海を歩くために目を凝らす

Que sais-je? わたしは‥‥何も知らないではないか。

2014-07-27 アメリカ・図書館・図書館情報学

リチャード・ルービン『図書館情報学概論』

http://id.ndl.go.jp/bib/025441949

リチャード・ルービン著『図書館情報学概論』根本彰訳、東京大学出版会2014年5月

★感想メモ

  • 会誌の先輩からおすすめいただいて読んだ。
  • アメリカ図書館教育・図書館学校・関連協会設立の歴史など過去のことについては、知らなかったことがまとめられていて、なるほどそういう流れだったのかということばかりだった。
  • 現在につながる課題として取り上げられているものについては、アメリカの事情と日本の事情ではだいぶ異なる部分がありそうだなと思いながら読んだ。たとえば公共図書館に求められている教育的な役割については、公教育の整備状況や移民の多さ、マイノリティとくくられる人の多さ(白人・黒人といった「皮膚の色」やヒスパニックなどの「出自」の違いによって受けられる教育が異なるなど)といった問題があるために、公教育に変わる教育支援的のニーズが明らかである、など。
  • 組織の在り方、職業選択の在り方、キャリアパスの在り方、という意味でもアメリカと日本とではだいぶ異なるため、この本に書かれていることは参考事例として読む、という姿勢に自然となっていたと思う。そして違いがあることは当然に想像できるがために、この本に書かれていることの中では、問題や課題に対する取り組み方が参考になると思った。
  • 訳者あとがきによれば、本書は1998年に初版が出たあと、2000年に改訂版、2004年に第2版、この訳書の底本が2010年の第3版とのことなので、いま(2014年)から4年前の本なのだけれども、いまはもう違うなと思うことが当時の現在や当時からみた未来の話として書かれている点については、すでにだいぶ古くなってしまっている部分があり、更新が必要だと思った。それだけ変化が早いのだとも言えるだろうし、それだけこのようにアメリカ図書館教育や図書館業界全体を俯瞰した本を書くことは難しいのだとも言えるだろう。
  • そういうわけで古くなってしまう部分については保留をもって、あるいは「いまは違うね」と思いながら読んだけれども、古くならない歴史については勉強になった。といっても、幅広い知識を持っていて日本のこれまでの図書館情報提供機関をよく知っている人なら、古くなってしまう部分からもいろいろなことを読み取ることができるのかもしれず(先輩はそのような感銘を受けてすすめてくださったので)つまりは理解の浅さや価値の読み取りは、読み手である私に問題があるのかもしれない。

★概要メモ(粒度は章によってバラバラ、「<」の右側は感想)

  • 3 情報の組織化:その技術と問題点
    • 研究者のニーズ pp.120-121(訳文から少し文言変更)
      • 1 すべての関連情報資源についてもっとも明確でより幅広い視点
      • 2 特にその研究分野の課題において、実は重要で意義深く、基準となる情報資源を見落としていないか
      • 3 不必要な過去の重複研究はしたくない
      • 4 時分の研究に領域横断的に関連するものを知りたい
      • 5 時分の同一主題の研究に分類される近年の図書を探し出し、より最新の研究結果を従来の研究結果と照らし合わせたい
      • 6 思いつかないけれど密接に関連しているキーワードを認識させて最適の文献を得られるメカニズム
      • 7 巨大なリストやデータを表示する作業(?)は省きたいが検索結果の向こうにある多様な情報資源を確認する必要があるとは思っている
    • メタデータ p.136
      • CSDGM:地図や地名索引等の地理情報のメタデータ標準
      • CDWA:芸術作品のための芸術作品記述カテゴリ
      • VRA:視覚情報資源協会コアカテゴリの資格情報資源
      • LOM:学習資源メタデータシラバス、講義メモ、模擬実験、教材などのため)
  • 4 機関としての図書館:その組織を展望する
    • 図書館の機能と仕事(部署)、意思決定、各館種の特徴・役割と課題と期待と貢献(可能性を含む)、財政難と説明責任と量的な価値測定
  • 6 情報学:サービスの視点
    • どんな情報が求められているかを把握し、提供できる情報の性質を知ったうえで提供方法を考える