2014年09月08日

「辞職勧告」可決確実! 9月22日本会議で採決か

ここ数日、いろんな方に「議員を辞めないでください」とよく言われます。
不思議に思って聞いてみると、北海道新聞に「議員辞職勧告決議案が可決見込み」と
辞職をあおるような記事が連日掲載されているとのこと。
日曜日の新聞を取り寄せてみると、確かに「辞職勧告可決確実」と書いてあります。
道新さん、ずいぶん嬉しそうです。
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北海道新聞は希望観測的な誘導記事を書くことが多いので、どこまでが事実なのかは
判然としませんが、記事によると決戦のヤマ場は9月22日。
民主党、公明党、共産党、市民ネットワークなどの賛成多数で議員辞職勧告決議案は
可決成立の見込みだそうです。

いま市議会が閉会中のため、これら会派からまだ連絡がなく、彼らが辞職を求める理由が
正確には分かりません。
ただ真意を分析するために、3週間ほど前に当時の自民党会派宛に届いた申入れをここで
ご紹介します。
いずれもpdfファイルです。


これら4会派の申入れについて、私の考え方を6項目にわたってご説明します。

1. アイヌの人々はいます
4通の申入書に共通するのは「アイヌ民族はいないとの発言が誤り」とする内容です。
私はアイヌの人々の存在を否定したわけではありません。
純粋なアイヌかどうかは別として、北海道にアイヌの血を引く方々が大勢暮らしています。
私がいないといったのは、アイヌ「民族」です。
「民族」とは言葉や宗教、文化、生活習慣などを共有し独自の権利を求める集団を指す言葉です。
「民族」には「紛争」「対立」ということばがつきもの。
おとなりの中国ではチベット族やウイグル族への弾圧が問題となっていますが、
日本でアイヌ族への弾圧などあるでしょうか?
こんな紛争がないのは日本の誇りです。
いまや差別も区別も無くなり同じ日本人として平和に暮らす私たちの中に、わざわざ民族問題を
持ち出して国を二分化する理由があるのか、とても不思議に思います。

2.アイヌは本当に先住民族か?
これまで政府の方針は
「アイヌの人々は国連宣言に言う先住民族であるという状況にございません」
(福田康夫総理答弁、平成19年10月3日)
とアイヌの先住性を明確に否定する立場でした。
日本書紀には蝦夷について言及があり、早くから北海道に人が住んでいたことが分かります。
アイヌ文化が生まれたのは13世紀と言われていますが、12世紀に建てられた神社が道内にあり、
既にこの地域では和人が先に住んでいたことを示すものです。
和人とアイヌは混住していたのであり、アイヌが先住民族だとの主張は学術的根拠がありません。
だからこそ、政府はアイヌの先住性をずっと否定していたのです。
ところが、平成20年に「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が国会で可決されて以来、
政府の方針は180度転換を余儀なくされました。
アイヌ民族問題には賛成反対の様々な意見が寄せられており、国論を二分するテーマのはずですが、
このとき国会ではなんの議論もなく、全会一致ですんなり可決されています。
おそらく国会議員のほとんどが決議の本質を理解しないまま賛成したのではないでしょうか。
この決議を成立させるために、新党大地・鈴木宗男代表が自民党を巻き込んで大活躍(暗躍)した
様子が当時の北海道新聞にも報道されています。

3.天皇陛下に謝罪を要求? 5兆円の賠償?
そもそも国会の先住民族決議は「日本人がアイヌの土地を奪い、人々を虐殺し、植民地支配した」
との驚くべき主張が前提になっています。
我が国は明治政府以来、今日までずっとアイヌの人々の生活を向上させる政策を続けてきたのに、
反対に私たち日本人が虐殺者の子孫として汚名を着せられていることを皆様はご存知ですか。
この国会決議を受けて、旭川アイヌ協議会は過去の「植民地支配」について天皇陛下の謝罪と
5兆円の賠償などを求める要求書を内閣府に提出しています。
天皇陛下へ謝罪を要求とは、まるで従軍慰安婦の団体のようです。
従軍慰安婦といえば朝日新聞社が歴史のねつ造を32年ぶりにようやく認めたところですが、
アイヌの先住民族論をこのまま放置すれば、第二の慰安婦問題になりかねません。

4.消えた住宅ローン4億8千万。
札幌市はアイヌの人々だけが借りられる特別な住宅ローン制度を設けています。
この制度を利用しているアイヌ110人のうち、なんと86人が滞納していて、滞納額は約4億8千万円(平成24年度3月末現在)
焦げ付きの穴埋めはすべて国民の税金です。
他にも北海道庁が行うアイヌ専用の進学ローン制度では、利用者986名に総額24億9千万円を
貸し付けて、ローンを返還したのはたったの1名だけ。
通信制大学の受講生の名目で14年間で1213万円も借りた猛者までいる始末で、返済額はゼロ。

5.差別の再生産はやめよう
法の下の平等が定められた日本で、戸籍にアイヌかどうかの記載はありません。
それでは札幌市や北海道庁はどうやってアイヌと見分けるのでしょうか?
驚くことにこれは自主申告制で、本人の申請を受けて北海道アイヌ協会がハンコを押せば、
アイヌになれる仕組みなのです。
北海道の調査によると、未成年者のアイヌ人口は激減している一方で、65歳以上のアイヌ
人口は平成5年の調査時に比べて約2倍に増えています。
壮年者がある日突然アイヌになるという摩訶不思議な現象。
行政におねだりするために自ら差別を作り出す、こんな悲しい差別の再生産はもうやめるべき
ではないでしょうか。

6.議会の役割とは
アイヌの人々への補助制度はすべて国民の税金で賄われています。
税の使い道を正すのは納税者の代表たる議員の仕事です。
それなのに私が問題を提起したところ、マスコミからは「問題議員」と非難され、所属する
自民党会派からは脱退勧告を受けました。
社会的弱者を装った利権や不正は、政治家として触れてはいけないタブーだったのでしょう。
北海道新聞によると共産党や民主党は謝罪・撤回に応じないことを理由に議員辞職勧告決議を
提出し、可決される見込みだそうです。
しかし、アイヌ先住民族問題について市議会でまだ一度も議論をしたこともありません。
議会で一切議論もせずに、数の力を借り問答無用で辞職勧告とは議会の役割を自ら放棄する
自殺行為と言わざるを得ません。
正しいことを述べると抹殺される札幌市議会。
「差別」とレッテルを貼られて言論の自由さえ奪われる状況は、まさに民主主義の危機では
ないでしょうか。

以上6点が民主党、公明党、共産党ほか各会派への私の回答です。
仮にいま私が口を閉ざせばアイヌ民族問題は闇に葬られ、後に続く議員はいなくなるでしょう。
この問題のステージは一地方議会ですが、故意に歴史を歪曲して政策を歪めているという点で
全国民の名誉に関わる問題だと思います。
平成20年のアイヌ先住民族国会決議が本当に正しかったのか、改めて国民の検証が必要です。

2014年09月03日

アイヌ文化の担い手は、本当にアイヌ民族なのか?

連日アイヌの話題ばかりで恐縮ですが、今日の時事ネタです。

twitterでもつぶやきましたが、今日からJRタワー1階札幌駅の西コンコースでアイヌ文様の
アートモニュメントの展示が始まりました。
ステラプレイスの入口の真横で、札幌駅でもっとも多くの人が行き交う場所に、縦2メートル、
横2メートルの大きさで、美しい色彩で丁寧に織り込まれた素敵なタペストリーです。
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(制作:加藤町子さん、村で遊ぶ子供達、2014年)

これ以外にも市役所本庁舎1階ロビーでも4作品が展示されています。
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この5つの作品の制作・展示に1500万円の札幌市予算が投じられています。
大型でとても緻密な作品で、制作には相当な時間と手間がかかるのだろうと思います。
1500万円が高いか、安いかはここでは論じません。

問題はこれらの作品が「アイヌ民族の工芸家が制作した」と説明されていることです。
私の主張によればアイヌ「民族」はいないはずなのですが、札幌市役所はどうやって
アイヌ「民族」であることを確認したのでしょうか?
札幌市役所の担当課に照会したところ、
  • すべて公募作品で、5名の工芸家は北海道アイヌ協会の会員と聞いている
  • したがってアイヌ民族のはずである
  • 本当にアイヌ民族かどうかまでは確認していない
との説明です。
つまり工芸家がアイヌ民族であることは推定だというのです。

北海道アイヌ協会は、アイヌの定義を「アイヌの血を受け継いでいると思われる人や
婚姻・養子縁組によりそれらの方と同一の生計を営んでいる人」としています。
分かりやすく言えばアイヌの配偶者の和人(日本人)は当然アイヌだし、「」という
言葉が示すように何らかの縁があれば誰でもアイヌになれるという理屈になります。
こんな純粋なアイヌ以外の人が制作に携わった可能性の有無を市役所に尋ねたところ、
工芸家が和人である可能性は否定しない
  • しかし、北海道アイヌ協会会員だからアイヌ民族である
との説明でした。

今回の5作品はすべて女性の手によるものです。
仮定の話として工芸家のご主人様がアイヌの出身だったとして、配偶者の日本人が
制作した作品もアイヌ文化と言えるのでしょうか?
あるいは養子縁組の日本人が作った作品もアイヌ文化と言えるのでしょうか?

アイヌのお土産として有名な木彫りの熊も、もとはといえば尾張徳川家 19 代当主の
徳川義親が八雲町のアイヌの人に作らせたことが発端だそうです。
芸術作品として素晴らしいものであれば、アイヌが作ったのか、和人が作ったのかは
大きな問題ではないのかもしれません。
アイヌ文化に触れて感動を覚え、自ら引き継ぎたいという和人がいてもよいでしょう。
しかし「アイヌ民族の誇りが尊重される街」を目指す札幌市として、「アイヌ民族が
制作した」と胸を張って断言できない状態で本当にアイヌ民族の誇りが実現するのか?
私はいささか疑問に感じます。

こうやって考えていくと、アイヌ民族の定義があいまいなまま、政策的資源をここに
無理矢理投入しようとすることがやはり混乱の原因だと思えてなりません。

長い歴史の間でアイヌとそれ以外の人々の混血が進み、いま先祖代々純粋アイヌという
方は数少ないはずです。
茅葺きのチセで漁労採集生活を送っている人もいまはいません。
日本人とアイヌの区別や就職や進学などの差別も無くなり、民族対立もなく、同じ街で
平穏に暮らすことができる今日が彼らの理想だったのではないでしょうか。
それなのに「差別反対」と叫びながら、利益を得たいときだけは自ら差別を演出する、
こんな矛盾にはどうしても納得ができないのです。
アイヌ文化に補助を与えるのも良いけれど、それ以外の文化と同列に扱うべきで、
片方だけ特別扱いするから矛盾が起きる。
本当に良いものは特権を与えなくとも人々に評価され、後世に残るはずです。
不透明な特権は矛盾を拡大させるだけで、差別の再生産に他なりません。
こんな歪んだアイヌ政策に私はこれからも問題提起を続けるつもりです。







2014年08月30日

アイヌ差別発言究明共同実行委員会からの公開質問状へ回答しました

「アイヌ差別発言究明共同実行委員会」(木幡寛事務局長)から8月22日に公開質問状を
受け取りました。
これについて本日、同委員会に郵送で回答するとともに、報道機関にも公開しました。
回答内容は下記のとおりです。

平成26年8月29日
アイヌ差別発言究明共同実行委員会御中

8月22日付公開質問状について(ご回答)

札幌市議会議員 金子やすゆき

この度は公開質問状をお寄せいただいたことに感謝申し上げます。
下記の通りご返信申し上げますので、何卒ご理解を賜りたいと存じます。
なお、質問状には質問だけでなく要望、引用、ご主張などが多岐にわたるため、恐縮ながら当方で要点を整理して回答させていただくことを御容赦ください。
回答がご希望の期日より遅くなりお詫び申し上げます。


質問1.
「アイヌ民族はもういない発言の真意」「アイヌ民族精神文化事業を否定するのか」との質問に対して

回答
北海道のそれぞれの地域でアイヌの人々が暮らし、祖先から受け継いた文化や歴史を大切に育んでおられることはもちろん承知しており、とても尊いことと敬意を表する次第です。
私の発言は決してアイヌの人々を貶めたり、その文化や歴史を否定する意図ではないことをまずご理解いただきたいと存じます。
その上で私が述べた「民族」とは宗教や言語、文化、歴史などを共有し、自治権や国家形成などの政治的な要求を持つ集団の意味とされており、かかる意味でのアイヌ「民族」やその他「民族」との対立構造は北海道内に存在しないものと認識しています。
そのなかで札幌市や北海道が行っているアイヌ「民族」に対する補助政策について、その定義が不明確であること、また運用の実態にもさまざまな問題がみられることなど、市民から厳しい批判が寄せられています。
私の発言は、これらの観点からアイヌ政策全般について問題提起を行っているものです。


質問2.「アイヌ協会に属しないアイヌ民族も否定し、死ねというのか」との質問に対して

回答
平成18年の北海道調査でアイヌの人々(定義:アイヌの血を受け継いでいると思われる方、また、婚姻、養子縁組等によりそれらと同一の生計を営んでいる方)は23,782人である一方で、北海道アイヌ協会の会員は2,700名(協会発表による)に過ぎないとのことですから、北海道アイヌ協会に属しないアイヌの人々が約9割であることは承知しております。
アイヌ協会に属しないアイヌの方を否定する意図はございません。
また、これらの方に「死ね」との言葉を述べたことはございません。


質問3.「一部のアイヌ協会の利権幹部と真面目なアイヌの人々を区別して発言せよ」との主張について

回答
不透明な利権を悪用しているのは、アイヌを称するごく一部の人々であることは過去の議会質疑や報道などでも明らかになっています。
真面目に暮らしているアイヌの人々がほとんどであることは申すまでもなく、これらの区別が不十分だとのご指摘は真摯に受け止め、真面目に暮らしているアイヌの方々にお詫びを申し上げます。


質問4.「2008年国会決議を認めないのか」との質問に対して

回答
  • 「アイヌの人々が国連宣言に言う先住民族であるという状況にございません」(福田康夫総理答弁、平成19年10月3日衆議院本会議)
  • 「アイヌの人々がこの宣言に言う先住民族であるかについては結論を下せる状況にない」(高村正彦大臣答弁、平成20年5月23日参議院沖縄北方特別委員会)
上記のように平成20年の国会決議直前まで、政府はアイヌを先住民族と判断していませんでした。
同年6月6日の国会決議はアイヌ民族を先住民族とすべく政府の方針を180度転換させるものですが、衆議院、参議院のいずれにおいても委員会審査を省略し、本会議でも一切の質疑もないまま簡易採決で可決されたものです。
国会決議の法的効力を否定するものではありませんが、かくも重大な政府の方針転換が国権の最高機関たる国会で一言の議論もないまま、わずか一日で決定された経緯に私は一国民として大きな疑問を感じており、今後も国民世論に基づく見直しが必要だと考えています。


質問5.「平凡社大百科事典の改定経緯を知っているか」との質問に対して

回答
ご質問にもあるように、出版社(平凡社)は北海道アイヌ協会から「差別」と抗議を受け、出版社の判断でかつて知里教授が担当したアイヌ民族の関する当該記述の訂正を決定したと承知しています。
出版の自由は現憲法で保障されており、差別を理由に出版社に圧力をかけ自らの主張に沿うように記述を変えさせること自体が問題であると考えます。
たとえ出版社が当該記述を削除したとしても、その学術上の見解が消滅するわけではありませんし、多様な国民世論と言論の自由を守る立場からも不適切な行為と言わざるを得ません。


質問6.「旧土人保護法を持ちだしたような発言は公人として恥ずかしくないか」との質問について

回答
北海道旧土人保護法は、就農を希望するアイヌに無償で土地や農具、種子を交付し、自立支援を行うほか、小学校建設など教育奨励や生活扶助、社会福祉など幅広い観点からアイヌへの支援を行うことを定めた法律です。
保護法の成立を望んだのはアイヌ自身であり、その証しとして、帯広の酋長伏根弘三翁の令嬢シン子さんは保護法国会通過のお礼のために伊勢神宮に参拝し、次のような詩を詠んだといわれています。

 待焦れたる保護法は
  今日両院を通過しぬ
  想へば長き七歳の
  努力は遂に報はれぬ
  御法の光輝いや増して
  ウタリの上に輝かん
    『コタンの痕跡』(旧土人保護法とともに五十年:喜多章明)

当時アイヌの人たちの悲願であった本法がいま、その法的使命を終えてすでに廃止となっていることは誠に感慨深いものと考えます。
なお、私の発言や政治信条と北海道旧土人保護法との直接的関連はありませんので、これについて公人として恥ずかしいとは認識しておりません。


質問7.「国際人権規約を知っているか」「人種・人権差別を助長するのではないか」との質問について

回答
日本が国際人権規約を批准していることは承知しています。
質問1への回答で述べたとおり、民族の定義に基づき、かかる民族問題の存在を否定したものであり、人種・人権差別には当たらないと考えます。
なお、市民的及び政治的権利に関する国際規約(International Covenant on Civil and Political Rights、ICCPR)には、法の下の平等とあらゆる差別の禁止、とともに思想・良心の自由、表現の自由が定められていることを申し添えます。


質問8.「真面目に生きているアイヌ民族に対して謝罪を」との要求について

回答
真面目に生きている方は大変素晴らしく、アイヌの人々であろうとどなたであろうと私は等しく敬意を表するものです。
ご要望の謝罪について、どの部分が「罪」なのか、また、どなたに謝罪すべきなのか、質問状からは読み取ることができませんでしたが、
質問3への回答でもお答えした通り、「一部のアイヌ協会の利権幹部と真面目なアイヌの人々を区別して発言せよ」との指摘に対しては、真面目に暮らしているアイヌの方々がほとんどであることは申すまでもなく、これらの区別が不十分だとのご指摘は真摯に受け止め、真面目に暮らしているアイヌの方々にお詫びを申し上げます。
なお、アイヌ差別発言究明共同実行委員会にはアイヌの人々以外の方も加入されているようですが、それらや諸外国の人々までも謝罪の対象ではないものと考えます。
以上


9月3日補記
団体名が「アイヌ差別発言糾弾共同実行委員会」ではなく、「アイヌ差別発言究明共同実行委員会」である旨、同委員会から訂正依頼を電話で受けました。
公開質問状の封筒には「糾弾」とある一方で、質問状には「究明」との記載を確認しました。
私を糾弾する意図ではなく、話し合いによって理解を深めたいとの説明もいただきました。
両者を混同したことをお詫びしたうえで委員会の要請に従い、記事本文の「糾弾」の部分を「究明」に修正します。

2014年08月19日

「なぜアイヌのみ異民族扱い」故・知里眞志保・北大教授談

先日、北大図書館でアイヌ民族に関するひとつの文献にたどり着きました。
アイヌ出身の故・知里眞志保北海道大学教授が昭和29年に朝日文化賞を受賞されたとき、
北海道大学新聞に寄せた談話です。
「なぜアイヌのみ異民族扱い」と、いささか衝撃的なタイトルが付されています。
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(写真は北海道大学新聞縮刷版1955年1月31日号から)

写真は字が小さいため、読みやすいように全文を引用します。

 今では民族と人種の差は常識でしょう。私達いわゆるアイヌといわれている者もやはり全部日本人なのです。日本語を使い、日本人の生活をし、似教を奉じているのです。

 ですからいわゆるアイヌ系日本人なのです。

 所が、なぜアイヌのみが日本人の中で異民族扱いを受けるのでしょう。これは去年行われた熊祭りに見られるように未だに沢山の日本人がアイヌを見せ物根性で見、特異な者として見たがるところから来ているのです。

 内地から人が来たりすると白老などのアイヌ部落を見せたがる。そして駅のホームには"附近名所白老アイヌ部落"と大書してある。このようにアイヌを見世物にしようとする考え方が日本人全体の内にある。しかし、このようなことは今始まったことではなく、日本書紀にもアイヌが遣唐使に連れられて中国に見世物にされたとあり、また幕末に書かれた旅行記の中に「人と書いてシャモという。エゾと書いてアイヌという」と書かれている。また十勝のエリモ岬にあるビロウというところに近藤重蔵がたてたという立て札にも「今は人もエゾも」とあり、また津軽藩のアイヌに対するフレ書の中に「エゾを人に取り立てる」とある。このように見るとアイヌは人ではなく、何かほかの動物のように思われます。このような者の考え方の残滓を今の日本人は早く拭い去ってほしいものです。

 また多くの人々は民族の文化の保存といいますが、現実にはアイヌ文化は明治時代以前に滅びてしまって、その後はいわゆるアイヌ系日本人に寄ってその文化が多少とも保たれてきたわけです。そういう意味で、このようなものを今のうちに研究しておくことは絶対必要です。現に全道でユウカラを立派に歌えるのは十人くらいでしょう。しかしこのような文化の保存はアイヌにやらせるべきではなく、日本の学者がやるべきです。アイヌを今までの文化、生活様式の中で住まわせておこうなどとはとんでもないことです。また文化保存の意味でこのようなものを上演するのはいいが、古代の風俗そのままに上演する必要は無いし、その精神、形式がその自体にマッチするようなやり方でしなければいけないでしょう。

冒頭の「民族と人種の差は常識でしょう」との記述に注目が必要です。
「民族」とは言語や文化、宗教、歴史などに基づく後天的なもので、「人種」とは
生物学的な特徴に基づく先天的なものです。
私の主張に対して一部のマスコミが感情的な批判報道を繰り返していますが、この
民族と人種の違いを意識的に混同して書いているように思えてなりません。
明治生まれの知里先生が「アイヌ文化は明治時代以前に滅びてしまった」と書いて
おられるとおり、その民族性はアイヌをルーツに持つ日本人に引き継がれたのです。
「私達アイヌと言われている者もやはり全部日本人なのです」との言葉にアイヌ文化に
一生涯を賭けた先生の思いが凝縮されていると思います。

先日引用した平凡社の世界大百科事典は、その後「差別だ」とするクレームがあり、
知里先生の没後数十年を経て、なんと出版社が当該部分を削除してしまったとのこと。
「差別」の一言で言論を封殺する手法がいまだに見られることは残念でなりません。
今日ですらこれだけタブー視されるこのアイヌ民族問題をいまから半世紀以上も前に
問題提起した知里先生の勇気は想像を絶するものがあったと思います。
たとえ事典から文章が削除されようとも、「民族」「差別」を叫び経済的利益を得る
生き様に警鐘を鳴らした知里先生の見識の輝きは決して消えることはないはずです。

2014年08月17日

「民族としてのアイヌは既に滅びた」〜世界大百科事典(平凡社)より

アイヌ利権についての私のツイッターが、今朝の道新と毎日新聞に報道されました。
これまで市議会でどんなに活動しても札幌圏版以外の紙面に載る機会が無かったのですが、
お盆休みの週末でニュースが足りなかったのでしょうか、全国版で書いていただき、
自分の政策課題に国民の関心が高まるのは政治家として冥利に尽きることです。
賛成・反対それぞれの立場から多数の電話やメールを頂いていますが、手が回らずに
返信に時間を要しておりますので、しばらくご猶予を頂戴したく存じます。
※記事へのコメントは返信しませんので、ご返事が必要な場合はご意見欄をご利用ください。

さて、毎日新聞さんには「不勉強」「不見識だ」とまで厳しく批判されました。
私は知り得る知識から政治家として自分の主張を述べたまでですが、思惑的な記事ですね。
客観的な識者からコメントを取るならばまだ分かりますが、利権を追及する議員にその
利権の代表(アイヌ協会)からコメントをもらっても全く説得力がないと思います。
しかし一歩下がって冷静に考えてみると、大新聞社がここまで大上段に叩くということは、
「ひょっとして自分の方が間違っているのか?」との疑問も涌いてきます。
ならば専門家の意見を確かめてみようと、知の泉こと北海道大学に向かいました。
お目当ては大学図書館です。
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お盆休みの最終日だというのに、大学図書館には自転車がぎっしり。
中では大勢の学生さんが勉強していました。

とてつもなく広い図書館で、係の方に相談しながらまず百科事典にあたってみました。
三十数冊の中の「ア」の行を取り出して「アイヌ」を探すと、こう書いてあります。

「今これらの人々は一口にアイヌと呼ばれているが、その大部分は日本人との混血によって本来の人種的特質を希薄にし、さらに明治以来の同化政策の効果もあって、急速に同化の一途をたどり、今はその固有の文化を失って、物心ともに一般の日本人と少しも変わることがない生活を営むまでにいたっている。したがって、民族としてのアイヌは既に滅びたといってよく、厳密にいうならば、彼らは、もはやアイヌではなく、せいぜいアイヌ系日本人とでも称すべきものである」
(引用:世界大百科事典第二版1-34ページ、平凡社。マーカーは筆者による)

「アイヌ民族は既に滅びた」と言っているのは自説ではなく、事典に書いてあるのです。
私がtwitterで述べたこととまったく同じことが載っていて、こちらが驚くくらいです。
これは2005年版の世界大百科事典ですが、バックナンバーをさかのぼってみたところ、
1955年版からこの記述がありますので、少なくとも1955年時点ではアイヌ民族がいない
ことが学術的に示されていると言えます。
いまから半世紀以上前のことです。

毎日新聞さん、私の「自説」ではありませんよ。
正しい教育を受けて本を読んでいる国民なら、みな知っていることです。
軽々しく「不見識」と批判する前に、よく勉強し、よく取材してください。





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