本を読む人のための書体入門 (星海社新書)
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本を読む人のための書体入門 星海社新書巻の感想・レビュー(152)
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文字は記憶を読む装置。書体を見分けるとは文字の中に記憶を見出す行為。なるほど、と感心してしまいました。しかしここまで書体にこだわる方もすごいなぁと…。幼少時からこだわりをもってらしたようなので、視覚系の人なんでしょうね。この本、ほんとに様々な書体をあちこちに使っているので、つくるときに大変だったでしょうねぇと思いました。
新書で号泣するとは思わなかった。正木さんの本は、なにも悲しいことが書いていないのにいつも泣いてしまう。たぶんわたしもおなじことを考えているからなのだ。このひとの言葉と筑紫明朝は、やきたてホットケーキのような、淹れたてのココアのような、そんな優しさでわたしのことを撫でてくれる。文字は記憶であり思い出であり感情であり、そもそもは人間だった。今それらは人から遠く離れてしまっているけれど、文字は人だったことをそっと耳打ちしてくれる。そんな本です。
『水曜どうでしょう』の字幕スーパーのインパクトについて気になっていたので読みはじめたのだけれど、読みやすいし、面白かったです。 書体で、何か感じ方がかわる、というのは、何となくみんな経験があるはず。なのに、字は、意味を伝える媒介のようなものだから、存在感がなくて邪魔にならないものがいい、という感じで軽視され過ぎてきた。もっと字や本の物質的な面が読書に与える影響に注目してもいいのではないか、という反省が、文学研究とかでもあるみたいで、そういう点からも、参考になりました。
普段、wordとか使ってるとなんとなく初期設定の明朝体が苦手でゴシックにしてみたり丸ゴシックにしてみたりする。自分は書体に性格があるような気がする。淡古印がホラーっぽいてのはもちろん、明朝体が苦手なのはネクタイ締めたような緊張感がある気がするから。あとオレ書体持ってる人すげぇ憧れる!素敵。
【抜書き】文字は「記憶を読む装置」。書体を「見分ける」とは、文字の中に記憶を見だす行為。←よほど特殊な書体でない限り、ほとんど印象に残っていないし、記憶に残っていない。家の中に写植機があり、小学生のころから明朝体とか古印体とかを耳にする特殊な環境で育ったんだけどなぁ。でも、もしかしたら、これまで読まず嫌いだった本とか、読んだけど好きになれなかった本、じつは書体がイヤだった可能性もあるということか。淡古印のマンガ雑誌での初出が「ドラゴンボール」とは驚き。
フォントおたによるフォントラヴな随筆。淡古印がいつのまにかホラーな書体になってたところから始まって書体のあれこれを語りつつ思いの丈をって本。電算写植な時代の編集で写研の見本帳を眺めながらあれやこれやレイアウト用紙に書いてみたり、AldusPageMakerが登場した頃からMacでDTPだーとかやったりしてた頃から考えるとま〜自由度上がったよねホント。秀英とか出てきたのは行幸つーことで。読者的書体への印象って、昔の新潮文庫の活字は好きだけど、講談社文庫のそれは受け付けないなーとか、そういうので(続
おもしろい本だったけど、フリーフォントを「タダでも要らない」と書いたり、「ファストフードみたいな文字」と表現したくだりは納得がいかない。フリーフォントだっていいものはある。それに昔のフォントが想像力を働かせたのは、選択肢がなかった時代の副作用みたいなものだろう。淡古印だって、ある用途のために作られたことは著者自身が書いている。それなら、選択肢が多くなった今の時代のフォントは自ずと限定された用途で作られていく。ファストフードみたいな文字からも良い文字は生まれ、残るはずで、それが「豊かさ」だと思う。
文字の味わい方を教えてくれるというより、これまでもしっかりと文字を味わってきたことや、自分のなかにそういう感性が育まれていたことに気づかせてくれる本。素直にうれしい。密やかな味わいをいっしょうけんめい自分の言葉で表現してみたら、もっと複雑な味にも出会えるようになるんだろうな。それも楽しみ。デザインを勉強している人にはわかりきったことばかりかもしれないけど、そうでない人にとっては、書体のことだけでなく、文字を知覚する自分自身を知ることもできる、素敵な一冊だと思います。オススメ。
友人に借りる。にわか書体好きとしてはそうそう!と肯首しながらおもしろく読めた。自身のHPに誘導しておきながら、読めなくなっているページ(書体)があるのが残念。
フォントを中心にデザインについて大学で学びましたが、それをひとまず忘れて読んでみると、自分がどうして文字が好きで大学まで行ったのかを思い出しました。でも好きな理由が上手く説明できなくて、まるで自分の気持ちを代弁してくださったかのようです。もともとHPも見ていて正木さんが好きだったので、ああわかります、そうですよね!と気持よく読めました。文字の味についての三箇条は忘れられません。それから「活字を読む」という言葉に違和感があって苦手だったのですが、これも解決しました。読んで良かったです。
文字が好きだ。「好きな書体」を見つけるのも楽しい。しかし今まで、それらの書体に対して、可愛いとか読みにくいとか、そういう単純で直感的な感情しか考えたことがなかった。改めて文字について馳せてみると、漫画ひとつ取ってもたくさんの書体が物語を彩っている。選ばれた書体がある限り、選ばれなかった書体がある。その書体から想起されるイメージにより、私たちは文字を見分けている。過去から文字を拾い上げているのだと思うとなるほど、と面白かった。ニューシネマが好きだな。やはり「かわいい」という単純な感想が出てきてしまうけれど。
《私-図書館》明朝体やゴシック体は、知っていたが、あんなに、いろんな書体があるんだなあ。確かに、書体が変われば、作品の印象も変わるなあ。
美味しい本だった。私は「おいしい」をいつもひらがなで記すけれど、この本には「美味しい」が似合うと思った。自分が日ごろ文字を記すとき(手書き/Macでのタイプ/iPhoneでのフリック入力)に気にかけていること、かなづかい、フォント、書体、そういった感覚をこんなにも共有してくれる人がいるのだと、安心してゆるされたような心もちになった。たおやめとツルコズが好き。やわらかなあたたかさがあるから。
書体に対する愛情が溢れんばかりの1冊。そのぎちぎちの組み方がちょっと読みづらかったのはご愛嬌。『水曜どうでしょう』で使われる文字スーパーや活版印刷の凸凹感の項が面白い。アイドルの手書き文字からおこした書体、フリーフォントで良くみる手書き風のもの。それらは普段書いている文字に近そうだからこそ逆にデザイナー(その文字を書いた人)の人となりを想像したこともあるのですが、書体デザイナーとの会話から感じた喪失感については考えたことも無かったのですごく興味深かったです。
「書体」の味わい方を知ることができる本だと思います。「文字とは、『記憶を読む装置』である。」という意見に私も賛成。書店や図書館の店頭で本をぱらぱらめくって選ぶ時、書体や行間の空き具合が決め手になることがあります。読みやすさだけでなく、以前読んだ本やその時の記憶を書体から思い出して心惹かれるからかもしれません。これからも、「目においしい」、文字というよりも「活字」に触れていきたいです。
タイトルに「書体入門」とあるけれど、内容としては著者の書体にまつわる思い出、エッセイの部分が多くて、読んでいてそこでちょくちょく興がそがれる。おどろおどろしい雰囲気のフォント「淡古印」は、もともとは古風なイメージだったのが漫画での使用によって変容した、といった考察を読むのは楽しい。
「書体入門」となっていますが、書体についてのノウハウ的なものではなく、著者自身が書体から何を感じ何を考えてきたか、そういうことについて書かれたエッセイと言った方がいいかもしれない。言葉を伝える文字ではあるが、その書体の違いから我々が何をどのように読み取っているのか、というようなことを考えたりすると、本を読むという行為にまた違った楽しみが加わったような気がします。
最近「フォント」が仲間内で話題になることが多いのである。私自身はあまり気にしない派 と思っていたけど、こうやってじっくり書体を見てみると、些細な違いで色んな用途や文字の表情があって面白い。コミックでよく使われるポップな書体は区別がつきやすいけど、明朝体だけでもこんなに違ってみえるんだな。山城隆一氏の言う字間と行間の「風がアクビをする」も興味深い。詰めただけでこんなに変わるか。あと、「ツルコズ」かわいいね!
書体は一種のイラストだよなぁ。文字としてよりイメージを認識してる感じがする。まぁこれが文章読み始めると気にしなくなるんだけど。でも、やっぱりパラパラめくった時の雰囲気で読むか決めてるのかもしれない
読書を趣味としているので「文字」に触れる時間はかなり多い。著者の言うように文字によって本の印象は驚くほどかわる。最初に「吾輩は猫~」を4つの書体で書いているのを読んですごく感じた。書体が変わると、文字を追うスピード、抑揚、音階、どれもがらっと変化し、同じ本とは思えないほど。書体の大事さに改めて気づかされる一冊。
わたしも書体好き!仕事でもずっと何かしら印刷に関わり、書体にも拘ってきたかも。使いたい書体を印刷屋さんに購入してもらったり、わずかな幅隙間が許せず無理を言って詰めてもらったりとか。新しい書体が湧くように増えてきた今だからこそ、本当にふさわしい書体をはめてあげたいなあ。abさんごは読んでいませんが、文字組だけ見れば単行本に選ばれた書体より文藝春秋掲載書体のほうが反対にその閉塞感故に読みやすく伝わり易いように思いました。水曜どうでしょう、しずくの冒険の裏話が楽しかったよ。
とにかく著者の愛情あふれる一冊でした。私も駆け出しながら書体を見分ける職業の端くれとして思うところがあり手に取りました、成り立ちやエピソードも知れて面白かったです。読後は目の前の書体に対してなにかこう愛おしさのようなものを改めて感じました。他著書も機会があれば手に取りたいと思います。
「書体の滋味豊かな味わい」が十分伝わったかといえば、残念ながら著者の個人的な嗜好の印象が強く、深く同意するには至らなかった。ただ山城隆一や杉浦康平という人たちを通して写植書体の魅力のようなものは理解できたかな。
文字による本の印象って意外と多いのかもしれないと感じた本でした。特に漫画の字体は様々で、その雰囲気や心情を文字にして、読者に語ったいたことに驚きました。真に迫る文字は大髭書体、ホラーなどに使われるのは淡古印、しらける時に使うのはボカッシィなど、現在書体は何千個も存在しているといいます。そんな中で記憶に残る書体はごく僅かです。でも、記憶に残る書体があるということは、記憶に残る本があるということ。書体との出会いが、素敵な本の出会いと繋がっていけたら、ますます本を読むことに幸せを感じられそうです。
代官山蔦屋でのトークイベントで購入。いまはたぶん無理だけど、昔は新聞の書体から新聞の名前を当てることができた。少なくとも朝日、毎日、日経、読売、信毎くらいは(7年間、新聞配達をしてたので)。本書によれば、そんな人は真性活字中毒らしいが、読んだ文章と使われた文字の記憶は密接に結びついている。文庫本も僕は新潮が一番読みやすくて、文春や岩波少年文庫は苦手なのだ。その文字の印象をどういう言葉で表現するか…専門用語ではなく、理屈でもなく、読者の立場で、自分の言葉で文字を表現しようという画期的な本。オススメです。
今風に言えば「フォント」に関するあれこれ。でも本来は活版→写植→DTPと書体も変化しているわけです。私はどうも著者と同類の人間らしく、よくわかることばかりでした。同じ新潮文庫でも本によって書体が違ってることに気づいたり。ただし本書に関しては、起承転結の緩さと、著者の「私の言いたいこと、伝わるかな?」っていうもどかしさが全面に出てしまっていて、物足りなかったです。「~かもしれません」「~なのではないでしょうか」「~のように思えます」とか、弱気な文末が多くて気になりました。もっと断言しちゃってもいいのにな。
読者の前に現れるのは選ばれた後の書体だけなので、一体それがどのような選考過程を経たのかはわからない。知らなかったとしても問題ないことだが、その過程を想像してみるのも、また面白いだろう。同じ文章でも、書体が違えば与える印象は大きく変わってくる。それを上手に使えば、相手に一層のインパクトが与えられる。
単純にいろんなフォント表現を楽しんでる身としては、「筆者の子供の頃からあったもの讚美」に寄りすぎててちょっと頷けませんでした。懐古もいいけど新しく作られたものを味わうのも楽しいのになぁ。
フォントと文字の奥深さに感服。普段、何気なく見かけるフォントにはちゃんと名前があり、視覚的にもいろいろな効果をもたらす。フォントによって文字が可愛く見えたり、渋く見えたり、不気味に見えたりと様々。
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