時間に関する迷信

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迷信というのは心理だが、迷信に関するいろいろな研究がある。中でも感心させられたのは行動科学による説明だった。

青信号をつつけばエサがでる。これが、信号をつつけば100%エサが手に入るなら、つつくという行動は迷信的ではなく合理的である。これをハトがやれる。それを発見したスキナーは心理学上もっとも有名な学者になった。

しかし100%ではないとしたらどうだろう? たとえば、30分間に1度でもつつけばエサがでるようにしておく。もっとも合理的なのは(力を節約するには)、もちろん30分おきに1度だけつつくようにすることだ。これはハトには難しい。人間にも難しい。

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30分間ずっと、つつけばつつくほどエサがでやすいと考えるなら、これは迷信的だ。ハトが「信じている行動」と、実際のからくりの間に不一致があるからだ。

(統計的には3日に1度しかメールをくれた試しのなかった恋人からのメールを「得るべく」3日に300回メールチェックをするようになるのは、最初の嬉しいメールを「メールチェックして手に入れた」からである)。

Classics in the History of Psychology(英文)
http://psychclassics.yorku.ca/Skinner/Pigeon/

私達も同じことを頻繁にやっている。役にも立たないことをやることで、何か自分にいいことがあると信じ切って行動する。その行動を無意識になっているとすれば、迷信的行動とそっくりに見える。本人は気がついていないかも知れない。

自分の苦手なものを避けるために私達が経験則を頼りにするときにも、その行動は迷信的になりやすい。ボディシャンプーの効用は期待と正反対に作用が実際かも知れないが、絶対的に特定のボディシャンプーを買う人は、不思議なくらい成分を化学的に分析したりはしたがらないものだ。

時間の使い方についても人は迷信的になりやすい。ある種の儀式的な行動が、すばやく作業を終わらせるのに欠かせないと信じ込むのには、ただ1度インパクトのあるリワードが得られれば十分なのだろう。1度でもギリギリまで手をつけなかった課題を徹夜で終わらせたという実績を持つと、仕事を期限内に終わらせるにはギリギリまで待つ必要があると信じさえする。