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 更新 2014年09月10日(Wed)

Item スモモ(李 プラム Plum)
<バラ科サクラ属 日本スモモ(Prunus salicina Lindl.)類 落葉果樹>
([日本スモモ]を単に[スモモ]と呼称されることが多い。)

栽培中のすもも17品種紹介(50音順)及び諸対策
"アルプス王子" いくみ 大石中生 大石早生 貴陽(きよう)
彩の姫”
(さいのひめ)
"サマーエンジェル"
(Summer Angel)
"サマービュート"
(Summer Butte)
サンタローザ”
(Santa Rosa)
"スィートかれん"
涼呂(すずろ) ソルダム”
(Sordum)
太陽 "ハニーローザ"
(すもも農林1号)
ハリウッド
ビューティー”
(Beauty)
メスレー”
(Methley)
"主な病虫害等" "アライグマ"
"ハクビシン"

対策
"カラス害対策"


    スモモ 大石中生
(すもも 大石中生)
スモモ ソルダム
(すもも ソルダム)

 ■スモモは、挿し木 による増殖が容易な果樹です。
 ■花芽分化時期頃の手入れ
  スモモの花芽分化時期は8月頃(2年枝以上の花束状結果枝に結実)で、果樹を充実させる方法として、
  @夏せん定(8月下旬〜9月)により樹冠内に陽光が十分に差し込むように改善し、結果枝の充実を図る。
  A適正な肥培管理(礼肥)により、花芽の充実を図る。つまり、8月下旬〜9月上旬(遅くも葉がまだあるうち)頃に、速効性の化成肥料を礼肥として、少量施用し、樹体に貯蔵養分を蓄積させると、翌春の4〜5月の新梢の伸びや、幼果の肥大が良くなる。樹の折角の貯蔵養分を吸い盗ってしまうカイガラムシの休眠期駆除にも努める。


 note ウィルス(virus)ウィロイド(viroid)に感染した穂木を接ぎ木すると,接ぎ木した翌年に発症し,穂木を介して台木に、更に、この樹全体への伝染は4〜5年掛かるらしい。また,汚染樹液の接触など剪定等刃物でも伝染する。また,受粉によっても伝染する。
  感染樹の治療は不可能 → 感染樹を引き抜き焼却 → 土壌消毒 → (空白期間を置いて)健全苗の再植。穂木,剪定等の刃物類は作業前に消毒が望ましい。
★参考1   [紫峰], [さわやか姫], [夏乙女] はウィロイド汚染の疑いがあるらしい。これらの穗木で接ぎ木するのはどうも?
★参考2   ウメ輪紋ウィルス (プラム ポックス ウィルス)
  数年前に、キリンの背中模様に似た症状の[キリン果(仮称)ウィルス]として全国的に農薬メーカーから報道されていました。この正式名称のウィルスが上記のウィルスらしい。
  水戸市でも感染との報告ですが、感染したのは、偕楽園増設の地域に記念樹などとして市民達が植えた少数の部分樹だけだったらしい(苗の源出所不明など素人植樹は問題)。今は感染樹全てが処分済で、大多数の古来梅樹は健全そのもので問題無しだったとのこと。
  私のアンズ、ウメ、スモモ、ネクタリン、モモ栽培地は偕楽園から約15kmも離散した地にあり、ウメ輪紋ウィルス (プラム ポックス ウィルス)やキリン果(仮称)ウィルスなどの症状が少しも出現せず、及び前記のウィロイド(viroid)感染樹を、これらの育成者が作った樹も、全く植樹も栽培もしておらず、私の栽培地の近隣にもスモモ等の栽培者もおらず、伝染も受けず、全て順調に生育、経過しております。ご安心ください。


 note スモモには栽培上の難題が2つある

 (1) 自花受粉して、すばらしい旨味で、激賛できる[彩の姫]や、[ジュピター]は魅力的だが、これら以外で、旨味ある魅力的品種においては、自花受粉しない傾向が大きい。→ 交配和合性ある特定な品種からの受粉が必要である。ただし、旨味乏しい品種には自花受粉する品種は多いが…。

 (2) 難病の黒斑病(穿孔細菌病)に罹り易い。葉、果実、枝に感染する。
  耐病性には品種により差異.pdfがある。
  発病する品種の枝では、新梢が伸長中の4〜7月頃には軟らかで傷つき易く、その頃に強く吹く冷風により新梢が損傷受け、この傷に黒斑病(穿孔細菌病)が侵入して冒されてゆく。感染した若い緑枝は、やがて皮肌が茶色に成長し、罹病部分の枝は 膨(ふく)らみ、 枝を周回するように亀裂が縦に幾筋に走ったり、凸凹したり、ヤニ吹いたり、枝枯れたりする。膨らんだ箇所に病菌が存在し、ここから雨水等により、葉、果実、新梢へ伝染してゆく。翌年への予防のため、冬期の選定時に、罹病枝を切除する。(罹病枝全てを切除では丸坊主になり得る、少しは手加減したいが…)この切除枝を地面に放置のままでも、他の腐敗病菌により黒斑病菌が死ぬので構わないとのこと。
  なお、幸いにも落葉(冬期)期間中の極く寒冷な風によっては発病せず、大丈夫。
  果実では、 病気病している枝 からの雨水等により病菌が伝染し、 果実が発病する。見つけ次第、除去処分する。

 【対策】としては以下が効果的である。
 o 栽培に好適な【場所】としては、早春〜夏頃の冷風(表日本においては北東風)に、全く又は弱くしか当たらない場所。
  具体的には、冷風(北東風)が抑えられる盆地、山かげ、丘陵かげ、森林かげ、防風林、防風ネット、建造物かげなどの栽培地。
  なお、冬の寒冷な北西風(カラッ風)は果樹が休眠中なので問題ない。また,初夏頃に吹く西寄りの風は(列島の中央山脈越えによるフェーン現象で)温暖なので問題ない。

 o 【農薬】では、休眠期(落葉直後の12月頃)に予防剤として[ムッシュボルドーDF](or [Zボルドー])を十分に散布が効果的である。([ICボルドー412]も挙げられるが、調合等が面倒。) 炭酸カルシウム剤(商品名:[クレフノン])の加用は、休眠期では不要。
  カイガラムシ駆除にマシン油剤も散布する場合の順番は
 (1) [ムッシュボルドーDF] or [Zボルドー])を先に散布すべき。なぜなら、マシン油剤に含有の乳化剤により樹皮が湿潤化し、黒斑病(穿孔細菌病)等の病菌を活性化させてしまい、ここで黒斑病予防のボルドー剤散布では予防にならない。
 (2) ボルドー剤散布1〜2ヵ月程度後にマシン油剤散布が妥当で、これによりも遅す過ぎたマシン油剤散布も好ましくない。2ヵ月余も経て活動期に入りつつある時期にマシン油剤によって、活動期により開き出した樹木の気孔を塞ぎ、活動を低下させるためである。でも、この心配が少ない97%マシン油剤(乳化剤が3%と少量)もある(小規模栽培者向きには少量容器(500mL)の北興の安価な[スピンドロン マシン油乳剤]等)。97%マシン油剤は一般にカンキツなど常緑果樹向きに多用されている。一般落葉樹向きの95%剤(乳化剤が5%と多量)では、樹木の気孔を詰まらせてしまうので使用を避けるべき。

  活動期において黒斑病(穿孔細菌病)が発病してしまった後には治癒困難で、一応、抗生剤として[バリダシン液剤5]が挙げられる。が、余り期待できない。ストレプトマイシン剤、[アグリマイシン100]等では効果が殆ど認められなかった。特に予防が大切・重要である。樹を丈夫に適時の(窒素成分を控えた)施肥も大切。

  黒斑病(穿孔細菌病)に比較的【強い品種】もあるようで、 黒斑病品種別耐性.pdf のとおり、[ソルダム]、[太陽]、[貴陽]、[大石中生](少し強いようで、観察中)が挙げられる。


 note すもも適用可能農薬一覧.pdf 2014-9-09修正
      【有機栽培に使える農薬.pdf
      【薬剤の系統別分類(重要).pdf
      【薬剤の形.pdf

  一般に、[ダントツ水溶剤](ネオニコチノイド系薬剤)は、害虫を食べてくれる大切な天敵虫(*)までも殺してしまい、翌年には、害虫類が始末に負えないほど増殖し、逆効果を招く。間違ってもこれを散布しない。
 (*) カイガラムシ類の天敵虫9種類:クワコナカイガラヤドリバチ、コナカイガラクロバチ類、チビトビコバチ、ナナセツトビコバチ、ベダリアテントウ、ベルレーゼコバチ、ヤノネキイロコバチ、ヤノネツヤコバチ、ルビーアカヤドリコバチ。

 o [バリアード顆粒水和剤]や[モスピラン(顆粒)水溶剤]は、花粉づけ昆虫や天敵虫への悪影響・危険性が低くく、穏やかな上に、アブラムシやシンクイムシにも効き、前者薬剤は残効性も期待でき、これらは好ましい殺虫剤である。
 o カイガラムシ退治については、落葉樹では、冬期(1〜2月頃)に石灰硫黄合剤(希釈7〜10倍)の散布である。完璧を狙うならば、更に石灰硫黄合剤の散布後1ヵ月ほど経ってから、マシン油剤を散布する。
  活動期では、やや硬めのブラシや、狭い箇所では硬めの歯ブラシで、カイガラムシをこすり落とすことと、更に[モスピラン(顆粒)水溶剤]散布の併用だろう。
  IGR剤(成虫に無効)の[アプロード水和剤]は活動期でのカイガラムシ退治に卓効だが、成虫の駆除も狙って[モスピラン(顆粒)水溶剤]との混合散布が良い。[アプロード水和剤]はスモモの他に、ウメ、モモ、カキ、カンキツ、キウイフルーツ、クリにも使用できる。

  灰星病などカビ性の病気(糸状菌)は地上に直径10mm程度のキノコ(キンカー)を作り、ここから病菌胞子を多量に飛散させる。地表面を草で覆い尽くすと、キンカーの発生を阻止でき、雨天時には(病菌付着の)泥跳ね上がりも防止できる。除草せず、果樹下を背丈低くく害虫が好まぬ草を密集させよう=草生栽培。ノビル、ニラ、ラッキョウ類はアブラムシが嫌がる。マリーゴールド(の根先から発散する臭い)はネマトーダ(土壌線虫)が嫌がる。これらも樹下や、空き地にも生やしておこう。他の多くのコンパニオン プランツ(お友達 植物)も育成しよう。農薬散布の手間や薬代が節約できるエコ栽培にもつながる。


  separate

 ■ 栽培中の17品種(50音順に列挙)
  凡例 [果実の特性(食味,サイズ,収量性等),栽培の容・難易性,市場性,将来性などにより独断と偏見とで評価]
   印:果実良好・満足味で栽培価値も高い。
    印:◎に次ぐ。
     o印: 味等がまァまァ。
      印:主に授粉樹(影の力持ち)に向く。果実等の評価は低い。

   separate      separate      separate      separate

  [アルプス王子]  2013年早春に植樹
  大玉(160g程度)で、[太陽]よりも大きい。成熟期は山梨県で7月下旬〜8月上旬頃。
  熟果皮色は濃紫色。降雨でも裂果しない。甘味強(糖度15〜19度)、酸度pH4(*)。核(種子)は離核性(果肉から核が離れ易い)なので食べ易い。果肉は密でやや硬く、ジューシーで食味は非常に優れる
  (*) pH(potential Hydrogen 又は power of Hydrogenの略)とは水素イオン濃度の指数表示で、数値が小さいほど酸性度が強く、7では中性であり、食味においては、甘味に酸味が伴うと濃厚味に、甘味だけでは淡泊味に感じる。
  樹勢は強。樹姿は直立性で、水平方向へ主枝などの誘引が必要。自花受粉せず、結実用の受粉品種には[ハリウッド]。豊産性で、満足な果実に充実化するために摘果して着果数を制限すべき。
  アルプス王子の関連説明が現代農業(農文協版)2013年2月号266頁にもある。[アルプス王子]、[スィートかれん]、[李王]は育成者が同一人である。

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  [いくみ]   いくみの特性、 果実は[ソルダム]の約半分程度、やや小玉(60g程度)で見映えしない。成熟期は6月下旬〜7月初め。甘味多く、糖度18度平均。酸味を殆ど感じない。
    
いくみ 成熟

果肉は濃赤色

  自花結実せず、受粉品種は[サンタローザ]から。貧産性で主力生産品種に向かない。樹姿はやや開張性で、[ソルダム]よりも直立する。樹勢はやや弱い。黒斑病(穿孔細菌病)にかかる。
  来歴は[ソルダム]と[大石早生]の混植圃場での偶発実生とのことだが、 疑問残り、 [サンタローザ(成熟果)]と比べて、[いくみ]の成熟果は、(1)果皮が紅紫色。(2)果皮面に微小な白点が点在分布。(3)果皮が硬く強い酸味。また、(4)受粉に適合する品種が[サンタローザ]。これら4点がよく類似・近縁する。他方、 [大石早生(成熟果)] には似ていない。

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  [大石中生]  中玉(60-100g)、甘味多(糖度16-19度は疑問?)、成熟期は7月中〜下旬頃。植樹2012-02  順調に成育中。
    
成熟果1

成熟果2

  熟期は7月中〜下旬頃で[ソルダム]とほぼ同じ。熟果皮は 淡紅色 で、果皮が軟らかで口当たりせず、食感良好だが、軟らか過ぎて傷つき易く、輸送に難点で、直売向き。
  受粉品種は[ウィクソン](古典的品種)らしいが、 [ビューティー]に高接ぎ木した[大石中生]は着果数多く見事に結実 し、[ビューティー]からの交配和合性は良好と判断した。また、[ソルダム]でも着果数少ないが一応結実した。
  [大石中生]は樹勢強で、黒斑病(穿孔細菌病)にはやや強い。樹姿はやや開張性。
  2012-02に露地に植付けし、元気だ。

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 o [大石早生]  早生(成熟6月中旬)、[ソルダム]とは相互に交配和合性が良好、豊産性。
    
収穫適時(わずかに紅色)

黒斑病

  収穫適時は果皮がわずかにほんのりと紅色になった頃が甘味・酸味のバランス良く、おいしい。全面紅色に着色(過熟)では酸味が消失して淡白味になる。
  枝が太めになってから整枝・切除すると、内部木質部の枯れたのが木質部全般に広く波及してしまう[大石早生]特有の悪いクセがあり、細枝時頃に機会失うことなく早期の整枝に心掛ける。
 note 着果樹齢に達した新梢枝の休眠期せん定では、新梢がΨ状の場合では中心の1本を残して左右の2本を切除し、Υ状の場合では真っ直ぐに良く伸びた片方の1本を残す。
  残す1本の新梢枝の処理方法は、次のとおり品種の特性によって、●<ソルダム>タイプ、●<大石早生>タイプ、●<太陽・貴陽(サンタローザ)>タイプのに3つに区分される。詳細はここをご覧ください→ スモモの整枝剪定について(山梨県).pdf。 残した新梢枝部分に翌年には短い結果枝や花束房枝が沢山着くのが期待できる。
  [大石早生]は黒斑病対策が必要である。
  [大石早生]は日本スモモ総生産量の約30%とトップを占め、単に"プラム"とだけの店頭展示が多い。

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  [貴陽(きよう)]  植付2012-02
    
中央部の小傷(カラス害)で早熟か?
  大玉(180-220g)で[太陽]の約2倍。[貴陽]を始め、[李王]、[月光]、[秋姫]は収穫量がとても少なく、豊産を期待できない品種。[貴陽]は着果多い場合では枝が折損する。中生(成熟は8月初旬頃で[ソルダム]よりも10日ほど遅く、[太陽]よりも10日余早い)。成熟期近い降雨により裂果する(施設栽培向き)。甘味が多い(糖度15-18度)。酸味少。美味しい食味。自花受粉しない。受粉品種は[コチェコ](結実率20%台)>[バイオチェリー]>[ハリウッド](結実率が[コチェコ]の1/3程度)。結実 着果数量は、[太陽]よりもはるかに少ない。来歴は[太陽]x[不明品種]の交雑実生。
  品種登録や品種特性 はご覧のとおり。
  比較的やや新品種だが、品種登録期間が満了し、苗等の増殖・譲渡は自由である。この挿し木増殖が快調で、剪定屑を防護柵として挿しておいたら全て元気に伸びている。

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  [彩の姫(さいのひめ)]  新品種で、育成者権が消滅(失効)し、苗などの増殖・譲渡など自由な品種だが、近隣の苗木店では見掛けず、普及遅いのが惜しまれ、穂木等の不足かも?。熟期は7月上旬〜中旬頃で[ソルダム]よりも数日早い。果実サイズは90g前後で[ソルダム]とほぼ同じなのにも拘わらず、 核(種子)が小さく 外寸がソルダムの0.7倍、体積・重量比で0.73=0.34=1/3程度と微小で、果肉が十分に感じられる。また、甘味が高く(糖度15-18度)て果汁芳香味も頗(すこぶ)るすばらしく、食味絶好。自花受粉し、安定した豊産性。樹勢もやや旺盛で栽培容易で価値観の高い良い品種である。
    
成熟1ヵ月前(既に摘果実施完了済)

成熟果

  品種特性、特徴、来歴等はここ。 やや未熟、着色が不十分で果肉が硬くとも糖度が十分で旨く、スモモと言うよりも、モモを食べてる感じ。
  幼樹期はやや直立性。結果枝の末端部をその全長の1/3〜1/4だけ切り詰める弱め切り返し剪定がよい。
  果皮が丈夫で輸送に耐え、日持ち良好。→ 市場性が高いらしい。果皮がやや硬いが、サンタローザのような皮に酸味なく、美味しい。
  活動期に北東風が強く当たる地では黒斑病に少し罹ることも。[涼呂]ほどはひどくない。
  とにかく美味しい! スモモ樹1本だけ栽培したいならば、彩の姫に限る。驚異的な絶賛品種だ。
  彩の姫の説明が現代農業(農文協版)2011年2月号265頁に掲載ある。
  収穫果実の自家消費には支障ないが、果肉内にコルク質の塊や核割れの生ずることがある。微量要素である硼素(ほう素、B ボロン)が不足なためか? 開花する3週前頃に次のいずれかの施肥を検討中。
 (a) [ほう酸](眼科用)3gx10包詰め小箱が\300-程度と安価で薬局から購入できる。実施例 → 果肉内にコルク質塊が毎年出ていた[ビューティー]では、早春に、土壌上に、1gを少量の温水に溶解してから数リットルの水で希釈してジョウロで散布したら、コルク質塊が解消した。この例のように施肥する。
 (b) 化学肥料[JAマルチサポート1号](ほう素等微量要素含有)20kg詰め袋\1500-程度。これを微量施肥する。
 (c) [ほう砂]を微量施肥する。

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  [サマーエンジェル(Summer Angel)]  2012-02に苗植付
    
  大玉 (山梨県のデータ:150g程度)。 品種特性。 中生(成熟は8月初旬頃で[ソルダム]よりも数日ほど遅い)。甘味が多い(山梨県データでは糖度15-17度)。果皮の地色は,黄色だが,成熟に従い全面がやや紫掛かった紅色に美しく着色するので[サマービュート]よりも、見映え良く、市場性高く、栽培樹数が多い(人気高い)。果肉は淡黄色。自花受粉しない。受粉品種には[ハリウッド]。結実良く,豊産性。生理落果少ない。樹姿はやや直立性。樹形は大。樹勢は強で伸長盛大。
  来歴は[ソルダム]x[ケルシー]の交配実生。[ケルシー]は[巴旦杏(はたんきょう)]に酷似(同じかも?)の日本スモモで、[杏]はアンズの意。

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  [サマービュート(Summer Butte)]  2012-02に苗植付     未熟果
    
  大玉( 山梨県のデータ:150-200g)。 品種特性。 中生(成熟は7月下旬〜8月初旬頃で[ソルダム]とほぼ同じ)。甘味が多い(山梨県データでは糖度16-20度)。酸味も多く,食味濃厚。果皮の地色は緑黄色 → 成熟に従い陽光面だけが紅色に着色するので、邪魔する葉を7月上旬頃に除去がよい。果肉は淡黄色。見映えが優れている[サマーエンジェル]よりも甘味高くおいしい。また、核(種子)が小粒で食べ応えがあり、果肉からやや離れ易く食べやすい。自花受粉しない。受粉品種には[ハリウッド]。結実良く,豊産性。生理落果少ない。樹姿はやや開張性。樹形は中。樹勢はやや強で伸長盛大。
  来歴は[ソルダム]x[ブラックビュート]の交配実生。
  北東風が当たる場所に接ぎ木した穂木の葉に、黒斑病特有の穿孔が少し観察されたことから、黒斑病には強くないかも?。

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  [サンタローザ(Santa Rosa)]  [いくみ],[涼呂],[ソルダム],[大石早生]などへの授粉樹に向く
    
熟果の表面は赤紅色で微小白点が分布

  主に授粉用途樹。自花受粉もする。熟果皮面は赤紅色で微小な白い点々が分布(リンゴのよう)。完熟したようでも甘味が果肉内に留まり、果皮の酸味が強く、硬く口中にゴミ様に残る。過熟では果皮の酸味も消えるが、自然落果しやすく果実の傷みも激しい。
  黒斑病(穿孔細菌病)に弱く、枝枯れしやすい。
  [ソルダム]と[大石早生]とは相互に交配親和性があって共に食味良好なのでこの組み合せが多い。が、[ソルダム]などへの授粉樹にも向く。

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  [スィートかれん]  2013年早春に植樹
  中玉〜やや大玉(80〜100g程度)、[ソルダム]程度で[太陽]よりも小サイズ。熟期は山梨県では7月下旬頃。熟果皮色は黄緑〜紫青色。甘味強く(糖度15〜18度)、酸味(pH4)も伴なっいるので濃厚味に感じられ、果肉が密で、やや柔らかくジューシーで食味が[李王]よりも優れる。∵ [李王]、[アルプス王子]、[スィートかれん]は育成者が同一人である。
  樹勢は強で、挿し木苗の育成では元気・快調。樹姿は直立性で主枝などの誘引が必要。
  自花受粉せず、結実用の受粉品種には[ハリウッド]。豊産性で、満足な果実に充実化するために摘果して着果数を制限すべき。
  スイートかれんの関連説明が現代農業(農文協版)2013年2月号266頁にもある。

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  [涼呂(すずろ)]  大玉(120g程度)で[太陽]とほぼ同じ、成熟は7月中旬頃、素晴らしい食味、黒斑病(穿孔細菌病)に非常に弱い、豊産性、樹勢すこぶる旺盛。
    
豊産性

大玉(120g程度)

  成熟は[太陽]よりも約1ヵ月早い。自花受粉しない。受粉品種交は[サンタローザ]>[ハニーローザ]。黒斑病(穿孔細菌病)には非常に弱く、中枝・太枝が広範に冒され、無惨な姿に陥る。甘味が多い。酸味もあってパリッとした硬さ(過熟では酸味少になり軟化)と多汁とにより食味良好。
  樹勢強で、接ぎ木の活着性・挿し木共に成長が、すこぶる旺盛で速く快調に肥大する。樹姿はやや開張性。来歴は[太陽]x[ウィクソン(古典的品種)]。
  黒斑病(穿孔細菌病)には特に弱く、他品種では有効な防風林対策も殆ど無効で、栽培品種から[涼呂]を除外したくなる。

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 ◎ [ソルダム(Sordum)]  果サイズ80-100g(摘果で120-140g余に玉揃い)、熟期は7月中〜下旬頃、豊産性、黒斑病(穿孔細菌病)に強い、樹姿が強い開張性。
    
樹上自然完熟 濃厚味

  花が束ねたように枝に着く。豊産性。摘果して大玉化するほど甘味増で良好味、果肉が濃赤紅色。樹上自然完熟では濃厚味になる。
  早取り収穫貯蔵したのを見映え良く着色するまで倉庫等で寝かせてからでは強い酸味ばかり。
  黒斑病(穿孔細菌病)に強いようである。樹姿が開張性で、せん定や受粉、摘果の作業が容易。
  [ソルダム]が受粉できる品種は[大石早生]、[ハニーローザ]、[サンタローザ]からである。逆に[ソルダム]が授粉性を発揮できるのは、前者2つと、[大石中生]とである(サマーエンジェルや、サマービュートとは来歴縁があり、和合性について観察中)。

 note [ふくろみ病(袋実病)] には[ソルダム]や[フォーモッサ]が罹る。罹病した幼果は、豆のサヤのように異様に長大な奇形で、やがて茶灰に変色し、病胞子(病菌)を放散しながら1ヵ月も経たないで落果する。発病を免れた健全果へは二次感染しない。病果の処分は不要である。
  予防策として、毎年1回休眠期に入ったならば早めに、小枝先(芽)までも入念に薬剤散布する。
  対応薬剤(例)として (芽内へ薬剤が染み込むように展着剤を加用して)チオノック フロアブル (トレノックス フロアブル)。ただし、[石灰硫黄合剤]では芽内まで滲透が難しいので効果は芳しくない。

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  [太陽]  大玉(100-140g)、晩生(成熟は8月中旬頃で果粉を伴った果皮色が少し紫色になった時点)、食味良(糖度12-14度)、受粉樹としては[ハニーローザ]からが抜群(豊産)(^L^)で,[ハリウッド]からでは残念ながら貧産(;_;)。
     [ハニーローザ]からの受粉で!

たわわに稔った[太陽]
 

収穫果

  自花受粉しない。[太陽]を豊産性にする作戦術 → 受粉品種は[ハニーローザ]が抜群で、豊産状に着果多数である。これに対し、一般に奨励されている受粉樹の[ハリウッド]では呆れるばかり。また、 [ハニーローザ]に高接木した[太陽]では着果オーバーでこの[太陽]の小枝が折れてしまった。[ハリウッド]頼りは昔話。

   separate      separate      separate      separate

  [ハニーローザ(すもも農林1号)]   小粒(50g)、豊産性で果実中心と隣接の果実中心との間隔で8cm程度になる摘果が必須、甘味良(糖度11-14度)でメスレーよりも甘い、成熟期は6月下旬〜7月初め頃でメスレーよりも3日ほど早い、[太陽]への授粉樹に最適
    
成熟期は6月下旬〜7月初め頃

降雨で裂果(裂果したのは特に甘味多)

  小粒で、見映えしない。甘味良で糖度が高いと降雨で裂果しやすい。酸味程良。食味良。豊産性で摘果要し、これにより肥大化し、かつ、糖度増す。成熟期は6月下旬〜7月初め頃で果表に黄色帯びて微妙に紅色が差し始めた時点 ――見映えしないのが短所。全面赤紅色に至っては酸味消失により淡白な味になってしまう。
  [ハニーローザ](♂)は授粉樹にもなり、[太陽](♀),[涼呂](♀),[ソルダム](♀)向きの交配和合性が確認できた。特に[太陽]の結実量は際立って多く、[ハリウッド]をはるかにしのぐ。また、[ハニーローザ]と[太陽]とでは相互に豊産的交配和合性あるのを確認した。
  黒斑病(穿孔細菌病) に弱い。
  梅雨期が熟期で 裂果状況(着果の約半数) ←これらは黒斑病(穿孔細菌病)によっても裂果が助長・誘発される。

  過剰着果を5月頃の摘果により大粒適正化へ改善する。この結果は以下のとおり↓。
  (a)甘味が高いと裂果しやすく、裂果した果実はとりわけ甘味が多かった。
  (b)裂果してない大粒果も甘味がやや多かった。
  (c)小粒果は淡白な粗末味だった。

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  [ハリウッド]  授粉樹として栽培が主、果表が赤い小玉(50-60g,摘果で更に肥大化)、自花受粉性、豊産性、十分に完熟では(ビューティーよりも)おいしい。
    
果表面が赤色で、毎年豊産である

  授粉樹として[アルプス王子],[スイートかれん],[貴陽],[涼呂],[サマーエンジェル],[サマービュート],[ソルダム],[太陽]などへ向くらしい。[太陽],[貴陽]への授粉樹として[コチェコ]も挙げられる。
  果実サイズは小(50-60g、摘果によりサイズと甘味とが増量する)。成熟は7月初旬頃だが、これを過ぎても落果せず、甘味増になる。 果表面が赤色。 自花受粉する。豊産性。酸味やや多。栽培容易で素人栽培向き。樹姿が直立性。葉が暗赤色。
  黒斑病(穿孔細菌病) に弱い。

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  [ビューティー(Beauty)]  小〜中粒(60〜75g)。成熟は7月初旬頃。黒斑病(穿孔細菌病)に特に弱い。食味劣る。一応授粉樹向き、特に大石中生への授粉樹として優れているようだ。
    
紅色に差し始めた頃が収穫絶好期

黒斑病 → 小枝,太枝等に亀裂腫,ヤニ吹き

  黒斑病(穿孔細菌病)に特に弱い。食味が劣る。一応授粉樹だが、他品種の方が優れ、よって、栽培する価値がない → 伐採予定対象。
  果肉中に核(種子)のように固いコルク質小塊片の混在が時々ある。この現象は肥料の微少成分のホウ素等不足のためか?。苦土(マグネシウムMg)やカルシウムCaが過度では微少成分の吸収阻害が起こる。カリウムKの多施肥によりMgやCaの吸収が抑制されて微少成分の吸収が促進される。K成分が目立って多いのには牛糞がある。また、微少成分の多い化成肥料には商品名[JAマルチサポート1号]がある。
  手っ取り早くホウ酸(眼科用)を1g散布したら、コルク質小塊片の混在のない果実が収穫できた。
  収穫絶好期は紅色に差し始めた一時期頃が収穫適時。 果表全面がまっ赤にまで進行した遅延収穫では酸味が消失し、水っぽく淡白で,まずい味。
  黒斑病(穿孔細菌病) に特に弱い。果実、小枝、太枝、主幹に膨張亀裂、ヤニ吹きなど至るどころに多発し、枝類の枯死も頻発。

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  [メスレー(Methley)]  小玉、最適収穫期7月上旬頃、単純な甘味 → 摘果し肥大させ濃厚味化及び,チョット早め収穫で微酸味残存に、自花受粉性、豊産性
    
収穫チョット遅過ぎ

果肉は赤い

  摘果励行に心掛け、小玉だが摘果して更に大玉化にさせ、十分な日照とで、食味向上する。単純な甘味が特徴だが、やや早取りして酸味が少し残存伴うと、赤い果肉がモチのように粘っこく良好味に改善できる。最適収穫期は水戸では7月上旬頃で、果表面に緑色が半分程度に残っている頃。収穫遅過ぎては、酸味感じず、気抜けした水っぽい甘味だけの淡泊味になってしまう。
  栽培容易で素人栽培向き。アブラムシ対策には[モスピラン(顆粒)水溶剤]の散布が良い。カイガラムシ対策には、冬期(1〜2月頃)には灰星病対策を兼ねて[石灰硫黄合剤(希釈倍数10倍程度)]の散布、活動期には[アプロード水和剤]と[モスピラン(顆粒)水溶剤]との混合散布が良い。
  黒斑病(穿孔細菌病) に罹りやすい。活動期(特に4月下旬〜7月中旬)における冷たい北東風の防風に心掛ける。

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