堀込泰三 - アイデア発想術,生産性向上 08:00 PM
あなたのクリエイティビティを妨げる6つの心の壁
私の頭には、アイデアがたくさん詰まっています。でも、そのほとんどは、頭の中に眠ったまま。たとえ洪水のように溢れてきても、それを実際に追求しようと思う気持ちは、いろいろなものに邪魔されます。数えてみたところ、私の場合、アイデアを邪魔する心の壁は6つあることがわかりました。
多くのアイデアは、頭の中で眠ったまま出てくることはありません。誰の目に触れることもない場所にあるので、それらのアイデアはいつも安全で、真価が問われることもなければ、批判を受けることもありません。完全に、私だけのものなのです。
いえ、私は創作を行っています。客観的にはたくさん創作していると思われますが、創作していない部分を見ることができないからそう思うのでしょう。例えばこの記事は、もう1カ月以上も頭の中で眠っていたものを、ようやくほじくり出してきたものです。
最もリスキーで危険、かつ潜在的に最も面白いアイデアというものは、すぐに引っ込んでしまいます。だから、かつての私は、美術館のアートのように、それらのアイデアをピンで留めておきました。デスクの周囲にある集計表、ノート、メモ用紙などに残しておいたのです。
そのようなアイデアについて考えることは、まるでクリエイティブかのように感じられます。でも、具体的に何もしたわけでもないので、それらのアイデアは、世界に何を与えるわけでもなく、誰に影響を与えるわけでもなく、ただ孤独な死を遂げただけでした。
そのやり方では、私自身も損をしていました。私は、より深く熱心に考えることをしなかったのです。私は、他者からのフィードバックや批判を受けることがありませんでした。自分の中の、未知の領域を発見するチャンスを逃していたのです。まだ始めてもいないのに、立ち止まっていたのでした。
とてもじゃないけれど、私のアイデアにとって、最高の人生とは言えない状態でした。いえ、私自身にとっても。
そこで私は、変わることを決意しました。前に進むために、私を創作から遠ざけているすべてのものを書き出すことにしたのです。そしてひとつずつ、それらをつぶしていきました。それは、私にとって非常に有益な作業でした。だから、あなたの参考になればと思い、この記事を書いています。下記6つの壁のうち、あなたのクリエイティビティを妨げているものはいくつありますか?
1. アイデアが未熟な気がする
私を創作から最も遠ざけていたのは、アイデアの不足ではありませんでした。アイデアはあるのだけれど、それが不完全な気がしていたのです。何かが足りないのではないか。もっと具体例が必要ではないか。まだ明確になっていないのではないか。
私のかつての編集者は、それを「わずかな兆し」と呼びました。完全な形にはなっていないものの、何かになりそうな、そんな小さなひらめきです。ときには、完全なアイデアになるまで寝かしておくことも必要でしょう。ときには、その他の兆しと組み合わせて、何かを作ることもできるかもしれません。
アイデアの兆しは、育ててやらなければなりません。でも、それには困難が伴うことがあります。アイデアがまだ発展途上にあるときは、不完全で恥ずかしいような気がしてしまったり、他人への説明が難しく感じられてしまいます。私のアイデアの兆しが、誤解されてしまうのでは? もしかして、意味がないことがわかってしまうのでは?
対策
直感に反するかもしれませんが、この時期にはアイデアについて最も話すべきであることを私は学びました。そうすることで、アイデアの兆しは、真のアイデアへと形を変えます。簡易的なテストとして、SNSに投稿してみるのもいいでしょう。でも、そんなことしてアイデアが失敗に終わってしまったらどうするかって? いえ、むしろ、フィードバックをすぐに得られるので、その小さな兆しをさらに温めるのか、それともあきらめるべきかを判断できるのです。
2. ツラすぎる
私は人生のほとんどを書き物に費やしているのに、それを楽だと感じたことはありません。流れるように文章が出てくることもないことはありませんが、それよりも、苦しんで言葉をひねり出すことの方が多いのです。
でも、そんな苦しみを避けたいと思うときもあります。ゴロゴロしながら、ドラマでも見ていたい気分になることがあるのです。
比較にならないかもしれませんが、ドロシー・パーカーも「私は、書くことが嫌い。書き終えることは好きだけど」と言っています。
対策
シンプルに、とにかく始めることです。どこでもいいので、どこかから始めましょう。私の場合、記事のアウトラインを決めたり、見出しを決めたり、場合によってたった1文を書くことで、残りがすらすらと出てくるようになります。これを、時間で区切ってやる方法もあります。注意力を妨げるものをすべて閉じ、20分間(もしくはあなたに最適な時間)、作業に集中します。大きなプロジェクトでも、ひと口サイズに分けることで、集中して取り組むことができるのです。
3. 他人のアイデアに固執しすぎ
私は、読むことが大好きです。情熱的に何かを読んでいるときほど最高の時間はありません。毎日のように、Twitter、膨大なRSSフィード、ニュースレター、さらには新聞(まだ紙の新聞を取っています)などから、たくさんの情報を仕入れています。
読み物に費やす時間ほど、私を幸せにしてくれるものはありません。
でも、注意しておかないと、感覚がマヒしてしまいます。良いアイデアはすべて取られているし、主張すべき内容はすべて言われていると思ってしまうのです。このような状態は、コンテンツマーケティング界における詐欺師症候群と言えるでしょう。
対策
他人の作品を読み、編集し、応援する余地は常にありますが、それを基に独自の作品を創作する余地もあるべきです。誰でも言いたいことはあるし、会話に発言する責任も特権も持っています。最適なバランスを見つけ育てられるかどうか、他人の作品におびえずにインスピレーションを受けられるかどうかは、私たち自身にかかっているのです。けっきょく、すべてはリミックスなのですから。
4. ほかの作業で忙しい
この言葉は、入力していても、薄っぺらな言い訳にしか感じられませんでした。もちろん、職場でも家でも、やることはたくさんあります。誰でもそう。でも、自分にとって大事なことのためには、あの手この手を使って時間を作ることができます。早起きや夜更かしをしたり、テレビを見る時間を削ったり。1日の時間は、誰にでも平等です。目標達成のためにそれをうまく使えるかどうかは、自分次第なのです。
対策
私は気がつきました。執筆に忙しいと感じるときは、創作することの優先順位を下げ過ぎないように、優先順位を再調整する必要があるのだと。今のところ私にとってベストな方法は、スケジュールに創作専用の時間を確保すること。週末に書くこともあれば、朝のメールチェック前に書くこともあります。それでも本当に忙しくてアイデアを実行に移す時間がないのであれば、誰かに託せばいいのです。なぜなら、最終的に重要なのは、私ではなく、アイデアなのですから。
5. 邪魔が多すぎる
私は、この記事を書くと決めてから書き終わるまでの間に、犬の散歩に出かけ、朝食を食べ、Amazonで新しい絨毯を買うことを考え、Twitterをチェックし、2つの記事を読みました。それでも、私にしては非常に集中できた日だといえます。邪魔はいつでも存在しています。それが私たちの住む世界なのですから。
対策
これまでにいくつもの対策を試しました。今のところベストな対策は、人工的なプレッシャーを自分にかけること。30分おきにタイマーを鳴らす、〆切を決める(リアルな〆切でも自主的〆切でも)、ラップトップのバッテリーが切れるまで作業を続けるなどの方法です。それに、邪魔は邪魔でも、生産的な邪魔とそうでない邪魔を明確に区別することも心がけています。例えば、犬の散歩は新しいアイデアを思いつくことがあるので前者、FacebookやTwitterをダラダラと見るのは後者という具合です。
6. 失敗が怖い
これまで紹介した5つの根底にある、真の理由と言ってもいいでしょう。私のアイデアが心の中でずっと眠っていた最大の理由は、アイデアの良さ、ユニークさ、新しさが十分でないことが怖かったことにあるのです。
けっきょく、私はアイデアをあきらめることを選びました。潜在的な失敗を受け入れるよりも、アイデアを永久に封じ込めたのです。
これは、直感的には理解できるかもしれませんが、実際には間違いです。
実行しなければ、何も始まりません。いくらアイデアが完璧なものであっても、そのままでは意味がないのです。
言うまでもないことですが、アイデアだけでなく、どんなことでも失敗を恐れていては、素晴らしい体験を逃してしまいます。リスクこそ、人生を面白くしてくれるスパイスなのです。
幸運にも、私の職場の文化は、チームメンバー全員のアイデアにとって極めて安全な場所を提供してくれています。この環境が、アイデアを早い段階で頻繁にシェアし、ポジティブなフィードバックを出し合うことを教えてくれました。おかげで何もかもが変わりました。同じことは、安心してアイデアをシェアし合える仲間やメンターを見つけることで実現できるでしょう。
対策
この問題に関する暗号はまだ解けていませんが、ここに書くことから始めてみます。今トライしているのは、次のような方法です。
- その他のクリエイティブなことをする:現在、私の家は、失敗に終わったアート実験で残った工作用紙が散乱しています。でも、それもOK! 私の新戦略のひとつは、もっとクリエイティブな時間を増やすこと。すぐに直接的な結果が出なくても構いません。
- もっと人とシェアする:かつての私であれば、この記事を公開するのが非常に怖かったと思います。でも今回は、すぐに夫に見てもらいました。夫は、一見恐れを知らないクリエイター。おかげで、ずいぶん気持ちがラクになりました!
- もっと瞑想の時間を:自転車に乗っているとき、犬を散歩させているとき、ひとりでいる静かな時間には、自分のマインドを自由に解き放つことにしています。ヘッドフォンも、仕事について考えることも禁止。ただ、心を漂わせるのみ。これができているのは、日々の瞑想習慣のおかげだと思います。
- 自分の弱さを許す:今後の人生の課題です。私にとって簡単なことではありません。でも、もっと弱くなるために、たくさん人とシェアして、必要なときはヘルプを求め、フィードバックに対してオープンでいることを心がけています。
アイデアの良し悪しを問わずシェアできるようになるには、時間がかかります。私は今でも練習を続けていて、しばらくはその状態が続くでしょう。コンフォートゾーンもいいかもしれません。でも、本当にエキサイティングな世界は、その外に広がっているのです。
6 Ways My Brain Stops Me From Creating--And How I'm Fighting Back|Buffer
Courtney Seiter (原文/訳:堀込泰三)
Title image adapted from Martin Capek and mikeledray (Shutterstock). Additional images by Crew, Art of Manliness, Forbes. Photos by Nottsexminer, Sasquatch I, Lizcomm1981, bark, Michael McCullough.
- イノベーションを実行する―挑戦的アイデアを実現するマネジメント
- ビジャイ・ゴビンダラジャン,クリス・トリンブルエヌティティ出版