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海外サッカーコラム
試合後、インザーギ監督はチームの司令塔として輝きを取り戻した本田圭佑に言葉をかけた。ミランが本当に生まれ変わったのか、次節ユベントス戦が正念場。
photograph by AFLO
セリエA ダイレクト・レポート

ミラン、固まる3トップの優先順位。
本田圭佑が確立したある「役割」。

弓削高志 = 文

text by Takashi Yuge

photograph by AFLO

 ミランが開幕2連勝を果たした。

 14日にパルマとの乱打戦を5-4で制し、8年ぶりの開幕2連勝。王者ユベントスとローマに並んで首位に立った。

 2試合で8得点5失点と出入りの激しい内容ながら、新監督インザーギに率いられたミランは、掛け値なしに鮮烈なインパクトを放っている。

 パルマ戦では、前半だけで先発3トップ全員がゴールを決めた。左ウイングとして初先発したMFボナベントゥラが25分に先制点を決め、右の本田が37分にチーム2点目をもたらした。“偽の9番”として再生したFWメネズも、45分に自ら奪った3点目のPKを決めた。

 高い精度を誇るミランの攻撃は、序盤のセリエAを賑わす大きなトピックになりつつある。

 後半には、1人カウンターを完遂したMFデヨングの4点目や、決勝点となったメネズの芸術的ヒールショットといったスペクタクル性抜群のゴールが炸裂した。

チームの完成度を示した、本田が絡んだ前半の2得点。

 ただし、彼らのゴールは個人技の成果であって、むしろチーム攻撃の形として完成度が高く、試合後に識者からの評価も高かったのは、本田が絡んだ前半の2点だった。

 背番号10の一瞬の好判断と正確な左足が、ボナベントゥラの先制点を生んだ。

 25分、中盤右のデヨングからのパスを、メネズが前方へはたいた。相手FWベルフォディルに当たったこぼれ球を拾った本田は間髪入れず前を向くと、マークを引きつけながら、ゴール前へフリーで走りこむボナベントゥラへスパッと低いパスを通した。彼のシュートがパルマのゴールマウスを破り、ミランは2戦続けて先制に成功した。

 すぐに追いつかれはしたが、勝ち越しゴールを本田自身が奪った。

 37分、バイタルエリアからメネズがボールを右サイドへ展開。駆け上がったSBアバーテが右サイドを破り、ゴール前中央へクロスを上げた。フリーになっていた本田はジャンプ一閃、ボールの動く方向に合わせたGKの逆をついて、へディングで叩き込んだ。

【次ページ】 「このゴールは本当に美しい」

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