対談 小栗左多里&トニー・ラズロ×ヤマザキマリ Meets 井上純一ご夫妻

【プロフィール】

  • 小栗左多里さん
    おぐり・さおり

    ●岐阜県生まれ。
    1995年デビュー。
    代表作は『ダーリンは外国人1~2』『ダーリンの頭ン中1~2』『さおり&トニーの冒険紀行イタリアで大の字』など。2012年にベルリンに移住し、『ダーリンは外国人 ベルリンにお引越し』が大好評発売中。

    小栗左多里WEB
    http://ogurisaori.com/

  • トニー・ラズロさん
    とにー・らずろ

    ●ハンガリー人の父とイタリア人の母の間に生まれ、米国に育つ。
    1985年より日本を拠点にライターとして活動。
    92年に多文化共生を研究するNGO「一緒企画(ISSHO)」を設立。著書に『トニー流幸せを栽培する方法』など。

    トニーのサイト
    http://talking.to/tony

  • 井上純一さん
    いのうえ・じゅんいち

    ●宮崎県生まれ。2010年から始めたブログ『中国嫁日記』が大人気となり、翌年単行本化。テーブルトークRPGのゲームデザイナー、イラストレーター、フィギュア製作者などとしても活躍。他の代表作は『月とにほんご』など。

    中国嫁日記 http://blog.livedoor.jp/keumaya-china/

specialカップル座談会
小栗左多里&トニー・ラズロ meet 井上純一&月(ゆえ)

対談 小栗左多里&トニー・ラズロ×井上純ご一夫妻

左からトニー・ラズロさん、小栗左多里さん、井上純一さん、月(ゆえ)さん

<<【前編】

実は描かれたくなかった……トニーさんと月さんの意外な本音!

  • ――トニーさんと月さんは、マンガに描かれていかがですか?
  • うーーーん。
  • なんか顔が険しくなったよ(笑)。
    トニーは本が出てもずいぶん長い間読まなかったですからね。
  • え、そうなんですか。
  • 描かれなくてもいいなら、描かれないほうがよかった。
    いい作品ですけど、個人的には描かれたいほうではないんですね。
  • 彼はね、これまで私的な部分をまったく見せなかったんですよ。
    彼が主催したイベントで、私が美術スタッフとして応募して出会ったんですけど、
    そういう場でまったく私生活をオープンにしない。
    それを私が日本全国の皆さんにベローンって出してしまっているので、
    ちょっと悪いなとは思うんですけど。
  • でも、マンガを読んでトニーさんに悪印象を持つ人は絶対いないですよ。
    みんなトニーさんと暮らしたくなる。ほれちゃう。
  • ありがとうございます。彼のキャラクターを一番生かすように描いています。
    月さんは描かれることについてはいかがですか?
  • ………。
  • いいよ、正直に言って(笑)。
  • あんまり好きじゃないです(笑)。
    普通の生活がほしいので、あまりたくさんのことを皆に見せるのは恥ずかしいです。
  • マンガのネタは、月さんに了解を得るんですか?
  • いえ。月はブログを更新してから読みます。
    あまり気づかれてないんですけど、「拍手」ボタンを押すと月の隠しコメントが出るんですよ。
    単行本でも各4コマにコメントがついてるんですが、それは全部書き直してくれています。
  • コメントも、読者の皆さんに喜んでもらえるか不安に思いながら書いてます(笑)。
  • 楽しみにしてくれてる読者がいっぱいいるよ。
  • コメント、すごくいいですよ。ここにも読者のためを考える誠実さが表われてますよね。
  • ありがとうございます。嬉しいなあ。
    僕は『ダーリンは外国人』こそ読者を楽しませるために描いているマンガだと思っていて、
    それも非常に勉強させていただいた部分なんです。

移住でより仲良しにマンガはコミュニケーションの手段

  • ――移住してご夫婦の関係は変わりましたか?
  • トニーはすごい勢いで知り合い作るし、
    ドイツ語が通じなくてもすごい情熱で相手に伝えようとするし……。
    ただそれは日本にいるときもそうだったので、やっぱりこういう人だったかと(笑)。
    でも二人で助け合わないとやっていけないので、仲良くなりましたよ。
    まあ、8対2で私が頼ってる感じなんですけど。
  • 月さんも私もね、相手にいろいろしてあげることは、本当はためにならないかもしれない。
    そのぶん成長できませんから。
  • あーっやめて、やめて。
  • 移民局とか難しい手続きにはついていったほうがいいけど、
    郵便局くらいは一人で行ってもらうとか。こちらも少し解放されますし。
  • それはつまり、自分の希望ですよね(笑)。
  • ジンサン、一人で大丈夫?
  • いやダメだって。もうほんとすみませんね。
  • やっぱり逆に心配になりますよ。
  • ですよね。ほら、月さん優しい。井上さんと私、甘えん坊だから(笑)。
  • ――最後に、国際結婚してよかったと思うところをおうかがいできればと……。
  • 国籍ではなく個人としてどうか、という問題だとは思うんですが、
    育った環境も経験も違うから、視野が広がるというか考え方の幅が広がりますよね。
    日本ってだいたい皆、同じように育ってるじゃないですか。
    同じテレビ観て、似たような学校に通って。
    でもトニーは当然まったく違うので、そこは面白いなと思います。
  • ラザニアがおふくろの味、というエピソードがありましたね。
  • それもそうですし、小学校時代の話をしても、ほぼ思い出が共有できないんですよ。
    何かを説明するのに、前提として
    「ほら、クラスにはいろんな瞳の色の子がいるでしょ」って言われたり。
    いや、いないって。
  • 僕は、マンガを描くために月の話をたくさん聞くようになったんですよ。
    僕自身のことを描いた4コマも何本かあるんですが、それはあまり読者に喜んでもらえない(笑)。
    だから、とにかく月がどう考えたか聞かないとマンガにならなくて、
    それは、月自身のことを理解するためにすごく役立ったと思います。
    皆、マンガを描くようにしたら夫婦関係うまくいくんじゃないかな(笑)。
    小栗さんは、マンガのためにされていることはありますか?
  • とくにないですね。いつも相手が興味ありそうなことを話すようにはしていますけども。
    これを話したらどう感じるかなとか、この話を共有したいなとか、
    そういうことをお互いに楽しみにしながら毎日過ごしていると思います。
    ただやっぱり、トニーからはつねに予想を超える返事が返ってくるので、飽きないですね。
  • そう、『ダーリンは外国人』は間違いなくトニーさんが面白いんですよ。
    つまり、「私たち夫婦っていいでしょ」でも「私の夫はこんなに素晴らしい」でもない。
    「私の夫はこんなに面白い!」なんです。
    本当にナンバー1のコミックエッセイですね。つねに尊敬しています!
  • ありがとうございます。
    迷ったりすることもあるので、そう言っていただけるととても嬉しいです。
    私も、井上さんの誠実さを尊敬しています!日本のオタク男性の夢をしょっていらっしゃる。

<<【前編】

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A:小栗左多里さん×ヤマザキマリさん
B:小栗左多里さん×井上純一さん

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A:小栗左多里さん×ヤマザキマリさん

B:小栗左多里さん×井上純一さん

【単行本紹介】

『ダーリンは外国人 ベルリンにお引越し トニー&さおり一家の海外生活ルポ』
小栗左多里&トニー・ラズロ
KADOKAWA メディアファクトリー MF comic essay
1000円(税別)
『ダーリンは外国人』シリーズ6年ぶりの新刊。愛息トニーニョの小学校進学を機に、ベルリンに引っ越したさおり&トニー。今度はさおり自身も「外国人」。意外なお部屋探しの方法、日曜日の過ごし方、小学校生活など驚きと発見がいっぱいの日々をレポート!

『中国嫁日記』(1~3巻)
井上純一
KADOKAWA エンターブレイン
各950円(税別)
40歳オタク日本人が、20代の中国人女性と国際結婚! 中国人嫁・月(ゆえ)との面白すぎる日常をつづる4コマ・エッセイコミック。最新3巻では、何と中国にお引っ越しするというまさかの急展開! 二人の結婚の顛末が明らかになる巻末長編描き下しも必読。