Financial Times

世界はスコットランド分離に「NO」と言っている

2014.09.16(火)  Financial Times

(2014年9月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

スコットランド独立、反対がやや優勢か 最新世論調査

英スコットランドのエディンバラで、スコットランド独立反対を訴えるデモ行進の開始を待つ人が手にした英国旗(左)とスコットランドの旗(右)〔AFPBB News

民主主義の素晴らしいところは、考えを変えられることだ。民主主義は冷静な計算だけでなく、発作的な怒りにも場所を与えてくれる。ひとまず、ならず者を追い出しておいて、もし彼らに代わる新しい人たちが期待を裏切ったら、次に考え直すことができる。

 スコットランドの独立に関する住民投票は違う。高価な買い物をした後に選択を間違ったと後悔する余地はない。ひとたび解体されたら、連合を取り戻すことはできないのだ。

 英国国外へ旅行すると、絶えず耳にする質問は実に単純だ。一体なぜなのか? 世界で最も成功している多民族国家の1つが、どうしてそのような意図的な自傷行為を検討できるのか、という質問だ。

 こうした海外の観察者たち――米国の外交官や欧州の政治家、中国の学者たち――は、古い灰から不死鳥が蘇る姿は想像していない。彼らは、スコットランドが目立たない見当外れの未来に向かおうとしており、バラバラになった英国が衰退を受け入れる方向にまっしぐらに進んでいる姿を想像している。

 筆者は、米国、インド、欧州連合(EU)、中国の政府関係者の中で、誰一人として分離がスコットランドと英国にとって良いことだと言うのを聞いたことがない。困惑したインドのスシュマ・スワラジ外相は9月初旬、スコットランドが実際に分離を選択する可能性があると聞かされた時、「とんでもないことだ!」と言った。

グローバル化が生み出すナショナリズム

 だが、スコットランドの分離に対する支持の高まりはある意味で、より大きな図式に合致している。グローバル化はナショナリズムを生み出している。自由市場の厳しい風にさらされて、市民は先祖返り的なアイデンティティー――時に民族的、部族的なものであり、時に宗教的なもの――の中に逃げ込んでいる。

 スコットランド民族党(SNP)のアレックス・サモンド党首は、部族への忠誠を呼び覚ましている。スコットランドらしさによって定義付けられる国家は、単独の方がうまくやっていける、とサモンド氏は話している。これは信頼につけ込む詐欺のようなものだ。

 だが、欧州各地のナショナリストたちも――大半はサモンド氏よりもっと明白な外国人嫌いと言っておくべきではあるが――、同じ妄想を売り込んでいる。

 スコットランド人はかつて、世界各地を制覇した大英帝国の冒険家であり、行政官だった。今は帝国がすべてなくってしまったため、接着剤が弱くなったと言われている。ところが実際は、過去300年間で、英国という連合王国を構成する国々が分離するのが今以上に馬鹿げていた時代を想像するのは難しい。

 大国間の競争の時代における繁栄と安全保障は、多様なアイデンティティーを心地良く感じる人々、共通の努力において結束する人々に属している。

 世論調査会社は、住民投票の結果は接戦で勝敗の予想が…
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