吉田調書:公開された福島第1原発・政府事故調の主な調書(要旨)
2014年09月12日
菅氏 よく再臨界のことが言われるんですけれども、再臨界と海水の問題は考え方は全然別です。当時、再臨界のことで聞いていたのは、メルトダウンしたもの(核燃料)の再臨界が起きやすい形状と起きにくい形状がある。海水の話とは関係ありません。
−−武黒さんの説明だと、官邸での議論で海水注水の了承が得られていないので、ちょっと待ってくれないかと吉田所長に連絡しているらしいのですが。
菅氏 (海水)注入は12日午後7時4分に始まっていたわけですよ。武黒さんもその時点では知らなくて、我々にも報告がなかった。だいぶたってからわかったことは、水が入っていることを知った武黒さんが、自分の判断で吉田所長に止めろと言っている。吉田所長は一応止めるぞと言って、実は止めなかった。結果はよかったと思います。海水が入っているがいいですかと聞かれたら、それを止めるなんてあり得ません。
<東電撤退問題>
−−東電が撤退するようだということは、どういういきさつで聞いたのでしょうか。
菅氏 15日の午前3時ごろに秘書官が来て、(海江田万里)経産大臣から話があると。東電が撤退したいと言ってきている、どうしましょうかと。
−−誰も1Fからいなくなるという認識だったのですか。
菅氏 経産大臣や他のメンバーもそういう認識でした。
−−東電の本店に行って、関係者を激励し、打ち合わせをしたと。
菅氏 私なりの気持ちを込めて話をしました。(原発を)放棄した場合、すべての原発、核廃棄物が崩壊することになり、日本の国が成立しなくなる。皆さんは当事者。命をかけてください。日本がつぶれるかもしれない時に、撤退はあり得ない。撤退したら東電は必ずつぶれる。
<国民に伝えたいこと>
−−事故に対処した首相として伝えたいことは。
菅氏 やはり原発というのはやめておいた方がいいなと。第一はリスクの大きさです。首都圏を含む(日本の)3分の1に近いところはある期間住めなくなるリスクを考えた時、それを完全にカバーできる安全対策はあり得ない。もう一つは核廃棄物の問題です。原発に依存しないことが、日本にとっても、世界にとっても、後世にとっても望ましい。自分たちが逃げて、後は誰かが何とかしてくれということはできない。逆説的に言うと、そういう覚悟がない中では原子力に依存しない方がいいということにつながります。
◇枝野幸男元官房長官
<東電撤退問題>