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【東京】

練馬光が丘病院訴訟敗訴 区の再建手法疑問

 練馬区の「練馬光が丘病院」の運営から撤退した日本大学が、保証金として区に差し入れた五十億円の返還を求めた訴訟は十七日、区の敗訴となった。病院はもともと区医師会が開設したが、巨額の債務で運営を断念し、区が救済した経緯がある。自治体財政の専門家は、区の病院再建の手法にも疑問を呈した。 

 光が丘病院は一九八六年に区医師会が開設したが累積負債が九十三億円に達し、運営を断念。区が建物を買い取るなどして救済し、九一年四月から日大が運営を引き継いだ。この時▽区が大学に建物を貸し付ける▽大学は区に保証金五十億円を差し入れる▽保証金は契約期間満了時に返還▽貸借期間は三十年間−などを定めた。

 だが、日大は支出超過を理由に、運営開始から二十年となる二〇一一年三月末の運営終了を申し入れ、「賃借期間は二十年まで」とする民法六〇四条を根拠に貸借期間は終わると主張。区は反発したが、日大は翌年撤退し、同年四月に地域医療振興協会が引き継いだ。

 区は現在、五十億円を区の貯金にあたる財政調整基金に組み込んでいる。判決が確定すれば遅延損害金約五億八千万円(区の試算、今年九月末時点)も支払うことになる。

 地方自治と財政に詳しい安達智則・都留文科大講師は「区医師会による運営が行き詰まった時点で、区は大病院ありきの方針を見直し、区民生活に密着した地域医療態勢を整えるべきだった」と指摘。主に地域医療の担い手である区医師会が総合病院を運営していたことも疑問視した。

その上で「地域医療は大病院を誘致すれば良いわけではない。区は地元の実情に合った医療行政に主体的に取り組むべきだ」と提言している。 (杉戸祐子)

 

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