米ニューヨークの下水処理場を困らせる、大量のウエットティッシュ(NYCDEP提供)【拡大】
その昔、ギリシャの人々は用を足した後に泥と粘土を使っていた。ローマの人々は海綿と塩水を使っていた。そして米国人は、1890年代にスコット兄弟がロール状のトイレットペーパーを広めるまでは、ぼろ布、古新聞、通販カタログの紙などを使っていた。そして、ここ10年ほどは流せるウエットティッシュの人気が高まっている。
成熟した家庭用紙製品市場において、「トイレに流せる」タイプのウエットティッシュは貴重な成長アイテムと考えられている。しかし、こうした商品の急成長の陰で、世界各国の下水道管に悪影響を及ぼしている。清潔ブームのなか、詰まりがちな下水道設備を抱えるニューヨークやロンドンの当局は、年間何百万ドルものコスト負担を強いられている。
ウエットティッシュの売り上げの伸びが下水道設備の機能を脅かしていることを受け、当局は規制の導入や、下水道の詰まりの除去にかかるコストの評価方法をめぐる検討を進めている。業界団体の米国不織布工業会(INDA)のデビッド・ルセ代表は「商品カテゴリーの長期的な存続」に関わる問題だとみている。