iPhone 6のサイズ比較(左からiPhone 5S、iPhone 6、iPhone 6 Plus、サムスン電子のGalaxy S5)

 iPhone(アイフォーン)はもはや実際にはフォーン(電話)ではない。

 スマートフォン(スマホ)がその方向に向かい始めてからしばらくたつ。しかし、アップル  AAPL +0.23% Apple Inc. U.S.: Nasdaq $101.66 +0.23 +0.23% 2014 年 9 月 12 日 16:00 出来高 (遅延15分) : 6,148.71万 時間外取引 $101.60 -0.06 -0.06% 2014 年 9 月 12 日 19:59 出来高 (遅延15分) : 260.98万 PER 16.31 時価総額 $6,087.27億 配当利回り 1.85% 従業員当たり売上高 $2,214,380 09/14/14 Proceedings: Highlights From t... 09/14/14 Don't Underestimate Smartwatch... 09/14/14 French Cable Operator Tries to... 詳細の株式情報とニュース » iPhone 6で通話を3番目、あるいは4番目に重要な機能と位置づけた。それよりもメッセージ送信や写真撮影、さらにはコーヒーの支払い機能の方が重要と考えているようだ。

 iPhone 6ではライバル製品では当然とされている機能の大半がようやく搭載され、「電話」に当然とされている機能が拡大した、というのが筆者の第一印象だ。特に魅力を感じたのが「アップル・ペイ」。これは、さしずめクレジットカードがいっぱい入った財布をiPhoneに置き換える機能だ。 

 こうした変化は、ほとんどの人にとって好ましいものだ。ただし、iPhoneを多機能ミニコンピューター化するには、ある程度の妥協も必要だった。 

 最も大きく変わったのがiPhone 6のサイズだ。対角線の長さはiPhone 6が4.7インチ、もう少し大きい「iPhone 6 Plus(プラス)」が5.5インチ。従来のサイズがよければ、iPhone 5sも引き続き購入可能だ。

 画面スペースが広くなったことで、できることが増えた。もっと多くの電子メールを読んだり、大きな写真を閲覧したり、入力がしやすくなったりしたことで筆者の朝の通勤は恐らく生産性が上がるだろう。画質も既存のiPhoneより鮮明で、解像度が高い。

 移動中に仕事をすることが多い人はより大型のiPhone 6 Plusを好みそうだ。格段の違いを感じられる。

 しかし、それは平均的な親指の人は訓練が必要になることも意味する。iPhone 5と5sの4インチの画面は片手で操作できるよう設計され、親指が画面のほぼどこにでも届いた。

iPhone6と他社製スマートフォンの比較

 9日に行われたアップルの新製品発表会の後にiPhone 6をいじってみたところ、筆者の親指は画面の半分ちょっとのところまでしか届かなかった。iPhone 6 Plusでは画面の3分の1程度だ。大きい方のモデルは小型のタブレット端末「iPad(アイパッド) mini」よりわずかに小さい程度で、しっかり握ることは難しいかもしれない。筆者のズボンのポケットには収まったが、細めのジーンズを好む人はポケットに携帯するのが難しい可能性がある。

アップル・ウオッチと他社製スマートウォッチの比較

 アップルはこうした妥協点を認識し、ガラスディスプレーの角に丸みを持たせることで手に収まりやすくしている。しかし、韓国のサムスン電子  005930.SE +0.08% Samsung Electronics Co. Ltd. S. Korea: KRX KRW1,202,000 +1,000 +0.08% 2014 年 9 月 15 日 12:39 出来高 (遅延20分) : 62,613 PER 6.26 時価総額 KRW1,992,604.38億 配当利回り 0.08% 従業員当たり売上高 N/A 09/14/14 Samsung Seeks Probe of Alleged... 09/11/14 Corrections & Amplifications 09/11/14 $100,000 for LG's 105-Inch TV—... 詳細の株式情報とニュース » の「Galaxy(ギャラクシー) S5」のように防水性はない。防水性を持たせると厚みが出る可能性がある。

 片手で使用しやすくするため、iPhoneの基本ソフト(OS)には改良が加えられている。他の大型画面搭載のスマホにはない機能だ。指紋認証の「Touch(タッチ) ID」ボタンを2度軽く押すと、使用しているアプリが何であろうとスクリーンサイズが半分に縮小され、例えば新規メールの作成アイコンなどスクリーンの上部にあるものにまで指が届くようになる。

 メッセージアプリでは、スクリーン右下の4分の1の円の形をした操作アイコンを親指で上に引っ張り上げるだけで、音声メモを送信できる。サムスンの最新の主力製品ではアプリを小さなウインドーに表示したり、キーボードのサイズを切り替えたりできるが、iPhone 6ほどエレガントではない。

 これら機能が日々の使用でどの程度役立つのか試してみたいものだ。地下鉄のポールにつかまりながら、5.5インチのiPhone 6 Plusでツイートすることは可能だろうか。

 アップルがもう1つ対処しなければならなかった妥協点がバッテリーの駆動時間だ。画面が大型化すればバックライトに必要なバッテリーの消費量も増える。丸一日使用するアプリが増えていることを考えればなおさらだ。

 iPhone 6のバッテリーは大型化しているが、果たして性能は十分だろうか。アップルはバッテリー性能が前機種よりもやや向上したと説明している。しかし、肝心な操作での性能はほぼ変わらないようだ。iPhone 6で高速通信のLTE回線を使用してウェブを閲覧した場合、バッテリー駆動時間は10時間とiPhone 5sとほぼ同じだ。

 新機種を含め、iPhoneの所有者の多くは10時間でも十分でないことを知っている。しかも、使用年数がたつほど、バッテリーの持ちは悪くなる。

 携帯電話や腕時計サイズのコンピューターの設計はどこまで妥協するかが問題だ。幸いアップルはいくつか良い選択をしているようだ。数カ月後には私たちの多くが、あんな小さな「電話」を以前は一体どのようにして使用していたのだろうか、と考えるようになるだろう。

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