JR西日本は17日、レール幅の広い新幹線と狭い在来線を直通運転できるフリーゲージトレイン(FGT、軌道可変電車)について、10月に車輪間隔を変えるための実験線を敦賀駅(福井県敦賀市)に設置し、2016年度から試験車を使って走行試験を始めると発表した。
早期の実用化を目指し、北陸新幹線が2025年度に敦賀まで延伸するのに合わせ、北陸ルートにFGTの導入を開始したいとしている。
九州新幹線の長崎ルートで採用する技術を導入、寒冷地に特有の雪害への技術的課題についても研究する。現在、大阪―金沢間を約2時間半で結ぶ特急サンダーバードの車両をFGTに置き換えることも検討している。
敦賀駅に設置する実験線は全長約180メートル(軌間変換装置は68メートル)。幅1435ミリの新幹線線路と、1067ミリの在来線線路の間をつなぎ、走行しながら車輪間隔を変える。本年度中に製造に着手する6両編成の試験車で湖西線なども使い夜間に走行試験するという。
北陸新幹線は来年3月に長野―金沢間が、金沢―敦賀間は2025年度に開業する予定。残る敦賀―大阪はルートが決まっていないが、福井県は若狭ルートによる新幹線仕様のフル規格で早期延伸を求めている。JR西も新幹線仕様での整備を希望しているが、当面はFGTで在来線を活用したいという。
また福井県をはじめとする沿線自治体は金沢―敦賀の開業3年前倒しを強く求めており、JR西日本は「FGTの開発は(2025年度の敦賀延伸)ぎりぎりまでかかる」(真鍋社長)との見方。FGT導入までは敦賀駅の同じホームで新幹線と在来線を乗り継げるようにするなどして、乗客の負担軽減を図る方針だ。
同社の真鍋精志社長は「FGTの導入により、乗り換えの時間が30分ほど短縮できる。関西と北陸のつながりをアピールし、流動性も高めていきたい」と強調した。