広島の前田が巨人から今季初勝利。8イニングを被安打2の無失点と危なげなく、4試合ぶりの11勝目を挙げた。2回にロサリオの11号ソロと石原の左前打などで3点を先取し、5回は菊池の二塁打で1点を加えた。巨人は2試合連続の零敗。
手も足も出なかった。巨人が広島の前田の前に8イニングで、わずか2安打。試合前まで今季5戦3勝とカモにしてきた相手エースに抑え込まれ、3連戦の初戦を落とした。マジック12は変わらず、Vロードはいったん足踏みとなった。
前日(14日)までの5試合で15打数5安打と好調だった坂本が、3打席連続三振。「配球が違うかなと思った」。変化球の割合を増やしてきた広島バッテリーに翻弄(ほんろう)され、とくにギュンと音が聞こえてきそうなほど鋭く曲がるスライダーに手を焼いた。かと思えば、要所では150キロ前後の真っすぐをズバッと決められた。村田は「(前田は)毎回やられるような投手じゃないよ」と素直に脱帽した。
付け入る隙があったとすれば、初回だけだった。先頭の長野にいきなり3ボールと制球に苦しんでいた。長野は一飛に倒れたが、続く橋本は四球を選び、二盗を決めた。しかし、坂本がスライダーに空振り三振。阿部は真っすぐを打って二ゴロに倒れ「1打席目に打っていれば流れが変わっていたかも」と悔やんだ。
9月に入って初の連敗だ。しかも2試合連続無得点。打線の元気のなさを問う報道陣を、原監督は笑い飛ばした。
「別に、いつも通りだろ。そんなに驚くことじゃない。明日は良いところで打てるように、点が入るようになるでしょ」
6度のリーグ優勝を誇る指揮官にとっては、この程度の足踏みも想定内なのだろう。慌てる必要はまったくない。気持ちを切り替えて、次の試合に向かうだけだ。 (小林孝一郎)