4.4.4 Kitkat (展示機)。
プレミアムクラスといって差し支えないカメラでありつつ、Android端末としても高い水準を目指した意気込みを感じる製品です。続きでは実機を試用した印象をお伝えます。
Panasonic LUMIX DMC-CM1 Android端末を兼ねるデジタルカメラ
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15 枚
ベースはAndroidであり、カメラとしての機能は標準のフォトアプリをカスタマイズした専用アプリから立ち上げます。サイズ感だけを見ると「カメラ性能に特化したスマートフォン」というイメージですが、実際に触ってみると「カメラにスマートフォンとしての機能を取り込んだ」印象を受けます。
本体側面にはカメラ操作部を配置しており、シャッター、ズームイン/アウト、カメラのホットスタート用スライドスイッチ、電源ボタンが並んでいます。このうちシャッターボタンは半押しが可能。ホットスタート用スイッチはスリープ時からでも即座にカメラアプリを立ち上げられます。
本体を横位置のカメラとして構えると、レンズは前面左側に配置されます。レンズ外周部のコントロールリングには絞りやISO感度、露出補正などの各種機能を割り当て可能。これは同社製コンパクトデジタルカメラのうち、ハイエンドクラスのDMC-LX7やLF1にも装備しているギミックです。
横位置での持ち方はいわゆるコンデジ持ちになりますが、左手でコントロールリングを使おうとすると、本体の薄さもあってやや不安定になります。人によっては右手側にグリップが欲しくなるかもしれません。
カメラアプリは標準のアプリを高機能にした印象で、操作感もほぼ同様。ただしレスポンスは標準とは段違いの速さです。コンフィグで画像プレビュー機能を無効にした状態であれば、ほとんどタイムラグなしで次の撮影に移れます。なお画像処理を担当するヴィーナスエンジンはミラーレスカメラのLUMIX Gシリーズと同じものを採用しているとのことです。
カメラアプリとギャラリーアプリ。標準のアイコンの右下にLUMIXを象徴するLの文字
またDMC-CM1ではマニュアルフォーカス(MF)も可能であり、MF時にはピント位置を拡大表示するピーキング機能を利用可能。液晶モニターは4.7インチで、タッチ操作用のUIを含めても、現在主流のデジカメより画面を広く使えることから、ピント位置の確認やフレーミングが容易です。
MF時にピーキング機能を使用しているところ。画面中央を拡大表示しています
撮影画面上の再生ボタンを押すと、画像再生用のアプリが立ち上がります。これも標準のギャラリーをカスタマイズしたもので、標準との主な違いは、写真をドラッグすると、画面の周囲に他アプリへのショートカットが現れる点です。
機能面では、15pの4K動画記録や、静止画切り出し機能の4Kフォト、ISO25600までの感度調整などを装備します。
SNSやクラウド上に写真をアップロードすることが当たり前になって久しく、写真をやりとりするための仕組みは多様化しています。その中でも最も手軽な手段が、スマートフォンやタブレットといった携帯端末からのアップロードでしょう。
多くのユーザーは携帯端末で撮影した画像をそのまま使いますが、高画質な写真をアップロードしたいユーザーにとっては、撮影からアップロードまでの間に、カメラから記録メディアを抜き出し、写真をPCなどに取り込むといった手間がかかりました。
その手間を解消する手段のひとつに、カメラそのものを端末にするという発想がありました。その一例としてはニコンの
COOLPIX S810cやSamsungの
GALAXY Cameraシリーズが挙げられます。これらの機種とDMC-CM1の最も大きな違いは、デジタルカメラとしても、携帯端末としてもハイクラスの性能を備えたという点です。
CM1はまだ製品として評価できる段階ではありませんが、端末としての操作性や動作速度、カメラとしての画質、そしてコストパフォーマンスを含む総合力が専用機を脅かすほどのものであれば、DMC-CM1のような路線の製品が主流になる可能性は十分にあると感じさせる出来です。