最凶最悪の姉妹揃いやがれっ!
激しくドアを叩く音、俺の名前を呼ぶ声が聴こえる……
これは、花穂姉ちゃんが俺を呼ぶ声だ。
「蒼太っ! トイレ長いよっ! 早く出てよ!」
「――ん? 今の……夢か……」
便座に座ったまま眠りこけていたらしい。
今日は朝からいろいろあったおかげでエロい夢を見てしまった。
「悪い……花穂姉ちゃん……ねむっ……」
「子どもじゃないんだから……お風呂に入る前にトイレに行かないとダメだよ」
入れ替わりにトイレに入る花穂姉ちゃん。
既に着替え終わって髪も乾いている。
どうやら俺は三十分以上トイレで寝落ちしていたようだ。
壁掛け時間を見ると、十一時半過ぎ。
明日は平日なので、既に花穂姉ちゃんが台所と居間を消灯している。
真っ暗な居間でソファーに座り込んでぼんやりしていると……
「蒼太、今日はいろいろ疲れたよね? ごめんね」
隣に花穂姉ちゃんが座って来た。
ほんわりと漂う石鹸とシャンプーの香りが妙に心地いい。
「いいよ。さっき風呂場でからかってごめん。驚いたよな?」
「うん、お風呂場で初めてするんだって思うとね……やっぱり、蒼太と初めてのエッチは部屋のベッドでしたいから……シチュエーションって大事でしょ」
この姉、やっぱりアホなんだ。なぜセックスする前提で考えるんだ。
論点がずれにずれまくって、別の方向へすっ飛んで行ってしまっている。
「明日は学校だからな、俺はもう寝るよ。おやすみ花穂姉ちゃん」
部屋に入ってベッドに寝転がると、今日の出来事が思い浮かんでくる。
朝からスポーツクラブで泳いで、九条先輩とそこで会って、花穂姉ちゃんとの策略でロッカーに閉じ込められる。
その後、先輩と公園で元彼の話を聞いて、九条邸へ行った。
先輩は布団の上で全裸になり、本気で抱かれようとしていた。
武士は食わねど高楊枝という言葉がある。
九条春奈の身体には男が乱暴に扱った跡、アザがいくつか残っている。
男のせいで負った心身の傷を、性行為で癒すことに疑問を持った。
「据え膳食わぬは男の恥とも言うよな……」
先輩は俺を好いてくれて、選んでくれた。
でも、先輩は手軽に食っていい据え膳ではない。
「……そういや、姉に宣戦布告って……いったいなんのこと……」
考え事をしているうちに眠りに入っていた。
カーテンの隙間から光が差し込む、目覚ましは鳴っていない。
どうやら少々早めに目が覚めてしまったようだ。
分厚い掛布団を使っているせいか、寝起きの身体がやけに重い……?
「――いや、これ布団じゃないよな」
プロレスのホールド状態で俺に覆いかぶさっている人影。
その豊かな胸の弾力と温もりが服の上から伝わってくる。
二人の姉を目を閉じた状態でどう見分けるか、それは匂いだ。
「おかえり、紗月姉……始発で帰って来たのか?」
「――んぁ、ああ、寝ちゃってたか? ごめん、蒼ちゃん」
「紗月姉、なんで自分の部屋で寝ないんだ?」
すごく嫌な予感がした。紗月姉が右手に回数カウンターを持っている。
「ちょっと朝の挨拶……みたいな感じかなっ!? ブチュっとチュパッと?」
「姉ちゃんっ! その回数カウンター見せろよ! まさかとは思うけど、花穂姉ちゃんと勝負してるんじゃないだろうなっ!?」
どちらも俺より才能に恵まれ、容姿もいいのに、まったくろくでもない姉妹だ。
紗月姉の手から分捕った回数カウンター……三〇〇三回……
「蒼ちゃん、もう一度朝の挨拶を……」
キス顔で迫り来る紗月姉……
そのとき、バンッと激しくドアを開く音とともに、花穂姉ちゃんが入ってきた。
「紗月姉っ! 蒼太起こすのはわたしの役目なのにっ!」
「久しぶりだね花穂! 今から朝食代わりにに蒼ちゃんを食べるところだ!」
「いや、俺を食べるって……」
「蒼ちゃんの巨大皮付きウィンナーがここにあるじゃないか!」
紗月姉は俺のパンツを引っ張る。朝勃ちで肥大したものが放り出された。
花穂姉ちゃんもその様子を凝視している。
「そ、蒼太のってほんとでかいよね。紗月姉、それ以上変なこと禁止ねっ」
「え、ダメ? 今からシコッとか、ベロリンチュパとかしたいんだけど?」
「おおいっ! 紗月姉も花穂姉ちゃんも部屋から出てくれよ!」
――神様、仏様、紗月姉と花穂姉ちゃんがついに揃ってしまいました。
――これから数日間、姉たちの玩具です……
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