自民党:石破氏が安保相辞退、首相周辺と神経戦に

毎日新聞 2014年08月25日 22時10分(最終更新 08月25日 23時11分)

 自民党の石破茂幹事長は25日、9月の内閣改造・党役員人事の際、安全保障法制担当相への就任を辞退する意向を自ら表明した。石破氏側は、同氏が政権内で引き続き影響力を維持できるよう、幹事長続投に期待をかける。しかし、石破氏が「安保政策の違い」を理由にしたことに、安倍晋三首相周辺は「今さらそんなことを言っても通らない」と反発。首相と石破氏の会談は今週後半以降になる見通しで、双方の神経戦が続いている。

 石破氏は25日、首相側近の萩生田光一・自民党総裁特別補佐と党本部で会談した。安保法制に関する考え方で首相と隔たりがあることなどを挙げ、担当相を受けない考えを伝えたとみられる。石破氏はその後のTBSラジオ番組で「首相と考え方が100%一緒の人」が適任との見解を示し、自身の就任を否定した。鴨下一郎幹事長特別補佐は24日、「石破氏の自説は首相官邸の進め方とは違う」と代弁していたが、石破氏が自ら発信した意味は大きい。

 石破氏サイドは幹事長続投を第一目標にしつつ、同氏が無役になれば、来秋の党総裁選で首相の対抗勢力作りを目指す「両面待ち」の戦略を描く。事実上の「石破派」づくりを進める無派閥連絡会の代表世話人、小坂憲次元文部科学相は23日、「統一選の勝利が安定政権を作る。(石破氏は)幹事長をしっかりやりたいのが本当のところだ」と石破氏を援護射撃した。

 これを受けて、石破氏は番組で来春の統一地方選の重要性を強調し、幹事長職にとどまりたい希望を隠さなかった。

 人事構想の練り直しを迫られた形の首相側は神経をとがらせる。首相周辺は「政権復帰からわずか1年半で、『また党内の勢力争いか』と世間にあきれられる」と石破氏をけん制。7月の滋賀県知事選で自民、公明両党推薦候補が敗れたうえ、この先の福島県知事選や沖縄県知事選の候補者調整を巡って石破氏の手腕を疑問視する声が出始めており、「根本的な考え方が違うなら幹事長続投も難しい」という強硬論も広がっている。

 一方、ある派閥幹部は「石破氏が無役になると、『今もめてはいけない』と自重してきた人たちが石破氏に結集しかねない」と、党内対立の表面化を懸念する。

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