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焦点:円安ピッチに追い付かない日本株、海外勢の姿勢変化が要因

2014年 09月 12日 14:15 JST
 
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[東京 12日 ロイター] - 今回の円安/株高局面では、円安ピッチに比べ、日本株の上昇スピードが遅い。その背景に海外勢のスタンス変化が指摘されている。回復の兆しが見えない国内景気を受け、日銀の緩和政策を疑問視する投資家が出始めたほか、年前半のパフォーマンスの悪さから、海外短期筋が手掛けていた円売り・株買いの「日銀トレード」が下火になりつつあるという。

日経平均.N225は節目1万6000円に接近しているが、ドル/円JPY=EBSの動きに対して反応が鈍い。1ドル98円台から103円近辺へと約5円上昇した2013年11月には、日経平均が約1300円上昇した。

だが、同じく5円のドル高・円安となった8月第3週以降では日経平均の上げ幅は650円程度と約半分だ。

円安進行にキャッチアップできない日本株の一因として、日本株に対する海外勢の姿勢の変化が指摘されている。東証および大阪取引所が公表している投資主体別売買動向によれば、13年11月は現物・先物を合わせて海外投資家が2兆8160億円買い越した。

一方、今年8月第3週以降では、1兆0937億円と約3分の1にとどまっている。為替や株価の水準に違いはあるものの、足元の海外勢による日本株買いの勢いは鈍い。

<海外勢が主張する「反・貨幣数量説」>

上位5─10社のグローバルマクロ系ヘッジファンドの動向を聞いた米系証券幹部は「以前は円売り・株買い一色だったが、今は日本株に対するビューが分散している」と明かす。

政府・日銀は円安=株高との見方を変えていないが、「ゼロ金利下で中央銀行が量的緩和策をとってもGDP(国内総生産)の成長率に寄与しないという『反・貨幣数量説』の議論を持ち出す外国人投資家が現れ始めた」(同幹部)という。

日銀は貨幣数量説を論拠に2%の物価目標に向けてマネタリーベースを増やす量的、質的金融緩和(QQE)を実施している。QQE政策により期待インフレ率を高め、企業による設備投資や個人消費が活発化することで景気を回復させるシナリオだ。

ただ、足元で弱い指標が出ている個人消費やマイナスが続く実質賃金、円安進行でも増えない輸出など国内景況感の悪化を受けて、日銀の緩和政策を疑問視する声が出ている。

<追加緩和見込んだ取引、損失抱える>

また、グローバルマクロ系ヘッジファンドの厳しい台所事情も一因という。BNPパリバ証券株式・派生商品統括本部長の岡澤恭弥氏は「今年前半はボラティリティ低下でトレーディングの機会が減少したうえ、日銀の追加緩和を見込んだポジションがやられた。そのためグローバルマクロ系のヘッジファンドは、足元でキャッシュ比率を高め、資金を大きく動かしていない」と話す。

日興フィナンシャル・インテリジェンスがまとめているヘッジファンド概況によると、今年7月までの直近1年間のリターン(年率)はマクロがプラス1.78%となり、イベント・ドリブン(同10.85%)や株式ロング・ショート(同10.28%)を大きく下回っている。

株買い・円売りという「日銀トレード」を手掛けていた投資主体のパフォーマンス低下が為替に対する日本株の反応の鈍さにつながっているという。

一方で、虎視眈々(たんたん)と日本株のアップサイドを狙う投資家も出始めている。日経平均オプション市場では権利行使価格1万6500円や1万7000円など上値のコール(買う権利)を買う動きが観測されている。

市場では「政府要人の円安容認とも取れる発言を受けた円下落を背景に日本株のアップサイドリスクが意識されやすい。買い仕掛けがあってもおかしくはない」(外資系証券)との声が出ている。

(杉山容俊 編集:田巻一彦)

 
 

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 9月12日、今回の円安/株高局面では、円安ピッチに比べ、日本株の上昇スピードが遅い。その背景に海外勢のスタンス変化が指摘されている。写真は東京証券取引所で3月撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

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