朝日新聞出版は17日、週刊文春9月25日号に「朝日新聞出版はライバル社の『極秘資料』を盗んでいた」という見出しの記事が掲載されたことを受け、意図的な持ち出しなどはなかったとの説明を、ホームページに掲載した。

 記事には、デアゴスティーニ・ジャパンが「刑事告訴も検討」と書かれているが、同社は「現時点で告訴することは考えていない」というコメントを出した。

 週刊文春の記事では、朝日新聞出版が1月に創刊した「大江戸捜査網DVDコレクション」の準備段階で、デアゴ社から入手した内部資料を利用していたと書かれていた。

 朝日新聞出版によると、資料はデアゴ社から昨春に朝日新聞出版に移った社員が転職後も持っていたもので、意図的な持ち出しや、朝日新聞出版が持ち出させたものではなかったとしている。しかし、一部はデアゴ社に無断でテレビCM製作の説明会で広告会社に参考資料として渡していた。

 この問題について、朝日新聞社コンプライアンス委員会が審議。結論を受け、朝日新聞出版は昨年11月、軽率な行為だったとしてデアゴ社に謝罪し、資料を返却したという。

 この社員は逓減表と呼ばれるデアゴ社の07年の資料や、同社の販売部数を自分でまとめた文書も持っていた。逓減表は利用する予定がなかったため、廃棄しないままにしていたという。この点についても朝日新聞出版は16日、デアゴ社に報告し、謝罪した。

 デアゴ社は17日、報道機関に対し、「実害が現時点で確認できていないことなどの理由により、現時点で朝日新聞出版を告訴することは考えておりません」などとする見解を出した。

 朝日新聞出版は「転職に際しての会社情報の取り扱いに関する認識が乏しく、社員教育が徹底していませんでした。深くおわびします」としている。