韓国銀行(中央銀行)の統計によると、今年1〜6月の商品の輸出額は、ドル建てでは3・7%増加したにもかかわらず、ウォン建てでは2・3%減少した。
これまでも円安ウォン高で韓国経済は塗炭の苦しみを味わってきた。1985年の「プラザ合意」後の円高進行が止まった89年、前年まで2ケタの伸びだった韓国の成長率は6%台にまで鈍化した。
90年代後半には1円=7ウォン台までウォン高が進んで輸出競争力を失い、97年には過去最大の経常赤字を記録、98年に通貨危機を迎えて韓国経済は国際通貨基金(IMF)の管理下に入るという事実上の国家破綻に見舞われた。
3度目のウォン高局面である2004〜07年には、それまで成長を続けていたサムスンの業績が頭打ちとなった。その後、同社が再び急成長し、日本の家電メーカーのシェアを奪っていったのは、08年以降の急速な円高ウォン安の進行と軌を一にしている。そして現在、ウォン高とともにサムスンの業績が沈んでいるのをみると、サムスンの原動力が通貨安だったことがよくわかる。
対円のウォン高が一段と深刻なのは部品メーカーなど中小の製造業者だ。韓国の中小企業中央会によると、中小企業の製造業の損益分岐点は1円=10・59ウォンとされ、すでに採算ラインを大きく割り込んでいる。
朝鮮日報は、機械部品業界関係者の話として、「最近は海外のバイヤーが日本企業の値下げを理由に挙げ、部品メーカーを中心に韓国企業に納品価格の引き下げを要求するケースが増えている」とも報じている。