昼寝:効率アップ狙い導入企業も 仕事はかどる?
毎日新聞 2014年09月15日 17時56分(最終更新 09月15日 20時44分)
昼寝効果が見直されている。安全性や社員の健康維持、仕事の効率を高める観点から、勤務時間内に積極的に取り入れる企業も出てきた。
さいたま市のリフォーム会社「OKUTA」は、仕事中に眠気を感じた時に15〜20分間の仮眠を推奨する「パワーナップ(短い仮眠)」制度を設けている。
午後3時、オフィスの一角で、男性社員が机に伏して寝始めた。周囲の社員は気にせず仕事を続けている。受注業務担当の大竹明日香さん(29)は、「眠くて限界という時に15分仮眠します。効果は絶大で、驚くほど仕事効率が上がります」。
2012年から導入し、内勤社員の3分の1が日常的に利用する。同社担当者は「パワーナップは働きやすい環境作りのために導入したもので、業績向上が目的ではありません。社員には仕事効率が上がると好評で、関連は不明ですが、業績も伸びています」。
昼寝を導入する企業は増えている。IT企業「GMOインターネットグループ」は、昼休みの午後0時半から1時間、大会議室にリクライニング椅子を並べ、昼寝スペースとして開放する。JR東海も、運転の安全性維持の観点から、運転士や車掌らに仮眠を推奨し、仮眠室も設ける。
昼寝の場を提供する店も人気だ。東京・神保町のオフィス街にある「おひるねカフェcorne(コロネ)」は、女性専用のカフェ兼昼寝スペースだ。
天蓋(てんがい)カーテンで仕切られたベッドが10台。照明を薄暗くし、アロマオイルがたかれている。枕は17種類から選べ、寝間着も借りられる。利用は10分160円。昼休みや午後3時ごろの利用者が多い。塚島早紀子店長は「オフィスで休める場所は少ない。昼寝スペースのニーズは今後も増えると思う」。
睡眠不足は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病やうつ病につながる。だが、経済協力開発機構(OECD)の09年の調査では、日本人の1日平均睡眠時間は7時間50分。調査対象18カ国の中、7時間49分の韓国に次ぐ2番目の短さだ。
厚生労働省が3月に示した「睡眠指針」では、睡眠不足を補うために短時間の昼寝は望ましいとし、眠気が生じた場合は30分以内の昼寝が効果的とした。
睡眠の研究機関「睡眠評価研究機構」(東京都中央区)の白川修一郎代表は、「昼寝は脳のリフレッシュに最も効果的な方法。現代の日本人には重要」とする。