泥棒を顔騎で捕らえやがれっ!
風呂場から逃げるように脱出した俺は、台所でコーラを飲んでいる。
紗月姉はまだ風呂に入っているらしい。歌声が聴こえてくる。
「――風呂場で軍歌って紗月姉……しかも超音痴!」
音がずれ過ぎて、その歌が勇ましい歌なのかバラード調なのかわからない。
しばらく聴いていると歌声がピタリと止んで、風呂場のドアを開閉する音がした。
「蒼ちゃん、姉ちゃんにも氷入りでコーラちょうだい!」
紗月姉が真っ白いバスタオル一枚巻いた姿で出てきた。
その顔を見るだけで先程の悪意丸出し……いや、性器丸出しの暴挙を思い出す……
「俺、紗月姉のせいでしばらく貝類食べられないかも……」
冷蔵庫を開け、コーラをグラスに注ぎながらチラッと紗月姉を見ると……
「十七センチと五ミリってとこ? 蒼ちゃんの主砲のフルサイズ」
風呂場から逃げ出すとき、手で隠していたはずだが……
ばっちり見られていないとはいえ、実に的確な計測値だ。
「主砲って……なに言ってんだよ! ほら、これコーラ……」
冷蔵庫を閉めて、居間の紗月姉に視線を移すと……
そこには左右にバスタオルを開いて全身を見せつける女神……もとい悪意がいた。
日焼けした肌、爆乳未満巨乳以上の胸、引き締まったくびれ、程よく生い茂る恥丘……
「ばーんっ! どうよ? 蒼ちゃん、日焼け跡もなかなかエロいだろ!?」
その瞬間、俺の鼻と口から飲みかけたコーラがドバッと噴出……
「う、ごぼっ! なに見せてんだよ!」
「だから、日焼け跡はどう? 感想は?」
思わず視線を外してしまうが、本心では見たくてしかたない。
姉はそんな心理を読んでいるかのごとく、タオルをオープンしている。
「紗月姉は……すごいスタイルいい。きれいだ」
「蒼ちゃんっ」
タックルのような勢いで抱き付いて来る紗月姉。
バスタオルが床の上に落ちている……
「早く着替えろよ……」
居間でしばらく紗月姉と談笑したあと、玄関の戸締りを確認した。
そのとき気付いたのだが、ドアの新聞受けにチラシのようなものが入っている。
「ん? 空き巣に要注意……この付近で空き巣被害多発中。撃退しようとした住人が怪我を負わされました。戸締りを忘れず、充分ご注意下さいか……」
「なになに? 泥棒!? 蒼ちゃん、今日は姉ちゃんの部屋で寝る!?」
「なんで姉ちゃんの部屋で寝るんだよ?」
「なんでって蒼ちゃんを空き巣から守るため。あと、姉ちゃんが襲うため」
「それ空き巣より危険じゃないか……」
紗月姉が背後から空き巣注意のチラシをのぞき込んでいる。
まだ風呂あがりのバスタオル一枚だけの姿だ。
「紗月姉、そろそろ服着ろよな! 空き巣に襲われても知らないぞ」
襲ったところでコテンパンの返り討ちに遭うのがオチなのだが……
着替えてほしい理由は俺自身の精神衛生上のためでもある。
姉弟だと頭で理解していても、身体の反応は正直だ。セックスへの欲望を理性で制止している。これを紗月姉に悟られると、風呂場のときのような暴挙が起こるのだ。
午後十一時半、部屋に入って消灯した後、ベッドに寝転んで目を閉じると……
脳裏に焼き付いて離れないのが、紗月姉のアソコとさっきの御開帳。
余韻冷めやらぬうちに自慰行為でクールダウン。
「花穂姉ちゃんが小悪魔なら、紗月姉は悪魔王だな……」
そんなことを考えているうちにいつの間にか微睡んでいた。
――バタッガタッバッターンッドサドサッ――
大きな物音に驚いて飛び起きるとなにか大声が聴こえてくる。
掛け声のようだ。格闘技のセイヤッとか、テイッとか気合の入った声だ。
「――ってこれ姉ちゃんの声じゃないかっ!!」
この家はカーポートがあるものの、車がないため夜は空家に見えてしまう。
開錠して空き巣が入り込んだとしてもおかしくはない。
紗月姉の部屋に駆けつけた時、既に空き巣はホールド状態だった。
フゥフゥとうめき声をあげていると思ったのだが……興奮してないか……?
「召し捕ったりぃ! 蒼ちゃん警察っ! どうよ? 名付けて必殺顔騎固め!」
頭部を固定するように、紗月姉が空き巣の顔の上に座って両腕を抑え込んでいる。
その姿は以前花穂姉ちゃんが着ていたようなスポブラに一分丈スパッツだ。
「――もしもし、防犯課ですか? 空き巣を捕まえたのですぐ来てください! それと、できれば空き巣を捕まえた姉も一緒に連行してくださいっ!」
「こらっ! 蒼ちゃん! 姉ちゃんをなんだと思ってんの!?」
――ただの破廉恥女だろっ!
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