吉田調書:公開された福島第1原発・政府事故調の主な調書(要旨)

2014年09月12日

公開された吉田調書
公開された吉田調書

 ◇菅直人元首相

 <事故の原因>

 菅氏 今回の原発事故は、事故の起きた3月11日以前に大半の原因があったというのが私の認識です。全電源喪失を一切想定しない、否定した中で行われていたところに大きな理由があったと思っています。

 <全電源喪失>

 −−11日午後7時3分から第1回の原子力災害対策本部の会合がありました。

 菅氏 ディーゼルの発電機が置いてあるが、海水をかぶって止まり、非常用電源が稼働しなくなった。東電から電源車を一刻も早く送ってくれ、電源車が届けば緊急用の冷却機能を動かすことができると言われたので、全面的に協力しますよと。(電源車は)届いたんですよ。うまくいくのかなと思っていたら、プラグが合わなくてつなげませんというので、何でそんなことになるんだろうと。

 <ベントの遅れ>

 −−それでベントの話に変わったと。

 菅氏 12日午前1時30分に東電及び(班目春樹)原子力安全委員長がベントの必要について説明した記録が残っています。(ところが)ベントが必要だと言っている東電がなかなかやらない。何でやっていないんですかというと、武黒さん(一郎東電フェロー)だったと思うんですが、わからないと。理由はわからない。そういう状況なんです。

 <原発視察>

 −−12日朝の1F(第1原発)への視察は、どの時点で考え始めたのですか。

 菅氏 12日午前1〜2時ごろに検討を指示しています。地震、津波の現場を上空からでもいいから見たいと。もう一つはなかなかコミュニケーションがスムーズにいかない中、一度現場の責任者ときちんと会って話をした方がいいと判断しました。私は原子力の専門家ではありませんが、多少の土地勘はある。あまり若い人にはお勧めできない場所でもあります。

 −−吉田(昌郎・第1原発)所長と会って話したことは、後々役立ったと。

 菅氏 私は、その場で初めて吉田さんという人に会ったんです。吉田所長がベントについて説明して、お願いしますと言ったら、わかりました、やりますと言ってくださった。コミュニケーションがきちんとできる人だと感じました。

 <海水注入>

 −−注水の話が出てきたいきさつは。

 菅氏 冷却機能が動かない中、水を入れるしかないというのは、専門家からすれば当然の認識だったと思います。淡水がなくなれば海水を入れるしかないという認識は、全員一致していました。

 −−海水注入に問題があるという意識があったわけではないと。

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