民法改正:債権分野、企業迫られる対応

毎日新聞 2014年09月02日 21時53分(最終更新 09月02日 23時44分)

最終案のポイントと暮らしへの影響
最終案のポイントと暮らしへの影響

 最終案には▽約款を作成、変更する際のルールを民法で定める▽消費者の利益を不当に害する項目は無効とする−−ことが盛り込まれた。消費者保護を重視する半面、事業者には規制強化となる。

 経団連は「既に消費者は各種業法で保護されている」などと懸念を示し、最終案の合意は年末に先送りされた。ただ「消費者に分かりやすい言葉を使い、条文も短くするなど対策を考えなければならない」(大手通信会社)と改正に備える動きもある。

 ■欠陥商品、時効

 欠陥のある商品を買った消費者の保護も強化する。例えば、購入した住宅にシロアリ被害があったり、耐震性が十分でなかったりしても、現行法では契約解除か損害賠償しか請求できない。最終案では、修理や引き換え品の請求も可能にした。消費者救済の道が広がり、住宅メーカーや中古車販売会社はきめ細やかな対応が求められそうだ。

 飲食代のツケは1年、弁護士費用は2年など業種によって異なるお金の支払いの時効も原則5年に統一する。

 ◇キーワード・約款

 事業者が一方的に画一的な条件を定める定型の利用規約。電気やガス、保険、クリーニング、スマートフォンへのアプリケーションソフトのダウンロードなど日常のあらゆる場面で使われる。事業者にとっては、個々の消費者と契約内容を取り決める手間を省けるので、大規模で画一的なサービスの展開に有効だ。

 一方、内容が複雑、多岐にわたり、利用者が完全に理解するのは難しい。このため、利用者の違約金支払い条件や、保険金が支払われないケースを示した「免責条項」を巡ってトラブルになるケースもある。「内容を予告なく変更する場合がある」など作成した事業者側に有利な項目もあり、以前から「消費者保護に欠ける」との批判があった。

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