学力テスト:沖縄と静岡の成績改善 対策が効果、課題も

毎日新聞 2014年08月25日 20時32分(最終更新 08月26日 02時01分)

全国学力テストの都道府県別順位(公立校)
全国学力テストの都道府県別順位(公立校)

 25日に結果が公表された今年の学力テスト。昨年一部の科目が最下位となったことを受けて、知事が一時、下位校の校長名公表を表明するなど混乱した静岡県が上位に食い込んだ。過去問対策に力を入れた結果だが、教員からは「子供を追い詰めたのではないか」と、極端に順位にこだわる状況を批判する声も上がる。一方、例年下位が続いていた沖縄県の小学校の成績も大幅に改善。県教育委員会は「教員研修や学テ上位県との交流が奏功した」と分析し「さらなる向上を」と意気込んだ。【西嶋正信、藤沢美由紀】

 静岡県は、昨年のテストで最下位だった小学校国語Aが今年は27位に、中学校も含め他の科目はさらに上位になった。県教委の委員は「順位にこだわらないと言ってきたが今回は非常に気持ちがいい」と、安堵(あんど)の表情を見せる。

 川勝平太知事は昨年9月、最下位は教員の責任として「成績下位校の校長名を公表する」と表明。最終的には県内で上位の小学校長名を県ホームページで公表した。

 県教委は知事部局出身者をトップに「学力向上対策本部」を設置。授業改善を求める文書を各教員に配布した上、児童には県教委作成の「対策問題集」や過去問を解かせるよう市町教委に求め、多くの小学校が実施した。

 今年4月から6年生の担任になった県内小学校の教諭(46)は、新年度早々に児童が「目標は『最下位脱出』」と真剣に答える姿を見て「ここまで追い詰められてしまったのか」といたたまれない気持ちになったという。「点数が一時的に上がればいいのか? 本当に子供が心配なら教育予算を手厚くするのが知事の仕事だ」と憤る。

 静岡市内の小学校に6年生の娘を通わせる母親は「過去問で点が上がっても、本当の学力が身についたなんて言えないはずだ」と冷ややかに受け止めた。

 一方、川勝知事は結果公表を受け「先生が頑張った」と満足した様子。今年の校長名公表については「結果の詳細を見て、どうするか考えたい」と否定しなかった。

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 沖縄県は小学校のすべての科目の平均正答率で、全国平均との差を昨年よりも縮めた。特に算数Aは全国平均を2.8ポイント上回り、一気に6位になった。

 同県は2008年度から、教科主任を対象に公開授業などの研修を開始し、09年度からは学力テスト上位常連の秋田県と教員の交流事業も継続。12年度からは、県内各地区の近隣校で教材研究や開発、研修も実施してきた。

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