【ストックホルム=共同】スウェーデン議会(定数349)総選挙で、選管当局は15日、暫定結果(開票率100%)を発表、中道左派の社会民主労働党を中核とした野党3党が158議席を獲得、ラインフェルト首相(49)率いる穏健党など中道右派の連立4党の計142議席を上回り、事実上勝利を決めた。同国は8年ぶりに政権が交代し、高福祉国家の再建に向かう見通しとなった。
首相は選挙結果を受け、15日に辞表を提出すると表明した。
難民受け入れに寛容な従来の政策を批判し、厳しい規制を唱えた極右の民主党は前回の約2.5倍の49議席で第3党に躍進。オーケソン党首(35)は「私たちを無視するのは困難になった」と主張した。
次期首相の最有力候補、社会民主労働党のロベーン党首(57)は15日、「雇用や学校、福祉に資金を回す必要がある」と強調し、連立政権樹立の意思を示した。
同党は議会第1党の座を守ったが、原発2基の閉鎖を求める「緑の党」などとの連携に向け、厳しい交渉を迫られる。政権の安定化が課題となりそうだ。
ロベーン氏は元溶接工で、金属関連の労組幹部から党首にのし上がった。議員経験はないが、庶民的な現実主義者として人気を集める。
ラインフェルト政権は大幅な減税を進め、企業競争力を高めた。2008年の金融危機にもかかわらず、欧州平均を上回る経済成長を導いた。一方で、社会保障の充実と貧富の差の縮小を目指す国家理念が損なわれたとの庶民の不満に直面。民間委託で教育や福祉の質が下がったとの批判も浴びた。
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